あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

不思議な作品

2010-05-22 | 本(文庫本)
いろいろな意味で「不思議」な作品を読みました。
「このミステリーがすごい! 2009年度版作家別投票第1位」という帯が巻かれていたこともあったし、あの●橋容疑者が逮捕時に持っていた、ということでも話題になったし、おかげでかなり文庫本が売れた、という話も聞いています。
道尾秀介さんの『向日葵の咲かない夏』です。

この作品、「ミステリー」ということなんだけどミステリー色はなかったように思います。実はこの作品は「サイコホラー」かも。世界観も狂っているし、文字を読んでいるはずなのに目を背けたくなるようなシーンが多いし、そういう表現をすることが作者の目的ならば成功作だと思いますが、とにかく、明るいイメージの表紙装丁とは真逆の内容でした。
ただ、つまらなかったかというとそうではありませんでした。時間的に余裕があれば、おそらく一気読みしたんじゃないかと思います。でも読み進めているうちにストーリー展開に無理やりな感じを受けました。ず~~~っとどんでん返しの繰り返しなんです。どんでん返しが多すぎると、逆に飽きるというか、呆れるというか…。

そしていちばん気になったのは、少年の描き方でした。主人公のミチオは10歳なのに、まったく10歳の印象を受けなかったんです。確かに事件の謎を追う重要な存在なんだけど、それにしてもあまりにも10歳ではない言動・行動なので、主人公を小学4年生にする必要はなかったのではと思ったほどです。これなら主人公は高校生でも良かった。いや、高校生の方がまだ納得して読めたかも。
と同時に「やはり少年を描かせたら、宮部みゆきには敵わないね」と思いました。作品を読みながら別の作家のことを思い浮かべながら読むのは、読書をするうえでのルール違反のような気もしますが、どうしても「宮部さんならこう描くんじゃないだろうか」などと考えてしまいました。

モヤモヤはしなかったけど読後の爽快感はなく、面白くなかったわけではないけど積極的におススメする作品でもない…。本当に不思議な作品でした。
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