霊木金言寺銀杏樹物語 その参
彼方に一軒此方に一軒の山里は既に紅葉して四方の眺めもいとよかりしに、
まして降る霜は雪かとまがふ、一夜炭焼く杣の家に宿り給ひて雑炊の味もい
とおいしく飢を凌がされ、燃え熾る炊火明かりに聖祖の御教へを宣べ、お題目
の祈念をぞなし給ひしかば、杣の主人大いに感にうたれ即時発心して上人の
門に入り只管題目三昧に入りしと云ふ。
つづく
霊木金言寺銀杏樹物語 その参
彼方に一軒此方に一軒の山里は既に紅葉して四方の眺めもいとよかりしに、
まして降る霜は雪かとまがふ、一夜炭焼く杣の家に宿り給ひて雑炊の味もい
とおいしく飢を凌がされ、燃え熾る炊火明かりに聖祖の御教へを宣べ、お題目
の祈念をぞなし給ひしかば、杣の主人大いに感にうたれ即時発心して上人の
門に入り只管題目三昧に入りしと云ふ。
つづく
王城の地より時の通路なる丹波、播磨、美作、備前、備中と
通り過ぎ、その道すがらにても一切衆生のために妙法の福音を
傅給ふ有り難き事も数々あった。これより出雲國に入りて妙法を
弘通せんものと思し召され、備後尾の道より中國山脈の裾なる
恵宗郡由木の片田舎にたどり着き給ひぬ、
つづく