つらつら日暮らし

『浄土布薩式』「大科第一 鳴鐘集衆」(『浄土布薩式』参究2)

それでは、前回から『浄土布薩式』の本文を学んでいるが、冒頭で布薩の日程を出した後で、いきなり実際の作法に入っていく。

大科第一 鳴鐘集衆
 即衆に冥有り顕有り、
 其の冥衆とは、天衆地類及び八部等の雑類、是れなり。
 其の顕衆とは、在家の二衆・出家の五衆、合して七種の類、是れなり。
 諸衆同声に唱て云うべし、
  戒力は金剛の如く、一切の魔を降伏す、
  諸魔受戒を見ては、怖畏して皆な退散す。
    『続浄土宗全書』巻15・74頁、訓読は原典に従いつつ当方


さて、上記の内容だが、「鳴鐘集衆」とあるため、鐘を鳴らして布薩に随喜する大衆を集めることを意味している。そして、この場合の大衆として、冥衆・顕衆としているが、冥衆とは目に見えない衆生であるので、天衆地類や八部衆〈龍族〉などを挙げている。一方で、顕衆は目に見える衆生であるが、僧俗七衆を挙げている。

そして、その上で集まってきた大衆が声を合わせて、「戒力は金剛の如く」云々の偈を唱えることとなっている。だが、色々と調べてみたが、当作法書以外に典拠は見られないようなので、作られた偈文であるといえよう。また、偈文の平仄は正しいものとはいえない。よって、むしろ日本語で唱えてみて、意味がある言葉を漢文風に改めた(いわゆる「和臭」)と思われる。

その偈文の意味だが、「戒の力は金剛のように硬く、一切の魔(仏道修行を妨げるもの)を降伏させる。諸々の魔が、衆生の受戒した様子を見れば、怖がって、皆退散していく」というものである。端的に、受戒の功徳を示したものだといえよう。

それから、前回見ていた「半月布薩法式」でも、「一 鳴鐘集衆」と同じ項目名となっており、関連性は見ていくべきなのだろうか。とはいえ、「大科第二 諸衆生可住和合念」となっており、いきなり違ってしまう。また、その辺は次回以降見ていきたいと思う。

【参考資料】
・宗書保存会『続浄土宗全書』巻15、大正14年
浄土布薩式(新編浄土宗大辞典web版)

仏教 - ブログ村ハッシュタグ
#仏教
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「仏教・禅宗・曹洞宗」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事