I~これが私~

風の吹くまま,気の向くまま,ありのままの自分で。

『ミゼット ウィング』第10章-3

2011-05-14 20:12:20 | 小説『ミゼット ウィング』
ミゼット ウィング
 ~小さな小さな はね物語~


第10章 罪は償えっ!

3.新入り3人!

「…1人増えてる?」
フラットはやっとの思いでそう言った。
他の5人も頷く。
アイネの笑顔が引きつるが、増えた1人は気にせずに笑っている。
「誰?イブとアイネと…君誰?」
指をかの少女に向けたまま、ナチュラルがイブとアイネに尋ねた。
イブがぼそぼそと答える。
「…クラスメイト。」
「の、ホルン。何でだかよく分かんないけど、暇だからってついてきたんだって。」
プラス、アイネの説明。
やっとかの少女――ホルンが口を開いた。
「ホルンといいます。私ルームメイトで気が合う人がいなくて。どうせ暇だし、ここでなにかやってもいいかなぁって思ったんです。」
それに、とホルンは続けた。
「イブさんとアイネさん、あと皆さんとの方が気が合いそうですから。」
しかも、最高の微笑をそえて。
その微笑をもらう方の身にもなってくれ――フラットは真面目にそう思った。
と、それはともかく。
「何の用?」
ロアが一年生を睨む。
正確に言うとイブを、だが。
「謝ろうと、思って。」
イブの消えてしまいそうな声。
そして――
「ごめんなさいぃっ!!」
さっきと全然違う、イブの大声が響いた。
ロアが痛くなった耳をさする。
「はぁ…。んで?」
「えっと…。」
イブが言葉を濁す。
どうやら、謝ることしか考えていなかったようだ。
「えっと…どうしたら、許してくれますか!?」

しーん……。

なぜだか、イブが子供っぽく見えた。
そのせいか、部屋が静まる。
「ぷっ」
1つの笑い声。
とても小さかったけど、イブには届いたようだ。
訝しげに声の本人に目を向ける。

声の本人、ロアは笑いすぎて出た涙をぬぐって言った。
「じゃ、私達の手伝いはどう?」


Written by ふーちん


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