天真寺日記

天真寺の日々を綴ります

野菜コインロッカー

2006-11-06 23:13:27 | 日々
昨日のお出かけの途中に気が付きました。
駅近くの畑に野菜コインロッカーが出来ていたのです。
欲しい野菜が入っているロッカーにお金を入れて買うようです。



これを見てふと思い出しました。
数年前、大学院の研修旅行でサンフランシスコの禅センターに3週間程滞在していた時のこと。

そこでは、禅の行に励む人たち(主にアメリカ人)が、生活を共にし禅寺のような生活を営んでいます。
朝は早く5時起床。夜の消灯は10時。
規則正しい生活をし、食事はもちろんお精進。
昼間はそれぞれの仕事や学校へ通いますが、センターにいる間は朝夕と禅の時間があったり、頻繁に勉強会があったりと、まさに禅寺での修行生活です。

滞在中のある日、センターでの昼食の時間に隣のおじさんとお話をしました。
禅好き日本好きのそのおじさんは、空手を習っているからこれからお稽古なんだ、とのこと。
そして私に空手を習っていないのかと聞くのです。
私は経験がありませんから、そのように答えると、
「日本では自分で自分の身を守る必要がないんだな。
この前日本に行った人から、日本では野菜を無人で売っていて、お金を入れる箱が置きっぱなしになっているという話を聞いて、びっくりした。アメリカならすぐに壊されて盗まれてしまうのに。日本は本当に安全な国なんだね。」
と言われました。
家の近くでは、さらにそこに包丁が出しっぱなしに置いてあって、野菜を好きな大きさに切って買えるところまであるくらい。
それまで当たり前のように見慣れていましたから、言われてみて初めて安全さを再確認したような気になったことです。

けれど、最近では日本でも治安の悪化が問題となっていますし、自分自身でも日常に感じることがあります。
たった数年の間でも、アメリカ人のおじさんが感心した野菜の無人売りもすがたを消し、このコインロッカーが流行るようになるのかな~と、とても残念に思いました。
もしあのおじさんが日本に来たら、きっとがっかりするでしょうね。

野菜の無人売りも、その地域の人たちの信頼関係の上にできていたこと。
地域での人と人のつながりが薄れ、地域を守る目がなくなっていることを感じます。
目に見えてひとつひとつと、日本ならではのいいところもなくなっていってしまうんですね。

昔は地域の中心となっていたお寺。
現代のさまざまな問題が起こる中で、これからお寺がどんな役割を果たせるか、考えさせられたことです。

(静)



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