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日常と好きなものと母の自宅介護の極私的記録

Dreaming Now

2019-09-19 17:49:00 | 日記
母の介護を始めてもう長い年月が過ぎた
未だ罪悪感が消えることはない
 
介護者の休息と
母の体につけられた器具の交換を兼ね
定期的に病院に入院させる
 
ホッと一息ついて自分の事をやる時間が持て
だからこそ自宅での介護を続けられている
 
母を忘れ
自分が休まり
遊び笑い回復する間
彼女は病室で耐え忍んでいる
 
クモ膜下出血の後遺症による
言語機能障害と四肢麻痺の状態は
ナースコールで助けを呼ぶことも
思うように体を動かすことも
何もかも一切ができない
 
病院のスタッフの方々に不満はない
仕事である
そこに情はない
だからこそ家族が休まる
 
けれどどう考えてみても
母にとっては煉獄でしかない
 
脳の大部分に損傷を受けているので
こちらの言葉を理解することも
自分で言葉を生み出すこともできないと
医師には告げられた
 
しかしずっと側にいた身内にはわかる
明らかに自我を持ち
突然通じなくなってしまったが
しかし懸命に
その表情でもって
母は想いを伝えている
彼女の言語で
彼女の景色の中で
その感情の豊かさには驚く
 
今日も病院に母を送った
いつもよりも長めの入院期間を過ごす
なぜなら
私が旅に出るからだ
 
母はわかっている
すべて見透かされている
その目はいつだって伝えている
 
生と死の狭間に母がいる時
私は願ってしまった
まだ行かないでくれと
それがどれほど残酷なことか
未熟な自分には理解が及ばなかった
 
その目に魂が再び宿り
天井を見つめ出した時
私は安堵とともに
悪魔に魂を売ったのだ
 
その罪は果てしなく重く
また告解をここに書くような
己の度し難さに辟易する
 
神がいるならば
どうか
彼女の見る景色だけは
光あふれる穏やかなものであって欲しいと
 
最後まで側につき
おくりだせたならば
己が罰からだけは逃げないと誓い
切に祈る

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