ミゼット ウィング
~小さな小さな はね物語~
第10章 罪は償えっ!
2.「ごめんね」は言葉の魔法
「ぬれてたら、悪いことしちゃったから…。」
少しの沈黙を破るようにアイネが言った。
「え、濡れなかったけど…。」
私はちょっと迷ってからそう答える。
まさかアイネが清めの水の所にくるなんて。
「そっか。なら良かった…。」
アイネは私の隣に座って、息を整え始めた。
彼女は、走ってここまで来たっぽい。
「何で…。」
「は?」
かすれた声に、アイネは聞き返す。
私は手を固く握りしめて、叫んだ。
「何でここに来たのよっ!」
アイネはちょっと笑うと、立って私と目線を合わせる。
そして、堂々と言った。
「イブが心配だったから。」
「はぁ!?」
私はアイネの言葉に目を見開いた。
アイネは落ち着いて続ける。
「だから、心配だったの。さっきクラスメイト――ホルンから聞いたんだけど、清めの水飲んだんでしょ?あれまずいから飲まない方がいいって!私は無理!絶対無理!」
アイネは首を振りまくって主張した。
その様子が少しおもしろくて、私は微笑んだ。
そのとたんに、視界がぼやける。
「イブ…。」
泣いてることに気付いたアイネがふわりと寄ってくる。
そして、噴水の所に座らせてくれた。
「アイ、ネ…?」
何をするわけでもなく、アイネはまっすぐ前を見つめる。
その目がとても優しいことに、私の『泣き』は強まった。
「ごめん…。」
その一言を私は必死に言う。
アイネは前を見たまま、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「ごめんって言葉、魔法なんだって。昔、聞いたことがあるんだ。―――だから、フラットさんとかに言おう。私も一緒に行くから。」
「ごめん…ごめんね…!」
彼女は、こんなにも優しい。
私は毎日バカにしていじめていたのに。
私は今までのことを悔やんだ。
「私も、イブのこと許すし。昨日のロアさんがやった一発でチャラにしてあげる。かわりに…ちゃんと謝ること!いいでしょ?」
アイネのいたずらっぽい笑みに、私も笑って返した。
「ありがとう、アイネ。…ほんとに、ありがと…。」
「いいの!だって、今友達になったから!」
どこまでも優しい言葉に、私はもう一度「ありがとう」と言った。
Written by ふーちん
~小さな小さな はね物語~
第10章 罪は償えっ!
2.「ごめんね」は言葉の魔法
「ぬれてたら、悪いことしちゃったから…。」
少しの沈黙を破るようにアイネが言った。
「え、濡れなかったけど…。」
私はちょっと迷ってからそう答える。
まさかアイネが清めの水の所にくるなんて。
「そっか。なら良かった…。」
アイネは私の隣に座って、息を整え始めた。
彼女は、走ってここまで来たっぽい。
「何で…。」
「は?」
かすれた声に、アイネは聞き返す。
私は手を固く握りしめて、叫んだ。
「何でここに来たのよっ!」
アイネはちょっと笑うと、立って私と目線を合わせる。
そして、堂々と言った。
「イブが心配だったから。」
「はぁ!?」
私はアイネの言葉に目を見開いた。
アイネは落ち着いて続ける。
「だから、心配だったの。さっきクラスメイト――ホルンから聞いたんだけど、清めの水飲んだんでしょ?あれまずいから飲まない方がいいって!私は無理!絶対無理!」
アイネは首を振りまくって主張した。
その様子が少しおもしろくて、私は微笑んだ。
そのとたんに、視界がぼやける。
「イブ…。」
泣いてることに気付いたアイネがふわりと寄ってくる。
そして、噴水の所に座らせてくれた。
「アイ、ネ…?」
何をするわけでもなく、アイネはまっすぐ前を見つめる。
その目がとても優しいことに、私の『泣き』は強まった。
「ごめん…。」
その一言を私は必死に言う。
アイネは前を見たまま、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「ごめんって言葉、魔法なんだって。昔、聞いたことがあるんだ。―――だから、フラットさんとかに言おう。私も一緒に行くから。」
「ごめん…ごめんね…!」
彼女は、こんなにも優しい。
私は毎日バカにしていじめていたのに。
私は今までのことを悔やんだ。
「私も、イブのこと許すし。昨日のロアさんがやった一発でチャラにしてあげる。かわりに…ちゃんと謝ること!いいでしょ?」
アイネのいたずらっぽい笑みに、私も笑って返した。
「ありがとう、アイネ。…ほんとに、ありがと…。」
「いいの!だって、今友達になったから!」
どこまでも優しい言葉に、私はもう一度「ありがとう」と言った。
Written by ふーちん