快読日記

日々の読書記録

「吉田知子選集Ⅱ 日常的隣人」吉田知子

2013年11月09日 | 日本の小説
《11/4読了 2013年刊 景文館書店 【日本の小説 作品集】 よしだ・ともこ(1934~)》

収録作品:日常的母娘/日常的夫婦/日常的嫁舅/日常的二号/日常的親友/日常的レズ/日常的隣人/日常的先生/日常的美青年/日常的患者/人タケ(草冠に譚の旁)
解説:「日常的隣人」への四題(町田康)

出てくる人たちはみんなどこかが狂っている。
それなのに、意外とどこにでもいそうな気もしてくるから不思議です。
カリカチュアっていうのか、いくらなんでもこれは悪ふざけが過ぎるんじゃないかってくらいの脱輪ぷりがたまりません。
あー。クセになる。

「日常的夫婦」「日常的嫁舅」「日常的患者」みたいな強烈なオチがあるものもおもしろかった。
悪趣味(←褒めてます)で粘度の高いドタバタに、さらに殺傷能力の高い悪意を注入したかんじ。

カナダで暮らす親友が病に冒されもうすぐ死ぬというところから始まる「日常的親友」は、予想外の展開すぎてしびれました。
「日常的先生」は、田舎に住んでると実はあるあるな光景。
こういう嫌な感じ、嫌な人間を、その臭いまでただよってきそうに書くのがすごいですね。

怖くて黒くて気持ち悪いのに、痙攣みたいなしゃっくりみたいな変な笑いがこみ上げてくる恐るべき名作。
ハズレがひとつもない!


→「吉田知子選集Ⅰ 脳天壊了」吉田知子


/「吉田知子選集Ⅱ 日常的隣人」吉田知子