昨日は村田沙耶香という作家の小説を読みました。
「消滅世界」です。
人類の生殖は人工授精で行うことが当然になり、性行為は不潔とされ、忌み嫌われるようになった世界。
さらに進んで、実験都市というのを作り、楽園(エデン)システムという気色の悪い方法で人間社会を変革させようと試みます。
すなわち、男は人口子宮というものを取りつけ、男でも女でも出産を可能にし、生まれた子供は父母ではなくエデンシステムが育てる。
子供は社会全体の物として、男も女も老いも若きも成人は全ての子供のおかあさんとなり、家族という概念は消滅してしまう。
一種のSFであり、ジェンダー・レス社会を描いた作品と言えます。
非常に興味深い内容で、感銘を受けました。
もう10年も前になるでしょうかか、この人の芥川賞受賞作「コンビニ人間」を読みましたが、あんまり面白くないという印象を受けました。
それが「消滅世界」を突然読んでみる気になったのは、本屋で偶然手にとり、面白そうだと思ったからです。
思い返してみれば、コンビニでの仕事に耽溺する中性的というより無性的な女の不思議な生活をつづったもので、この作者はジェンダーの問題を主要テーマにしていることが今さらながらに知りました。
女流作家、ジェンダーレスを描く人を時折見かけます。
男ではほとんど見られないので、女流作家の特徴なのかもしれません。
「親指Pの修行時代」とか「アマノン国往還記」、「闇の左手」など。