つらつら日暮らし

「皐月」一考

5月の和名は「皐月」である。もっとも、「五月」も「さつき」と読むため、「皐月」はどういうことなのかな?そういえば、こういう記事でいつも参照させていただいている三田村先生の本を確認しておきたい。

◎五月 和名をさつきといふ、田をうふる月なれば、さなへ月といふを略せる也と奥義抄に見へたり。
    三田村鳶魚先生『江戸年中行事』中公文庫・1981年、41頁


要するに、「早苗月」の略で「さつき」ということらしい。それは良いとして、問題は「皐」の字か。単漢字としては、「岸、沢、水際」などの意味であり、「皐月」は「こうげつ」とも読むらしいが、中国での陰暦五月の表記に該当する。よって、中国での漢字表記に、日本での「さつき」の読み方を充てたと考えれば良いということになる。

・・・これで終わってしまうと記事にならないので、五月に因む内容で気になったことへのコメント。

○夏至は五月の中也、陰気はじめて地にくだる日なり。
    前掲同著、同頁


現在の太陽暦だと、夏至は6月20~22日前後になるが、旧暦では5月中であった。「陰気はじめて地にくだる」とは、陰陽思想の影響で、夏は陽が極まり、冬は陰が極まる。その内、夏至は陽が極まったので、後は陰に転じていくと考える。禅宗などでは、陽を悟り、陰を迷いに喩えるため、説法の中でも「冬至」の説法は、これから「陽(悟り)」が増えていくから、頑張って修行しろ、みたいな話をする。一方で、「陰(迷い)」が増えていく「夏至」は説法そのものをしない。

○梅雨又黴雨と書、梅雨出入の説、紛々として一決しがたし、
    前掲同著、同頁


梅雨の話は五月の項目に出ている。旧暦だとその通り。よって、6月の「水無月」は、本当に「水無し月」だったりする。この辺は、10月の「神無月」論争にも関わってくるので、軽々しくは扱えない。

と、頑張ってここまで書いたが、続きは書けそうにないので、以上としておく。そろそろ、『奥義抄』をちゃんと読んでみたい気はするが、拙僧の読解能力ではまだまだ先になりそう。

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