・鉄道開業きょう150年、世界有数の「鉄道大国」に…特別列車の運行や各地で記念式典(YomiuriOnline)
1872年(明治5年)10月14日に日本で鉄道が開業しました。最初の路線は新橋―横浜(現・桜木町)間の29キロだったとされている。それからすれば、鉄道は日本全国に張り巡らされて、いわゆる鉄道網となった。一方で、地方の赤字路線が廃線となるなどし、そのあり方も大きな変遷を辿ってきたわけである。
ということで、今日という日に拙ブログとしては、何を採り上げようかと迷ったが、鉄道開業をリアルタイムで見ていたであろう人が、「鉄道主義」という考えを示していたので、それを見てみたいと思う。
(六十五)天道は鉄道主義なり
或人余に語りて曰く、天道は鉄道主義なりと、余其意を解する能はず、老子には天道は張弓の如しとあれども、未だ何書にも鉄道の如しとあると聞かず、依て其解を需めたれば、余が為に説明して曰く、鉄道は山あれば之を崩し、渓あれば之を埋め、凸処は之を削り、凹処は之を盛り、以て水平を保たしめんとす、天道亦然り、驕奢なるものあれば之を抑へ、謙譲なるものあれば之を揚げ、人を慢るものは之を斥け、己れを慎むものは之を助け、楽に耽けるものは之を仆し、苦を忍ぶものは之を起す、是れ之を鉄道主義と云ふと、
井上円了『円了随筆』哲学館・明治34年、49頁
井上円了先生は、現在の東洋大学となる哲学館を創設した研究者であり、教育者である。生没年は1858~1919年であり、江戸時代末期の生まれであり、鉄道開業の時は15歳であった。よって、リアルタイムにその情報などを得ていたのではなかろうか(但し、開業時はまだ出生地である新潟県長岡市内にいた)。
そこで、今回議されているのは、天道と鉄道の共通性である。円了が他の誰かと、鉄道について話をしていたのだろう。その中で、対話の相手は、「天道は鉄道主義なり」と語ったという。しかし、円了は「鉄道主義」が理解出来なかったので、まずは、「天道」から理解を進めたが、当然、鉄道なんてものは近代以降の産物なので、「鉄道の如し」などという説明は無かったという。
そのため、相手に説明を求めたようだが、相手は鉄道の路線が、どのように開かれているかを説明したという。そこでは、山をあれば崩し、低地を埋め、「水平を保つ」という。そして、天道もこれと同様で、おごり高ぶっている者は抑え、謙譲を持つ者はこれを高めるという。
つまり、天道による任運の巡りと、鉄道が路線を広げる様子とが同じだとしているのである。そして、現状もこの「鉄道主義」の如く、全国に新たな路線が張り巡らされている。「水平を保つ」という生き方は、その都度に心掛けておきたいものである。これは、仏教ならば「中道」に通ずるものだろうか。それとも、格義的か?
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