あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

無双

2022-07-21 | 本(文庫本)
宮部みゆきさんの『黒武御神火御殿~三島屋変調百物語六之続』を読みました。
これまで聞き役を務めていたおちかちゃんが嫁いでいったので、二代目の聞き役として三島屋の次男坊・富次郎がいよいよひとり立ち。初陣を飾ります。

「泣きぼくろ」再会した幼馴染が語る、幸せに暮らしていた一家を突然襲った悲劇。順調な商いをしていた豆腐屋を一家離散させてしまった原因は……。
「姑の墓」見事な満開の桜を一望できる絶景の丘。しかしこの丘には村の女は登ってはいけないという掟があった。その理由とは。
「同行二人」愛する妻子を失った走り飛脚。ただただ走ることで悲しみを忘れようとするが、ある日、赤い襷ののっぺらぼうが後をついてくるのに気付いた。
「黒武御神火御殿」三島屋に持ち込まれた半纏。この謎めいた半纏をきっかけに、怪しい屋敷に吸い寄せられた人々の話を聞くことになる。


おちかちゃんの後を引き継いだ富次郎がメインとなる新章の始まりは、最初の3つの短編がわりと「通常の」百物語の雰囲気で読むことができました。ところが、この分厚い文庫本の半分以上を占める4つ目の長編がエグかった!「いきなりこんな話を聞かされて、大丈夫か富次郎?」と心配になるくらい、凄い話でした。この話だけで1冊にしてもよさそうなくらいの、「映画化決定!」(いや、原作が凄すぎて誰も映画化できないかも)くらいの熱量のあるものでした。
いまさら言うまでもなく、宮部さんは稀有な作家さんだと思うのです。面白い話なら優れた作家さんなら誰でも書けるでしょう。でも宮部さんの話はただそれだけじゃない。先が読めないし、思いもよらない場所に連れて行ってくれる。それが本作でさらにグンと先に進んで、まさに無双状態。宮部無双。どこまで行っちゃうんでしょう。
たくさん紹介したい点はあるのですが、あえて書きません。とにかく読んでください。迫力ある本当に怖い話、お楽しみください。

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