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支流からの眺め

武漢ウイルスとの戦争-その終戦の日

 武漢ウイルス感染症との戦争には、終わりが見えない。しかし、いつかは力の均衡に達する。その日はいつで、どのような折り合いになるのか?

 高いステルス性で気づかれずに侵入してくる武漢ウイルス、これにも弱点はある。まずは、ウイルスとしての宿命で、宿主なしに長時間生存することはできない。ヒトに寄生しないままで経過すると感染力を失う(事実上、死ぬ)のである。また、エボラ出血熱などと比べれば病毒性は低い。発症者での致死率は5%以下、無症状の感染者を含めれば1%未満であろう。ステルス戦闘機が打ち込んでくるのは銃弾であって核ミサイルではない。

 人類も防衛だけでなく攻撃能力を強化しようとしている。ひとつの武器は、ウイルスの再生能力を抑える薬剤である。HIVウイルス(エイズウイルス)も、この種の薬剤で致死率が大幅に低下した。もうひとつは、ワクチンである。種痘やBCG、各種のワクチンは、微生物やウイルスとの戦いに供する最終兵器である。この恩恵は計り知れない。藤原四兄弟を葬ったとされる天然痘も、これで撲滅された。これらの武器のいくつかが、武漢ウイルスにも開発されるに違いない。つまり、いずれかはステルス戦闘機を狙い撃ちできる日がくるだろう。

 とはいえ悲観論もありえる。薬もワクチンも開発できない事態である。過去の疫病との闘いは、生物同士の肉弾戦であった。流行に際しては、人々は風聞に惑い、生活に窮し、神仏に祈るしかなかった。最近の事例が、100年前のスペイン風邪の大流行である。日本では感染率50%、致死率1%程度で、波状攻撃に晒されながら約2年で流行は終息した。つまり、19世紀の医学であっても、百人に一人を生贄に捧げ、半数が感染の洗礼を受ければ、神は赦し賜うたのである。

 この先は、医学研究を急いで進める一方で、封鎖や自粛などの防衛策を緩める度に波状攻撃を受けながら、2年程度のうちには終戦の日が訪れるであろう。その様相は、有効なワクチン・薬剤による輝ける科学の勝利と、100万人の犠牲者が横たわる焼野原の間のどこかにおさまる。この程度では、種としての人類、国としての日本が滅亡することはない。但し、心理的・政治的不安定から自壊しなければの話である。

 最悪の惨禍を受け入れる覚悟さえあれば、武漢ウイルスは恐るに足りない。

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