湖坊諒平っていうブログ

貧しくも 富士より高し わがモチベ

国税専門官になろう vol.11

2020-03-14 14:53:19 | 国税専門官

むすび   ~国税企画を読んでくださった皆様に~

 

 ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました。筆者はこういった企画モノを書こうと思ったとき、いろいろ考えました。そして書き進めていく中で、なかなか自分の書きたいとおりにならないもどかしさも十分に感じました。本当にいいものを書くって難しいですよね。

筆者は平成7年の合格です。一度目の受験で合格しました。その時代、どんな時代かっていうと阪神・淡路大震災、オウム真理教事件、金融不安…といった時代です。オウム真理のことが毎日毎日テレビで報道され(インターネットはまだなかったです。でもこの年の流行語の一つにインターネットという言葉が上がりました。)、それはもう今のコロナウイルスの騒ぎのようでした。イチロー擁するオリックスが日本一になったりもしました。筆者はイチロー選手と同い年です。

そんなトシいったオッサンが書いた合格体験記なんて古すぎて読めないぞ!! そうかもしれません。しかし、試験問題なんかはさほど変わっていないのでご安心を。ただ、憲法・民法なんかは判例が増えたかもしれませんね。経済学では損益分岐点の計算が最近の傾向かな、という気がしました。

これからの方に気を付けていただきたいのはやはりスマホの存在です。すぐに情報が集めることができて便利なスマホ、でもこれほんと勉強のじゃまになると思います。簡単にLINEやネットができますからね。筆者の頃はまだガラケーすらありませんでした。でも今から思うとこれは勉強に集中できる環境だったと思います。勉強する時は思い切って「スマホ断ち」してください。

世界を見渡してみても先進国はどこも大きな財政赤字を抱えています。日本も例外ではありません。いや日本がワーストワンではないでしょうか。そんな中国税局の採用試験に合格されて国税専門官となられるみなさんは国を支える大きな存在です。みなさんが暴れまわれるフィールドは必ずあると思うので頑張って欲しいです。

ところが…筆者はすでに国税局を退職してしまったのです。理由は体を壊したためです。現在は病院への通院と両立できる仕事をしています。退職してから仕事を転々としましたが、国税局を経験したことは常に自分の誇りであり、自信でした。

国税局で教わったこと、今で身に沁みついています。今の仕事をしていても時々心の底から当時の上司・先輩たちの優しくも厳しい声が聞こえてきます。実際退職の辞令をもらいに勤めていた税務署へ行ったときのこと。去り際に署長・副署長以下署の幹部の皆様が激励してくれました。「頑張れよ!」と。あの負託に今応えなければならないんだ、そう思って今生きています。税務署に残っていられたら今頃統括官かな、そんなことも少しは考えますが歴史にifがない以上、筆者にもifはありません。

本ブログをお読みのすべてのみなさん。国税局に受かった方、残念ながらすべった方、これから受ける方、関係のない方…すべての方へ筆者からのメッセージです。筆者は国税局というキャリアを経て豊かな人生を得ました。そして筆者はそれを失いましたが、別の道を見つけました。落ちたみなさんもきっと別に輝ける道があるはずです。筆者は多くの人の支えを受けながらまた自分で見つけましたから。確かに国税局は素晴らしい。でも違う人生も素晴らしい。筆者は両方を体験しました。実際国税局を退職してからですが、良縁あって結婚もできました。(子どもができなかったのが残念ですが)

本ブログの過去の小説を読まれてみなさんがどういう感想をもたれたかはわかりませんが、筆者は自分の小説を読んで思います。「深い」と。筆者は物語から、自分が洞察力のある何というかお金がなくても幸せな人なんだと思います。人生の折り返し地点をちょっと過ぎましたが、これからもそうありたいと思います。

                                  (了)


国税専門官になろう vol.10

2020-03-10 15:14:45 | 国税専門官

国税専門官を目指して  ~二次面接試験はこう攻略する~

 

みなさんこんにちは。この国税企画もだんだん終わりに近づいてきました。今日のテーマは面接です。一次の筆記試験に合格されたら二次に進むわけですが、面接の受け方についてはおそらくみなさんの方が詳しいのではないかと思います。ここではポイントを絞ってお話します。

国税局の採用試験では国家総合職・一般職と違って官庁訪問での内々定といったものはありません。国税局しか採用先がありませんからね。ただ、筆者の時はガイダンス的な職場見学はありました。今でもあるかもしれません。

本題に戻って面接の受け方ですが、いくつかポイントを挙げてみます。

〇志望動機:筆者も真っ先に聞かれました。

〇自己PR:筆者が読んだ虎の巻にありました。(面接官・上司から見て)こういう部下が来たら頼もしい。

〇話し方:ハキハキ話す。熱意を伝える。

志望動機はなぜ公務員なのか? なぜ国税局なのか? に焦点を絞られては、と思います。同じことは民間の面接でも言えますね。例えば商社なら「なぜ商社(流通業界)が志望なのか」「なぜ○○社を志望するのか」などといった具合です。公務員にせよ商社にせよなんにせよやはり他業種とは仕事が違いますよね。そしてほかの役所・会社とも違います。「是非とも国税局に!!」というところを伝えてください。そのための企業ならぬ役所研究を十分にしてください。

自己PR、うまい話し方は難しいものです。これは場数をふむしかない。筆者も何十社も落ちて国税局に採用されました。筆者の頃は超氷河期の厳しい時代でした。でも結果的に採用はされたので不採用になった経験もムダではなかったのです。筆者は国税局と民間を併願したのですが、民間の方は熱意が足りなかったと分析しています。その反省が国税局採用につながったのだと確信しています。

 

 


国税専門官になろう vol.9

2020-03-08 15:14:41 | 国税専門官

国税専門官を目指して  ~専門記述試験はこう攻略する~

 

 みなさんこんにちは。今日は国税局の採用試験における記述試験の攻略についてお話します。

 現在の試験制度では確か憲法・民法・経済学・会計学・社会学の五つから一つを選択して答える、というものです。問題は極めて短く、例えば憲法だったら「憲法第84条の租税法律主義について論じなさい」といった感じです。択一試験の勉強をしておれば十分答えられる程度の問題で、深追いする必要はないです。ただ、書く練習は十分してください。

 問題を見てどれに答えるかを決めるか、それともあらかじめ決めておくか。意見の分かれるところですが、どちらでもいいと思います。筆者はあらかじめ決めていました。当時は2科目だったので憲法と経済学でいきました。お話した通りです。

記述試験の目的は各科目の理解を判定するほかに国税専門官として十分な文章力、文書作成能力を問うものです。つまりある種のビジネス文書作成とも言えるので、きれいな字で書くよう心がけてください。みなさんが就職活動するときに書く履歴書やエントリーシートと同じですね。汚い字だったら内容がどんなに良くても不利になります。

 問題集にある問題に実際に挑戦することは言うまでもありません。試験勉強のアウトプット→インプット→アウトプットの勉強が一通り済んで、教養試験の勉強も一段落したら始めて行くといいでしょう。大切なのは実際に書くこともですし、あとイメージトレーニングをすることです。例えば、経済学で「IS-LM分析について論じなさい」といった問題があったとします。頭の中で何を書くべきか考えます。

…これを考えたのは確かヒックスという学者だったな…ISは確か投資と貯蓄の関係、LMは確か流動性や貨幣に関するものだったな…というのが浮かんでくるでしょう。次に投資と貯蓄と利子率・GDP、貨幣なら取引的需要・予備的需要・投機的需要の三つの需要…

と発展させる、といったイメージトレーニングです。自分で問題を仮に設定してみて頭の中で仮に答えてみる。その後、専門書を開いて知識をインプットしなおす。これが専門記述対策にいいと思います。もちろん択一の対策にもなりますよ。

 ここまで読まれた方は思うかもしれません。「あと何時間勉強したらいいんだろう?」って。実際合格した人の体験記を読んでみると1日に8時間とか10時間といった人が多いようです。筆者は正直そこまで多くはなかったのですが、申し上げたように早くから始めていたのである程度の勉強量を確保できたのだと思います。近年、少子化による受験者数減や民間の採用増で国税局はやや広き門になったとも言われていますが、それでも確実な合格を狙うなら勉強時間の確保は必須事項です。国税局の採用試験は「採用試験」なので採用は成績順です。上位合格の方が有利です。


国税専門官になろう vol.7

2020-03-04 14:34:41 | 国税専門官

国税専門官を目指して  ~その他の専門科目はこう攻略する~

 

みなさんこんにちは。今日はこれまでお話した以外の専門科目についてまとめてお話します。具体的に言うと政治学・経営学・社会学、あとそれから英語・商業英語・その他情報系科目です。現在の国税局の専門科目は選択制なので何を選択されるかは皆さん一人ひとりによって違うのですが、あくまでも筆者の意見ですが、問題を見て決めるよりもじっくり科目ごとに対策を立てた方がいいのではないでしょうか? 国税局の採用試験で求められるのはどちらというと各科目の基礎的な知識です。

政治学・経営学・社会学なんかはどちらかと言うと暗記科目ですね。問題集でアウトプット、インプット、アウトプットの勉強でいいでしょう。これまでの科目と同じです。重要度が落ちるのであまり時間をかけず、早めに仕上げてしまいましょう。とは言っても、国税局の仕事をするのに政治や経営、社会のことを知っておくことは大切です。

念のため政治学と経営学の筆者が使っている専門書を挙げておきます。どちらもいい本なのですが、こうした本で中心に述べられていることと試験によく出るところは必ずしも一致しません。過去問、問題集から出題の傾向をつかんでください。

政治学:『新版 日本政治ガイドブック 民主主義入門』 村上弘先生 法律文化社

経営学:『経験から学ぶ経営学入門』 上林憲雄先生ほか 有斐閣ブックス

社会学は筆者現在専門書を持っていないのですが、社会学部や法学部の方で、経済学なんかを避けたい方には選択するのもいいかもしれません。それに専門記述でも選べます。筆者は特に熱心に勉強しませんでしたが、そういう選択もアリだと思います。

 あと英語などは得意な方にはお勧めです。苦手な方が無理に勉強してまで、というのはお勧めできません。というのも、英語・商業英語は問題集がなく対策が立てにくいのです。法律系の科目や経済学、会計学には問題集がありますよね。対策はむしろ立てやすいです。ここが違うところです。勉強の対策としてはやはり過去問をしてどの程度の問題が出ているか把握することですが、後述の教養科目の時にも言いますが早く解くことです。それだけ解くのに時間がかかるということです。どんなに正解してももたもたしているようではだめです。法律系の科目や経済学、会計学その他は比較的早く解答できると思うのでここも違うところです。

 あと申し訳ないのですが、情報数学など情報系の科目の科目については、筆者はよくわかりません。ただ筆者が言えることは英語系と同様対策が立てにくいから得意な人はよくても苦手な人にはお勧めできないということ、数学は解くのに時間がかかるということ、情報系の知識は絶えず最新のものにアップデートする必要がある、ということです。


国税専門官になろう vol.6

2020-02-29 16:09:17 | 国税専門官

国税専門官を目指して  ~会計学はこう攻略する~

 

みなさんこんにちは。今日は専門科目の中の最重要科目、会計学についてです。会計学も法律系の科目や経済学と同様に公務員試験対策の問題集が多数刊行されているので対策は立てやすいですね。やり方は申し上げた通り、まず各章の例題を1,2問解いてアウトプット、そして解説や専門書でインプット、その後またアウトプット、です。会計学は必須科目で問題数も多いのでじっくり勉強してください。

 会計学は専門書の精読もおすすめします。筆者は同文舘出版から出ている飯野利夫先生の『財務会計論』という本を使っていました。この本はこの手のもので大変な名著とされる本で、実際筆者の税理士試験に合格した友人もこの本を読んでいたほどです。しかし残念ながらこの本はとても古く、また1993年以降改訂版も出ていないため、現在ではお勧めできません。参考まで筆者は五絃舎の『現代財務会計論』という本を持っています。(最近特に読んではいませんが、いい本だと思います)いずれにせよ、民法や商法の話をした時と同様、最新の本で勉強してください。もちろん、問題集もです。

 国税局が第一志望という人なら当然会計学は勉強するとしても第二志望の人、つまり他の国家公務員試験や地方公務員が第一志望という人は、会計学はどうすればいいのでしょうか? 筆者からの妥協案ですが、簿記のところと企業会計原則のところだけはしっかりやる、というものです。この二つを重点的に勉強すればいいのではないでしょうか? あと、余力があれば損益の計算なんかもやればさらにいいと思います。もちろん、国税局が第一志望の方なら最重要です。

 簿記は、国税局ではだいたい日商簿記2級から3級の範囲ですが、深追いする必要はないです。仕訳が中心でしょう。余力があれば簿記検定も、と言ったところです。ただし、会計学というジャンルは簿記を得て理解が深まる領域なのでそのためにも簿記の勉強は必要でしょう。また企業会計原則については7つの原則すべてと重要性の原則をしっかり押さえること。例えば真実性の原則ならそれは絶対的真実ではなく相対的な真実である、とかです。あと、損益のところは総額主義や実現主義、現金主義などの実現主義の例外のところです。