2012年に長崎県対馬市の観音寺から韓国人窃盗団によって盗まれ、韓国に持ち込まれた「観世音菩薩坐像」について、13年ぶりに返還を受けたそうです。
なお、13年掛かった理由として、この観音像について、韓国の浮石寺が、倭寇によって盗難されたものだとし、所有権を主張したためでした。
そして、日韓関係の冷え込みなどから、なかなか返還されずにおりましたが、この度、ようやく返されることになりました。
それにしても、浮石寺が倭寇によって略奪されたと主張することに、正統性はあるのでしょうか?裁判でも、そこは特に取り沙汰されていない印象です。仏像内から見付かった文書の関係で、浮石寺に関係があることはそうなのでしょうが、倭寇によって盗まれたという話自体は、根拠が無いように思われます。
一方で、浮石寺は李氏朝鮮時代の仏教弾圧期、存続が許された寺院に全く含まれておらず、朝鮮半島での仏教復興が許されるまでは廃寺扱いだったことが明らかです。そのため、倭寇に盗まれたかどうか、という話自体も信憑性が無く、一方で弾圧期に普通に日本に流出したと考える方が自然なように思えます。転ずれば、日本の寺院によって護持されたという見方も可能であって、その意味では既に縁が尽きて、今は日本と縁がある観音像になったという見方が良いと思うのですが、どうなのでしょうかね。日本からも、明治初期の廃仏毀釈時に、かなりの仏像が失われ、それこそ海外に流出しています。
信仰を失うということは、歴史を失うのと同じことなのです。
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