【申告】
左右の動きができません。
【初診】
X軸の手動ダイヤルは回っていますが、動いていません。
中を開いて検査します。
左右方向駆動のギヤが割れていました。市販されているギヤではないので、Φ0.35のステンレス線で縛ることにしました。縛るについては抜けてしまってはいけませんし、ねじり部が軸の回転に影響があってもいけません。
そこで、抜け防止に溝を掘り、影響がないようにスペーサを組み込むことにしました。
これで治療は終了かと点検すると、バケットが上死点まで移動しなかったり、急速に下降したりします。
急速な下降だけであればストッパ-に病巣がありそうですが、昇降もしきれないのでストッパーの問題ではありません。
この症状は、バケット昇降の過負荷防止のトルクギヤが滑っているものと思われました。
(昇降動作時のバケット昇降の過負荷防止ギヤの動き)
ギヤBは、回転軸に対し自由に回転出来ます。負荷がかかっていないときはギヤBはバネDによりギヤAに押しつけられて、共に回転しています。
上下死点になると過負荷がかかり、ギヤBが回転出来なくなりモータに繋がっているギヤAと回転軸は回転を続けます。
しかし、ギヤBとギヤAがバケットが昇降する度に擦れ合うので、徐々に摩耗してきます。そしてバネDで押す力よりバケットを昇降する負荷が大きくなると、バケットは昇降できなくなります。
そこで、バネの力を強くするためにEリングをバネに挿入しました。
これで、元気になりました。
【治療後記】
たまたま、同じおもちゃが続いて来院となりました。外観は同じでも実は内部は、少しずつ変化していました。メーカ側も不具合改善や価格低減のために常に変化しています。特にこのおもちゃは人気がありロングライフですので、できることかもわかりません。
【おまけ】
リミットスイッチによりバケット位置を検出をしているのは、ゲーム開始位置(左手前)のみです。
右端、奥端はボタンを離すまでモータは回転を続け、過負荷防止のトルクギヤは滑り続ける状態になります。
バケット上下の位置制御はされていなく、バケットの上下端に移動に必要な時間管理をしているだけと思われます。結果として長めの時間、過負荷防止のトルクギヤが滑ることになります。