あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

ちょっと異国

2008-11-28 | 本(文庫本)
今秋、ウォークマンに全交響曲を入れたベートーヴェンばかり聴いていたせいで、
   「髪型が ベートーヴェンに なりにけり」   プププッ♪

浅田次郎作品の感想を続けてUPしておりますが、今回の作品は秋ではなく、ちょっと前に読んだ作品。雰囲気が何となく似ているな~と思ったのと、前回、ハナキャップさんからもらったコメントで「浅田さんの本って、寂しい話を書いてても、なぜかポォッと心が暖まる気がしない?」というのがあって「そうそう、まさにこの作品がそうだよ!」となり、ご紹介した次第です。
『沙樓綺譚』と『霧笛荘夜話』。何だか「寂しい話」なのに、なぜか「ポォッと心が暖まる」。そんなお話でした。

何が「寂しい」と感じたのかと言えば、誰もがひとつは持っているはずの秘密、人には軽々しく言えないことが「澱」になっていることの重さが悲しくて寂しかったのに、「心が暖まった」のは、澱の向こうに小さな明るい光を見つけて歩き出す人たちの気持ちを嬉しく感じることができたから。ちょっとキザに書くと、こんな感じでしょうか。
複雑な人の心の中を垣間見る舞台として、日本の話であるだろうに、何となく異国のムードがある「沙樓」と「霧笛荘」という場所が提供されています。その舞台設定だけで、小説の世界へグイグイ引き込まれていくのが快感でした。「沙樓」は名士が集まる秘密の倶楽部、「霧笛荘」は運河のほとりにある半地下の古いアパート。どちらも現実の私には縁のない場所だけど、そこにいる人たちに会いに行ってみたいような気もするのです。

こういう小説って、絶対に大人向け。「人疲れ」しているときとか(まさに今私がそういう状態ですけど…)、読んでちょっと幸せになってみてください。
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