つらつら日暮らし

マルティン・ルター『九十五箇条の提題』を学ぶ・36

ドイツ宗教改革の発端にもなったとされるマルティン・ルターの『九十五箇条の提題』の日本語訳を学んでいく連載記事である。連載36回目である。なお、英訳された『九十五箇条の提題』を、当方で日本語訳して掲載することとした。

11〔36〕  すべての真に悔い改めたキリスト教徒は、『贖宥状』による証明が無くても、罰と罪から完全に逃れる権利を持つ。
    訳は当方


ここで問われているのは、「真の悔い改め」と、『贖宥状』である。そして、ルターは、後者を批判し、前者を重視していることは一目瞭然である。ただし、本来であれば、前者が行き届かない人が、後者を求めた印象がある。そうなると、改めて前者の重要さを主張するために、この「罰と罪から完全に逃れる権利を持つ」という断言をしたのだろう。

ここから、この1条は、ルターにとっての『贖宥状』批判のマニフェストだった印象である。

【参考文献】
Works of Martin Luther:Adolph Spaeth, L.D. Reed, Henry Eyster Jacobs, et Al., Trans. & Eds.(Philadelphia: A. J. Holman Company, 1915), Vol.1, pp. 29-38
・マルティン・ルター著/深井智朗氏訳『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』講談社学術文庫・2017年
・L.チヴィスカ氏編『カトリック教会法典 羅和対訳』有斐閣・1962年
・菅原裕二氏著『教会法で知るカトリック・ライフ Q&A40』ドン・ボスコ新書・2014年
・ルイージ・サバレーゼ氏著/田中昇氏訳『解説・教会法―信仰を豊かに生きるために』フリープレス・2018年
・田中昇氏訳編『教会法から見直すカトリック生活』教友社・2019年

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