私よりも年上のこの柏。
父が三軒茶屋の家から若木の方を掘り起こして持ってきたものだ。
私は今年になって初めて柏が紅葉することに気がついた。
いつの間にか茶色く乾いて冬の風にガサゴソ、煩い音を立てまくるだけの木だと考えていた。
差し込む秋の陽に照り映える「紅」が柏であると知った驚き。
柏は縁起物として家族とともに移り今、ここにあるのだ。
新芽が出るまで古い葉が落ちないので家督を守る樹であるとされた。
私はそのいつまでもしがみついている葉が嫌いだった。
老いさらばえてなおしがみつく葉は新芽を「護る」というより惨めに映った。
老醜をさらしているとしか思えない。
傲慢だが若さなんて傲慢なものだ。
だからこそ歴史も動かす「力」があるのだろう。
陽射しのなかに柏葉の紅をみてしまった。
自身で老いも知ってしまった。
私は初めて柏に話しかけている。
なんの返事もないけれど。
「あるがまま」
それが答えかなと勝手に考えている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます