補選が行われているせいか、政権交代という文字を見かけることが多くなった気がします。気がするだけでなにか確実なデータがあるわけではないのですが、少なくとも内閣支持率が低い状態で推移しているようであり、現実的かどうかは別として、当然野党系の陣営はそのように主張するとは思います。
前回政権交代が起きたころ、自分は当然有権者であり、ネットのニュース(当時は今ほどSNSで情報を得るような時代ではなく、Youtubeも今に比べると全く充実していなかった)で情報を得ていました。当時の一人の若者として感じていたことは、①自民党はボロボロで何をやっても裏目に出るし批判される、②もしかすると与党と野党が本当に入れ替わるかもしれない、③たぶんないとは思うが一度くらいは任せてみてもよいかもしれないという感じでした。この中で①と②は識者含めいろいろな人が言っていると思いますが、③は自分にとって決して無視できない考え方でした。
確かにその頃「自民党はもう何をやっても駄目だ、民主党に対する期待が大きくなっているのはわかるが、果たして期待感だけで政権交代なんて実現するのだろうか、そうはいっても選挙になったら自民が何とか言いながらも勝つのではないか」と思っていました。というのも自分の周りは地域や産業がら年寄りが多く、比較的自民を支持している人が多かったからです。
まず「もしかしたら本当に変わるかもしれない」と思ったきっかけが職場の労働組合の政治活動でした。職場の労働組合は連合傘下であり、もちろん非共産党系ですが、色々言ってもそれほど政治活動に熱心だった記憶がありません。たしか2007年の参議院選挙の時だったと思うのですが、いつになく組合が熱心に政治活動をやっており、その時はなんとも思わなかったのですが、結果自民党が惨敗しました。自分が住んでいた地域でも確か民主党が自民党を大きく引き離したと思います。これには結構驚き、政権交代まではいかなくても、衆参がねじれて政治が混乱するだろうなとは思った記憶があります。
そして、その後も自民党が「何をやっても批判され、リーマンショックも重なってますます自民党から有権者の心が離れる状況」になりました。こうなると、「まあ政権交代まではいかないだろうけど、自民党以外に投票して意思表示をしたほうが良いのかもしれないな。とはいっても多くの人は結局自民党に入れるだろうな」と思うようになりました。2009年の衆議院選挙の時には、メディアは「自民党が負けるかもしれない」と盛んに報道していましたが、メディアは比較的野党に好意的に報道する傾向があると思っていたので、余計に「最終的には自民が辛勝するだろうけど、自民にとってはつらい選挙だろうな」くらいに思ってもいました。ところがふたを開けたら民主党が大勝し、結果本当に政権交代が実現しました。
この時は非常に複雑な気持ちでした。いろいろ言っても当時の民主党も「自分たちも形を変えてバラマキをやる」といっていたわけで、日本にとって本当に必要な社会保障改革、つまり歳出削減をあまり積極的に掲げているようには見えなかったからです。事業仕分けといっても社会保障とは桁が違うわけで、本当の事業仕分けは社会保障関連支出の削減だと当時も思っていました。しかし、そこに踏み込む様子は見られず、全額税方式による最低補償年金はよいアイディアだとは思いましたが、結局議論にすらなりませんでした。政権交代が本当に実現したからこれからいよいよ頻繁に政権が変わる二大政党制が始まるのかも知れないと思うのと同時に、結局自民党と何がどう違うのかという疑問もあり、非常に複雑な気持ちでした。
その後結果的に短期間で政権交代が再度起こり、安倍政権がスタートしました。安倍さんが再登場したのにも驚きましたが、結果的に長期安定政権になりました。その当時と現在を単純比較は無論できませんが、正直なところ「野党第一党に対する期待感があまりない」気がします。実際に支持率も自民が下がっても立憲や維新は足元にも及ばないどころか、ダブルスコア以上離されています。ここは前回の政権交代と大きく異なります。前回政権交代時は、調査会社によるのかもしれませんが、少なくとも自民党と民主党は支持率の点で拮抗しており、政権交代直後は逆転しました。
少なくとも来年までに衆議院選があり、来年の夏には参議院選挙があるわけですが、今の状況が変わらない限り、おそらく自民党・公明党の連立政権が続くのだろうと思います。変わらなくてよいのかという気もしますが、変わりようがないだろうという気もします。今週末の補選の結果を見てみたいと思います。
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