(七合目手前から中禅寺湖)
久しぶりの過去編です。6月に入ると暑さと藪と羽虫で奥武蔵の山に入るのが億劫になるので、山行記録を振り返ってみても域外の山に入るのが多くなっています。本文には当時の気候は書いてありませんが、梅雨時は結構登山適期なんじゃないかと思います。真夏は日光も流石に暑いでしょうからね。
6月に入り、梅雨の時期となった。梅雨時はどうしても曇天の中を歩かなくてはならないので、あまり山に足が向くことがない。しかし、一月以上も山に入らないと苛々が募るばかりなので、梅雨の中休みを見計らって山へ行くことにした。候補は三つ峠、不老山から三国山、日光男体山の三つがあったのだが、日の長い時期なので一番アプローチに時間のかかる男体山へ行くことにした。
日光へは修学旅行と一人旅をしたときの2回行ったことがあったが、東武鉄道に乗って行くのはこれが初めて。電車を乗り継ぎ、新栃木駅を過ぎると周囲に山が視界に入るようになり、東武日光駅に近づく頃には大きな山々に囲まれ、奥山に入ってきた雰囲気がある。ホームに降り立つと特急と各停のホームが別々になっていて、ちょっと迷う。駅舎は広くてJR側に比べ活気がある。広いバスターミナルでバスを待っているとリムジンバスが入ってくる。どこの観光バスかと思ったら、これが路線バスであった。流石世界遺産にも登録された観光地である。快適な乗り心地のバスに揺られて市街を抜け、いろは坂に差し掛かる。いろは坂に来たのは小学生の修学旅行以来であったが、バスの運転手さんのドライビングテクニックにはつくづく感心させられる。いろは坂を登りきるとまもなく中禅寺温泉街に到着。大き目のターミナルから見上げる男体山が立派。左手に中禅寺湖を眺めながら進むこと10分で二荒山神社中宮に到着。
(中禅寺湖畔から)
境内を真っ直ぐ進むと登山口と書かれた看板が立っているので、指示通りに進むと巨大な山門の前に着く。山門の向こうには男体山の姿が見え、絵になる光景である。山門を潜り社務所で500円を払って受付を済ませる。名前と住所を書かされたので、ある意味登山届けの代わりを果たしているのかもしれない。拝殿でお参りを済ませ、登山道に入っていく。最初は石段と木段が続いているが、それほどきつくはない。道が土の登山道になったところで一合目の石碑。鳥居を潜り笹の生い茂る道を行く。傾斜がきつく景色に変化がないので結構辛い。石積みが前方に見えてくると林道が通る三合目まではあと少し。三合目から四合目までは舗装された林道を歩く。葉が茂っているのでいくらか暑さは凌げるが、アスファルトの照り返しがやはり暑い。ヘアピンカーブのところからは中禅寺湖が見える。この後も切り開きがある度に中禅寺湖が少しずつ姿を変えて登場することになる。
(二荒山神社山門と男体山)
(遥拝門)
(登山口の石段)
(一合目)
(三合目から中禅寺湖)
鳥居の立つところが四合目。ここからは登山道に復帰するが、この四合目から八合目までがこのコースで一番きついところ。四合目から五合目までは所々石が邪魔をする道で雰囲気は大菩薩嶺の裂石から丸川峠への道に雰囲気が似ている。五合目には石碑と急な雷雨などに対応できそうな避難小屋がある。五合目から七合目までは土の露出した九十九折と岩場が交互に現れ、岩場で炙られる度に体力を消耗していく。木陰は涼しいのだが、休憩に適したところがなく、他方岩場は、休憩はできるが暑くてじっとしていられない。七合目に着くと五合目と同じような避難小屋がある。この辺りからバテて休んでいる人が多くなり、自分のペースで進むのが困難に。7.5合目と書かれた石を過ぎ、鳥居を過ぎるともうすぐ八合目と書かれた石が現れる。
(四合目)
(五合目避難小屋)
八合目には滝尾神社の建物が建ち、緊急時には避難小屋の役割を果たすようだ。近くに岩陰があり、若い人たちが休憩を取っている。そういえば登山者が比較的若い人が多いのが特徴的であった。若い人たちも百名山に集中しがちだということなのであろうか。八合目を過ぎると傾斜が緩やかとなる。地形図を見てもはっきりと分かるくらいで、ザレ場となる九合目までは一息付けるポイントかもしれない。土嚢で土留めされた道を進み、木段を登ると周囲に高い木が少なくなってくる。スコリアらしきの赤い岩が出てくると九合目。ここからは山頂も見えているので否が応にも力が入る。
(八合目避難小屋)
(八合目登山道)
(縞枯れっぽい所も)
(九合目ザレ場)
九合目から10分ほどで山頂(2486)である。本殿の隣には社務所が建ち、人が常駐しているようだ。社務所の反対側には二荒山大神と書かれた銅像が立っている。銅像のあるところからは中禅寺湖と戦場ヶ原、日光白根山や太郎山、女峰山、大真名子山などの山々が見える。銅像の立つ場所から少し下ったところに建物が建っているので行ってみると、太郎山神社と書かれている。太郎山神社の本殿の扱いなのであろうか。ここからは中禅寺湖が更に大きく見える。
(山頂の銅像)
(山頂社務所)
(太郎山神社)
(山頂から中禅寺湖)
(太郎山?)
(左は日光白根山だろうか?)
山頂からは往復で二荒山神社に下る人が多いようだが、せっかくなので志津側に下ることにする。社務所の右手奥に進むと岩場の上に鉄剣が突き刺さっている。人の大きさと比べると2、3mはあるのではないだろうか。剣の刺さったところから北に下りたところに一等三角点がある。社務所が置かれているだけあって、保存状態は良好なようだ。志津側を見ると展望の良さそうな尾根が続いている。木の生えていないザレ場を行くのかと思いきや、尾根を外れて樹林帯に入ったりを繰り返しながら下る。志津側のほうは植生が豊かなのか、シャクナゲやイワカガミが自生している。シャクナゲには流石に遅かったようだが、イワカガミは所々に群落があり、ピンク色の可憐な花を咲かせていた。
(鉄剣)
(志津方面の尾根)
(大真名子山と帝釈山・女峰山の眺め)
(これを頼りに下山)
(イワカガミ)
下山道は八合目の木柱が立つところまではラジオラリヤのザレ場が多く、八合目から六合目の木柱までは2箇所崩壊地を通過する。特に最初の崩壊地はトラロープの張られた斜面をトラバースするので慎重に通過したいところ。六合目から三合目までは展望のない植林帯をひたすら下るだけ。道が抉れて歩き難いところがかなり多い。砂防ダムを過ぎればまもなく二合目で、地面に笹が目立つようになると一合目。一合目を過ぎれば道がフラットになり、石仏の立ち並ぶ社を過ぎると志津避難小屋に到着。水場は雨水を溜めたものを使っているのか、安心して飲めるのかはわからない。小屋の中は布団があり、2階のスペースもあったので詰めれば20人くらいは入れるのではないだろうか。小屋からは道が二本付いているが、どちらに行っても志津乗越に出る。
(危険な崩壊地)
(咲き終わりのシャクナゲ)
(抉れた道が多い)
(二合目辺りの景色)
(石仏群)
(志津避難小屋)
志津乗越からは2時間ほどの長い舗装路歩き。しんどい道のりだが、綺麗に整備された森を眺めながら歩くほかない。途中男体山が見えたが、志津側から見ると綺麗な円錐形ではなく、手前にも山があるように見える。太郎山へ向かう分岐を通過したところで親切な方が車に同乗させてくれた。これで1時間以上の林道歩きをパスできる。ありがたや~。途中もう一人ハイカーのオジサンを拾い、中禅寺温泉まで送ってもらった。中禅寺温泉街はまだオフシーズンで閑散としている。天然温泉の看板が掲げられたホテルにオジサンと入り、日帰り温泉に入ることに。700円であったが貸しきり状態で良い湯であった。温泉を出た後近くの売店でバスを待つこと10分。意外とバスが混んでいる。中禅寺温泉のバスターミナルに来ると長蛇の列である。補助席使用となるほどの混雑であったが、神橋で途中下車し、日光名物の羊羹を買って帰路に着いた。
(志津乗越)
(林道)
(林道からの男体山)
DATA:
東武日光駅(東武バス50分)中禅寺温泉8:54~9:21一合目~9:43三合目~10:07四合目~10:23五合目~11:03七合目~
11:24八合目~12:03男体山頂社務所12:21~12:50志津側八合目~13:15志津側六合目~13:41志津側三合目~
13:51志津側二合目~13:58志津側一合目~14:03志津避難小屋~14:08志津乗越~林道(好意同乗)中善寺温泉
(東武バス50分)東武日光駅
電車・バスについては「まるごと日光 東武フリーパス」を使っています
東武バス 東武日光駅~中禅寺温泉(中禅寺温泉或いは湯元温泉行き) 1100円
地形図 日光北部 男体山 中禅寺湖
山と高原地図「日光」
日光では一番著名な山ということもあって意外とファミリー層が多かったりしますが、標高差を考えるとかなりきつめの山だと思います。
中禅寺湖側からの登山期間は原則として5月5日から10月25日までに限定されています。
それ以外は志津側から入れますが、上記期間外は遭難死亡事故が多発しているので、一般の登山者は5月中旬から10月中旬までにしておいたほうが良いでしょう。
久しぶりの過去編です。6月に入ると暑さと藪と羽虫で奥武蔵の山に入るのが億劫になるので、山行記録を振り返ってみても域外の山に入るのが多くなっています。本文には当時の気候は書いてありませんが、梅雨時は結構登山適期なんじゃないかと思います。真夏は日光も流石に暑いでしょうからね。
6月に入り、梅雨の時期となった。梅雨時はどうしても曇天の中を歩かなくてはならないので、あまり山に足が向くことがない。しかし、一月以上も山に入らないと苛々が募るばかりなので、梅雨の中休みを見計らって山へ行くことにした。候補は三つ峠、不老山から三国山、日光男体山の三つがあったのだが、日の長い時期なので一番アプローチに時間のかかる男体山へ行くことにした。
日光へは修学旅行と一人旅をしたときの2回行ったことがあったが、東武鉄道に乗って行くのはこれが初めて。電車を乗り継ぎ、新栃木駅を過ぎると周囲に山が視界に入るようになり、東武日光駅に近づく頃には大きな山々に囲まれ、奥山に入ってきた雰囲気がある。ホームに降り立つと特急と各停のホームが別々になっていて、ちょっと迷う。駅舎は広くてJR側に比べ活気がある。広いバスターミナルでバスを待っているとリムジンバスが入ってくる。どこの観光バスかと思ったら、これが路線バスであった。流石世界遺産にも登録された観光地である。快適な乗り心地のバスに揺られて市街を抜け、いろは坂に差し掛かる。いろは坂に来たのは小学生の修学旅行以来であったが、バスの運転手さんのドライビングテクニックにはつくづく感心させられる。いろは坂を登りきるとまもなく中禅寺温泉街に到着。大き目のターミナルから見上げる男体山が立派。左手に中禅寺湖を眺めながら進むこと10分で二荒山神社中宮に到着。
(中禅寺湖畔から)
境内を真っ直ぐ進むと登山口と書かれた看板が立っているので、指示通りに進むと巨大な山門の前に着く。山門の向こうには男体山の姿が見え、絵になる光景である。山門を潜り社務所で500円を払って受付を済ませる。名前と住所を書かされたので、ある意味登山届けの代わりを果たしているのかもしれない。拝殿でお参りを済ませ、登山道に入っていく。最初は石段と木段が続いているが、それほどきつくはない。道が土の登山道になったところで一合目の石碑。鳥居を潜り笹の生い茂る道を行く。傾斜がきつく景色に変化がないので結構辛い。石積みが前方に見えてくると林道が通る三合目まではあと少し。三合目から四合目までは舗装された林道を歩く。葉が茂っているのでいくらか暑さは凌げるが、アスファルトの照り返しがやはり暑い。ヘアピンカーブのところからは中禅寺湖が見える。この後も切り開きがある度に中禅寺湖が少しずつ姿を変えて登場することになる。
(二荒山神社山門と男体山)
(遥拝門)
(登山口の石段)
(一合目)
(三合目から中禅寺湖)
鳥居の立つところが四合目。ここからは登山道に復帰するが、この四合目から八合目までがこのコースで一番きついところ。四合目から五合目までは所々石が邪魔をする道で雰囲気は大菩薩嶺の裂石から丸川峠への道に雰囲気が似ている。五合目には石碑と急な雷雨などに対応できそうな避難小屋がある。五合目から七合目までは土の露出した九十九折と岩場が交互に現れ、岩場で炙られる度に体力を消耗していく。木陰は涼しいのだが、休憩に適したところがなく、他方岩場は、休憩はできるが暑くてじっとしていられない。七合目に着くと五合目と同じような避難小屋がある。この辺りからバテて休んでいる人が多くなり、自分のペースで進むのが困難に。7.5合目と書かれた石を過ぎ、鳥居を過ぎるともうすぐ八合目と書かれた石が現れる。
(四合目)
(五合目避難小屋)
八合目には滝尾神社の建物が建ち、緊急時には避難小屋の役割を果たすようだ。近くに岩陰があり、若い人たちが休憩を取っている。そういえば登山者が比較的若い人が多いのが特徴的であった。若い人たちも百名山に集中しがちだということなのであろうか。八合目を過ぎると傾斜が緩やかとなる。地形図を見てもはっきりと分かるくらいで、ザレ場となる九合目までは一息付けるポイントかもしれない。土嚢で土留めされた道を進み、木段を登ると周囲に高い木が少なくなってくる。スコリアらしきの赤い岩が出てくると九合目。ここからは山頂も見えているので否が応にも力が入る。
(八合目避難小屋)
(八合目登山道)
(縞枯れっぽい所も)
(九合目ザレ場)
九合目から10分ほどで山頂(2486)である。本殿の隣には社務所が建ち、人が常駐しているようだ。社務所の反対側には二荒山大神と書かれた銅像が立っている。銅像のあるところからは中禅寺湖と戦場ヶ原、日光白根山や太郎山、女峰山、大真名子山などの山々が見える。銅像の立つ場所から少し下ったところに建物が建っているので行ってみると、太郎山神社と書かれている。太郎山神社の本殿の扱いなのであろうか。ここからは中禅寺湖が更に大きく見える。
(山頂の銅像)
(山頂社務所)
(太郎山神社)
(山頂から中禅寺湖)
(太郎山?)
(左は日光白根山だろうか?)
山頂からは往復で二荒山神社に下る人が多いようだが、せっかくなので志津側に下ることにする。社務所の右手奥に進むと岩場の上に鉄剣が突き刺さっている。人の大きさと比べると2、3mはあるのではないだろうか。剣の刺さったところから北に下りたところに一等三角点がある。社務所が置かれているだけあって、保存状態は良好なようだ。志津側を見ると展望の良さそうな尾根が続いている。木の生えていないザレ場を行くのかと思いきや、尾根を外れて樹林帯に入ったりを繰り返しながら下る。志津側のほうは植生が豊かなのか、シャクナゲやイワカガミが自生している。シャクナゲには流石に遅かったようだが、イワカガミは所々に群落があり、ピンク色の可憐な花を咲かせていた。
(鉄剣)
(志津方面の尾根)
(大真名子山と帝釈山・女峰山の眺め)
(これを頼りに下山)
(イワカガミ)
下山道は八合目の木柱が立つところまではラジオラリヤのザレ場が多く、八合目から六合目の木柱までは2箇所崩壊地を通過する。特に最初の崩壊地はトラロープの張られた斜面をトラバースするので慎重に通過したいところ。六合目から三合目までは展望のない植林帯をひたすら下るだけ。道が抉れて歩き難いところがかなり多い。砂防ダムを過ぎればまもなく二合目で、地面に笹が目立つようになると一合目。一合目を過ぎれば道がフラットになり、石仏の立ち並ぶ社を過ぎると志津避難小屋に到着。水場は雨水を溜めたものを使っているのか、安心して飲めるのかはわからない。小屋の中は布団があり、2階のスペースもあったので詰めれば20人くらいは入れるのではないだろうか。小屋からは道が二本付いているが、どちらに行っても志津乗越に出る。
(危険な崩壊地)
(咲き終わりのシャクナゲ)
(抉れた道が多い)
(二合目辺りの景色)
(石仏群)
(志津避難小屋)
志津乗越からは2時間ほどの長い舗装路歩き。しんどい道のりだが、綺麗に整備された森を眺めながら歩くほかない。途中男体山が見えたが、志津側から見ると綺麗な円錐形ではなく、手前にも山があるように見える。太郎山へ向かう分岐を通過したところで親切な方が車に同乗させてくれた。これで1時間以上の林道歩きをパスできる。ありがたや~。途中もう一人ハイカーのオジサンを拾い、中禅寺温泉まで送ってもらった。中禅寺温泉街はまだオフシーズンで閑散としている。天然温泉の看板が掲げられたホテルにオジサンと入り、日帰り温泉に入ることに。700円であったが貸しきり状態で良い湯であった。温泉を出た後近くの売店でバスを待つこと10分。意外とバスが混んでいる。中禅寺温泉のバスターミナルに来ると長蛇の列である。補助席使用となるほどの混雑であったが、神橋で途中下車し、日光名物の羊羹を買って帰路に着いた。
(志津乗越)
(林道)
(林道からの男体山)
DATA:
東武日光駅(東武バス50分)中禅寺温泉8:54~9:21一合目~9:43三合目~10:07四合目~10:23五合目~11:03七合目~
11:24八合目~12:03男体山頂社務所12:21~12:50志津側八合目~13:15志津側六合目~13:41志津側三合目~
13:51志津側二合目~13:58志津側一合目~14:03志津避難小屋~14:08志津乗越~林道(好意同乗)中善寺温泉
(東武バス50分)東武日光駅
電車・バスについては「まるごと日光 東武フリーパス」を使っています
東武バス 東武日光駅~中禅寺温泉(中禅寺温泉或いは湯元温泉行き) 1100円
地形図 日光北部 男体山 中禅寺湖
山と高原地図「日光」
日光では一番著名な山ということもあって意外とファミリー層が多かったりしますが、標高差を考えるとかなりきつめの山だと思います。
中禅寺湖側からの登山期間は原則として5月5日から10月25日までに限定されています。
それ以外は志津側から入れますが、上記期間外は遭難死亡事故が多発しているので、一般の登山者は5月中旬から10月中旬までにしておいたほうが良いでしょう。