あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

手紙を書くこと

2012-12-08 | 本(文庫本)
湊かなえさんの『往復書簡』を読みました。
人気作家の映画化もされた作品を、これも入院中に読みました。宮沢賢治のベスト集を、予定よりも早く読み終えてしまいまして、病棟のデイルームの書棚に会った本書を「サラ~ッと読めそうだから」という理由で借りて読んだのでした。

本書は、『往復書簡』のタイトル通り、手紙のやり取りでそれぞれの「事件」の真相が明らかになるミステリー。
「十年後の卒業文集」は、高校時代の同級生たちが仲間の結婚披露宴で再会。行方不明になっている“千秋”と、彼女が負ってしまった怪我についての話を手紙で告白しあうもの。最後のどんでん返しが、女の怖さを滲ませます。
「二十年後の宿題」は、映画『北のカナリアたち』の原作(「原案」と言った方が正解かも)となったもの。20年前の不幸な事故で繋がってしまった小学校教師と6人の教え子の「あの日」と「今」を綴る。
「十五年後の補習」は、国際ボランティアに参加して赴任先から手紙を書く彼と、日本で彼の帰国を待つ彼女が「あの出来事」について、お互いを思いやりながらの告白をするもの。ラストシーンが素敵です。
「一年後の連絡網」は、2通の手紙だけでまとめられたショート作品。これまでの物語の登場人物の“その後”のエピソードが少しだけ明かされます。

湊かなえさんの作品はこれが「はじめまして」でした。比較的読みやすい、それほどヘビーではないミステリーで、ベースには優しさがあり、中にはホッコリできるシーンもあって、楽しみながら読めました。
気軽に書けるメールの往復と違って、切手を貼ってポストに投函する手紙のやり取りって、手間も時間もかかる分、本音がきちんと表せるのかも。手紙を書くということが、改めて「素敵だな」って思えた、そんな作品でした。
何せとくにやることのない入院中での読書でしたから、半日で読了。次に読む人のため、すぐに返却いたしました。
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