課長「山田君、なんでこんな所に宿を取ったの・・・?」
山田「すいません。このあたりは、あまり旅館がないんです。」
課長「昼間なのに、人が誰も歩いてないよ。・・・寒いし、気温は間違いなく氷点下。」
山田「旭川より北です。しかも2月ですから、寒いのは仕方ないというか・・・。」
課長「それはそうだが、・・・雲ひとつない晴天なのに、誰もいない。どうなってるの。」
山田「・・・すいません。」
課長「君が謝る問題ではないが・・・。昼間なのに、誰も歩いてない。不思議というか、さみしいというか・・・。」
山田「・・・・・。」
課長「景色は真っ白だけど、暗い町だねー。・・・もう来ることはないと思うけど・・・。」
山田「・・・・・・・。」
山田「あっ、課長。駅の方から、人が歩いてきます。」
課長「おっ、・・珍しい。初めて人に会えるね。」
山田「女子高生じゃないですか。・・学校帰りみたいですね。」
課長「本当や。初めて、まちの人とすれ違いそうや。」
山田「はっ、はい。」
女子高生「こんにちは!」
山田「こっ、こんにちは!」
課長「こっ、こんにちは・・・。」
課長「山田君、いい町だねー。」
山田「そっ、そうですね。本当にいい町ですねー。」
課長「真っ白で、明るくて、あたたかい。・・いい町だねー。」
山田「はい。いい町ですねー。」
課長「山田君、ありがとう。」
山田「はっ、はい。・・・ありがとうございます。」