【写真1】CD(当時はLP)ジャケット写真。コンボを抱えるベンチャーズ。
夏休み中なので、張り切ってギター紹介といきましょう。今回はモズライト・コンボ。前回のお宝紹介で予告しましたね。
ベンチャーズは、1967年の日本公演にコンボと12弦ギターを持ってきました。アルバムで言うと「THE VENTURES LIVE, AGAIN!」。ジャケット(写真1)を見て「新型のギターだ、カッコ良い、ほしい」とのた打ち回りましたが、手が出るはずもなく、また片田舎では本物を見ることすら叶いません。当時はセミアコのエレキを使うミュージシャンが多く、グループサウンズもこぞって使っていたように思います。そこで、モズライト社も気合いを入れてセミアコを作ったのでしょうか。
【写真2】ベンチャーズが '67年の来日公演で使ったのと同じカラーのコンボ3本です。仕様も同じで、モズレー・ユニットつき、エフ(f)ホールには白いセルの縁取りがないタイプ。この仕様は初期型のコンボのみ。この中から、今回は特別な一本をご紹介しましょう。
【 Mosrite Combo Transparent Red '67 / H0007 】
【写真3】とても綺麗な赤のコンボです。初期も初期、シリアル番号は何と7番!こんなお宝、滅多に出会えません。有名なモズライト・コレクターから購入しました。新製品コンボの販売促進用(見本)に製作されたのか、量産品(一般販売)といくつか違う特徴が見られます。例えば、カラーは量産品に比べてやや橙色っぽい赤、しかも木目が透けて見えています。まさに、Transparent Red(透き通った赤)。楽器店が気に入るよう、気合いを入れて作ったのでしょうか。後ほど、量産品との違いをいくつかを紹介しましょう、しつこくない程度に!
【写真4】この頃のヘッドストックにはアジャスターカバーがつきます。ベンチャーズ・ロゴの契約をしなかったのですね、ヘッドにはモズライト社のロゴだけ。広くプロに使用してもらうためには、ベンチャーズ・ロゴはベンチャーズのイメージが強過ぎて、むしろ邪魔だったのかもしれませんね。しかしマニアにはベンチャーズ・ロゴがついてないと何か寂しいですね。でもロゴが付いてないのが正しいコンボです。
【写真5】ボディーのアップ画像です。ボディーには傷がほとんどなくとても綺麗です。ピックガードの色と形(おそらく材質も)が量産品と違っています。しっかりとモズレー・ユニットがついていますね。ボディーの向かって左側に噂?のエフ(f)ホールが空いていますね。しばらくすると、エフの字にくり抜いた部分の内側に、白のバインディングがつくようになります。マニアは、モズレー・ユニットつき、エフ・ホール・バインディング無しのコンボが欲しいのです。
【量産品コンボとの比較】
ここからは赤のコンボが量産品と違うところを紹介します。
【写真6】赤のコンボには特別なピックガードがついています(写真左)。私の知る限り、量産品には真っ白なピックガードがついています(写真右)。ところが、この赤のコンボにはソリッドのモズライトについているのと同じ、クリーム色のピックガードが付いています。フロント・ピックアップの下側に接する部分は、ピックガードの尖った先端が6弦の位置まで伸びているのが分かります。一方、右側の量産品のピックガードの先端は3弦と4弦の間で止まっていますね。黄色矢印の位置が違いますね。こんな色、形の違いが確認できます。
🌟社名とシリアルNo.を記したラベルの違い
【写真7】コンボには、エフホールから覗ける位置に、社名とシリアル番号を記したラベルが貼ってあります。右側の量産品には、オレンジ色に黒縁取りの楕円形のラベルに、何やらゴチャゴチャと文字が印刷されているのが覗けます。ここにシリアル番号もタイプ打ちされています。一方、左側の赤のコンボには、茶封筒のような紙質のラベルに社名が印刷されているのが分かります。形も楕円ではなく長方形。手書きで丁寧にシリアル番号と"Combo"と書かれています。いかにも少数手作りってな感じなのです。
以上のような違いから、この赤のコンボは、販売促進用に作られた特別なギターだと勝手に決め込み、独り悦に入っているのであります。いかがでしたか、しつこかったですか?
次回はコンボの6弦とベース、いずれもサンバーストを紹介しましょう。お楽しみに!