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浅田次郎さんの『おもかげ』を読みました。
定年まで勤め上げ、送別会からの帰りの地下鉄車内で倒れた竹脇正一。意識のないまま病院に搬送され、家族や友人が次々と見舞いに来る。そんな中、竹脇の魂は身体を離れて見知らぬ人たちに導かれ、自分の過去を認識することになる。捨て子で孤独だった幼少期、幼くして亡くした息子、追い求めた母の姿。そして彼は遂に……。
今回は感想を記す前に出版社及び担当編集者に苦言を。
「あのさ~、もういい加減、浅田さんの作品を紹介するのに『涙なくして』とか『感涙必死』みたいな文言、入れないでくれるぅ? 泣き所勘違いしないでくれるぅ? 正直、その文言があるとさめるんだよね~」
文庫本のウラスジにこうありました。
「涙なくして読めない至高の最終章。著者会心の傑作」
陳腐! そんな陳腐な作品じゃないですから。誤解されるだけですから。作品のグレードを落とさないでくれるかな。
本作は『地下鉄に乗って』の姉妹作とされています。地下鉄をモチーフにしている点では同じでしょうが、そう扱ってよい作品ではないような気がします。
例えば「泣かせる」という浅田さんお得意の技で言うなら、『地下鉄~』は泣かせようとしていなかったのに読者号泣だったけど、本作では「ここで泣かせましょう」という意図が見えちゃっている。で、編集者もその部分を取り上げてセールスポイントにする。
そこは違うと思いますよ。それじゃ泣けないもの。私が「この作品素敵!」と感じたのは、そこじゃない。
竹脇のように実直に生きてきた人に、幸せにならなきゃいけないんだというエールを送っているところ。そして「まだ死ぬときじゃないよ。生きて人生楽しまなきゃ」って希望を持たせてくれるところ。
だから素直に感動できました。全然泣きませんでした。泣かずに読める素敵な作品です。
定年まで勤め上げ、送別会からの帰りの地下鉄車内で倒れた竹脇正一。意識のないまま病院に搬送され、家族や友人が次々と見舞いに来る。そんな中、竹脇の魂は身体を離れて見知らぬ人たちに導かれ、自分の過去を認識することになる。捨て子で孤独だった幼少期、幼くして亡くした息子、追い求めた母の姿。そして彼は遂に……。
今回は感想を記す前に出版社及び担当編集者に苦言を。
「あのさ~、もういい加減、浅田さんの作品を紹介するのに『涙なくして』とか『感涙必死』みたいな文言、入れないでくれるぅ? 泣き所勘違いしないでくれるぅ? 正直、その文言があるとさめるんだよね~」
文庫本のウラスジにこうありました。
「涙なくして読めない至高の最終章。著者会心の傑作」
陳腐! そんな陳腐な作品じゃないですから。誤解されるだけですから。作品のグレードを落とさないでくれるかな。
本作は『地下鉄に乗って』の姉妹作とされています。地下鉄をモチーフにしている点では同じでしょうが、そう扱ってよい作品ではないような気がします。
例えば「泣かせる」という浅田さんお得意の技で言うなら、『地下鉄~』は泣かせようとしていなかったのに読者号泣だったけど、本作では「ここで泣かせましょう」という意図が見えちゃっている。で、編集者もその部分を取り上げてセールスポイントにする。
そこは違うと思いますよ。それじゃ泣けないもの。私が「この作品素敵!」と感じたのは、そこじゃない。
竹脇のように実直に生きてきた人に、幸せにならなきゃいけないんだというエールを送っているところ。そして「まだ死ぬときじゃないよ。生きて人生楽しまなきゃ」って希望を持たせてくれるところ。
だから素直に感動できました。全然泣きませんでした。泣かずに読める素敵な作品です。