I~これが私~

風の吹くまま,気の向くまま,ありのままの自分で。

『ミゼット ウィング』第9章-2

2011-04-28 21:41:29 | 小説『ミゼット ウィング』
ミゼット ウィング
 ~小さな小さな はね物語~


第9章 決戦!「種族の戦い」

2.演技?でしょ!?

というわけで兵士の準備はバッチリだ。
会場にはシャープ、アイネ以外の悪魔5人がいる。
「あ、イブさん…。」
今の言葉はラート。
イブにさん付けしてるのに驚いたが、アイネはふと気付く。
後ろの茂みから飛び出ているカンペに。
「ね、シャープさん。あれ何です?」
小声で聞くと、シャープはため息混じりに返した。
「うちらのマネージャー。このこと知ってかなりやる気になっちゃったの。勝手にカンペとか作ったりして…。バレたらどーすんのよ。」
少しシャープの声が大きくなってしまったが、「マリウォント」でざわめきを出し、ごまかしてみる。
幸い、イブは気付かなかった。
「えと、イブさん…。ごめんなさい。私達が間違ってたわ。」
今度はナチュラルだ。
ちょっと工夫しすぎていて変だが、うかれている(いじめるチャンスが来たことに)イブはまったく気付かない。
ありがたいことだ。
これなら後ろでカンペを出していることも気付かないだろう。
「え?な、何よ、どういうこと?」
「イブさんが言ってるのが、一番正しいと思ったの。」
フラットが本当にすまなさそうに言った。
演技がとても上手だ。
アイネは拍手したいのを必死にこらえた。
「べ、別にあんたらに言われなくても嬉しくないんだからっ!」
あれ、何かツンデレっぽくなってる。
言っていることが正しいと言われたせいか、顔が赤い。
「だから今日は…謝ろうと思ったの…。」
今のはレスト。
謝ろうと思った、の前に少し詰まったのは…まぁ、仕方ない。
「ごめんなさい。どうしたら許してくれる?」
ロアのセリフなしでまたラートに回ってきた。
イブは真剣に考え込む。
3拍の後、イブの目が妖しく光った。
「じゃ、私に服従してくれる?それなら許すわ。」
…あぁ、やっぱりイブだ。
2年生を服従させる1年生なんて、今んとこイブしかいない。
「…分かった。」
ロアがやっと口を開き、跪く。
ほかの4人もだ。
「私達ミゼットウィングは、イブ様に忠誠を誓います。―――主の貴方に、祝福を。」


Written by ふーちん


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