快読日記

日々の読書記録

「舟を編む」三浦しをん

2012年05月20日 | 日本の小説
《5/19読了 光文社 2011年刊 【日本の小説】 みうら・しをん(1976~)》

「私が語りはじめた彼は」以来、久しぶりに読む三浦しをん作品です。
本屋大賞っての以上に、周りの人たちの評判があまりにいいのでつい。
そんなに人気者なのか~、どんな人なんだろう、わたしも仲良くなりたいな、というかんじでつい。

で、読み終えて丸一日経過した今、感想を述べるとしたら、
いい意味でも悪い意味でも本屋大賞っぽい、というところです。

辞書編纂に関わる人たちの話で、
グッとくるセリフも胸を打つ場面もたくさんあって、
登場人物のキャラクターはみんなくっきりしていていい塩梅に魅力的、
かけあいは面白いし、
適度にホロリとさせられる。
人に「どうだった?」と尋ねられたら「よかったよ」って答えると思う。

まさに文句なし!

なんだけど、

なんだけど、

やっぱりわたしはパスだー!

なんかこう、サラッと脱臭されててさ、噛み応えがなくてさ。
例えるなら、異様なほどの清潔感にあふれ、体臭も毛穴もムダな体毛もなくてツルッとした韓流スターのようだ。

これ読む前の自分と読んだ後の自分と、何の変化もないよ。
それは文学作品としてどうなのよ、と。

じゃあ、わたしにとってのいい作品ってのは何かって聞かれたら(聞かれてないけど)、
刃が内臓まで達するようなものだったり、
読後数日経って体内を回り始める毒みたいだったり、薬みたいだったり、
自分の体内にずっと前からあるのに見ない振りしてた何かをズルズル引きずり出すものであったり、
つまり、
「ああっ!もうわたしはこれを読む前の自分には戻れないのだわっ!」っていうやつよ、と答えたい。
…でも、人さまの理解は求めますまい。

なんだか、自分がただの変わり者みたいな気がしてきました。

/「舟を編む」三浦しをん
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