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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

タイムクラッシュが来院しました。

【申告】

 動きません。

【遊び方】

 このおもちゃの遊び方は、次のようになります。

  ①パズルピースを本体近くにバラバラに置きます。

  ②タイマーつまみを回し、チャレンジする時間に合わせて、ゲームスタート!

  ③形の合うパズルピースを本体にはめていきます。

  ④時間内にパズルピースを全てはめられれば…チャレンジ成功!!

【初診】

 タイマーつまみが回りません。内部を開けて診ます。

  

 ギヤボックスを観察するとゼンマイ軸受けがありません。

 さらにギヤボックスを開けるとゼンマイ軸ギヤが2つに割れ、セロハンテープで貼り付けて治そうとした痕跡が確認できました。

 このおもちゃの来院は、2度目でした。前回は、ギヤの歯が損傷して空回りしているような病状でしたが、ギヤが2つに割れるとは何が起きたのでしょうか?

 ひょっとして軸受けが何らかの原因で破損して、その結果ゼンマイ軸が傾きゼンマイ軸ギヤに無理な力が掛かり破損につながったのでしょうか?

 ギヤボックスを既に開けられているので、発生経緯の推測は難しいです。

 そこで割れているゼンマイ軸ギヤと紛失している軸受けは、3Dプリンタで作成しました。

 

 ゼンマイ軸ギヤは、目立てやすりで仕上げをして調整を進めましたが、ゼンマイ軸ギヤの次段のギヤの軸が折れてしまい鉄の軸を挿入して修復しました。

 ギヤの動き具合を確認して、終了です。

【治療後記】

 このおもちゃは、2度目の来院でした。1度目はゼンマイ軸ギヤと2段目のギヤの歯が破損していて調整に苦労しましたが、2度目となると治験が役立ち比較的スムーズに治療を進めることができました。むしろ、前回より強いギヤつくりの3Dプリンタの印刷条件出しに時間を費やしました。

 元気に退院です。

 

【おまけ】 

 このおもちゃの動作の仕組みです。

 タイマーつまみを押し込みながら時計方向に回します。

 するとパズルピース跳ね上げ板が押し下げられ、ばねを圧縮している状態でゼンマイの力で外装カバーと摺動しながらタイマーつまみが戻っていきます。

 時間が経過し摺動爪が爪溝に収まるとばねが解放され、パズルピース跳ね上げ板が持ち上げられます。これによりパズルピースが飛び出すしくみです。

 組み立て上の注意点は、次のようになります。

 ・タイマーつまみを回してクラッシュするまでの間は、摺動爪はばねの力を受けながら摺動しながら回転します。そのため摺動時の摩擦力より強いゼンマイの開放力が必要になります。

 ・では、ゼンマイの力は強ければ良いかというとそうでもありません。ゼンマイの力が強くなればなるほどゼンマイの開放力を抑えるギヤ歯に負荷がかかり、歯の破損につながります。

 ・結果的に、タイマーがクラッシュするまで回転が止まらない最小のゼンマイの開放力が、ギヤ歯にも余分な負荷をかけずに済みます。この条件でゼンマイの巻きの調整をすると良いと思います。

  なお、どれほどの持続性があるかはわかりませんが、摺動面にセラミックグリスを塗布しました。

 

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