つまり、出家者に於ける「正儀」を示すのが本書なのではあるが、具体的な論述内容は、項目名から考えてみたい。
第一官律名義弁
第二住持規則弁
第三機根堪不弁
第四法衣如不弁
第五決択料簡
以上であるが、本書の大半は「第一官律名義弁」となっている。そして、その項目の内容は、中国に於ける「徳号位官」について論じ、更に、それに倣った日本のことも論じている。これは、官家が仏法を崇信して、外護の心から出したものであると評価している。
つまり、中国と日本に於ける僧官の役職名などについて論じたのが「第一官律名義弁」とはなっているのだが、ややもすると、僧官について考えるというのは、僧侶としての栄誉などを願う気持ちに繋がるのではないか、とも思えてしまうが、釈雲照律師はそういうことを願う人でもあるまい。当方のような凡夫が、疑うことも許される人ではないと思う。
そうなると、これは別の理由があると判断されるべきだが、その辺は続く連載記事の中で明らかにしていきたいと思う。
「第三機根堪不弁」については、布薩羯磨をするときには、衆僧が同一戒を守るべきだが、それが行われておらず、その理由として、「而ルニ今時ノ流俗ノ者ハ、機根ニ堪ズト云ヲ以テ、口實トセリ」(本書60丁表)という見解があったようだが、雲照律師は「六和敬」を重視すべきことを理由にしつつ、時代を超えて守られるべき正法・戒律があると主張するのである。
つまり、本書をしっかりと学ぶと、雲照律師の時代観や、戒律観が理解出来るはずである。詳細は次回以降、少しずつ見ていきたい。
【参考資料】
釈雲照律師『緇門正儀』森江佐七・明治13年
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