著者の津城寛文氏は、1956年生まれ、筑波大学教授で、『〈霊〉の探究――近代スピリチュアリズムと宗教学』(2005年10月、春秋社刊)の著者です。この本については、TSLホームページ「各論編」の「宗教学とスピリチュアリズム」http://www.k5.dion.ne.jp/~spiritlb/3-5.htmlで紹介しました。
同氏は宗教学者ですが、宗教学の分野で「死後生」「霊魂」「他界」の実在問題を正面から取り上げている唯二人の学者のうちの一人です(もう一人は京都大学のカール・ベッカー教授)。ご承知の通り、霊魂実在説は、唯物論に抵触するため、近代の学知からはほぼ完璧に閉め出されています。その中で、こういう本を刊行されるということは、なかなか難儀なことでしょうし、スピリチュアリストからすれば、たいへんありがたい存在です。
今回上梓された本は、スピリチュアリズムの提示する「他界」問題と、著者のもう一方の研究主題である「公共宗教」問題とを統合しようと試みたもののようです。
データを載せます。
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社会的宗教と他界的宗教のあいだ ― 見え隠れする死者 (世界思想ゼミナール)
津城 寛文 著
定価2,730円(税込)
2011年 8月発行
四六判/288頁
ISBN978-4-7907-1536-8
【目次】
序章 宗教研究の射程をゆるやかに確保する――1つの糸口としてのケン・ウィルバー
■第Ⅰ部 宗教と他界
第1章 「スピリチュアル」に関する若干の考察――「ヒーリング」に焦点を絞って
第2章 死者の位置付け――比較宗教学と近代スピリチュアリズムのあいだ
第3章 死者の幻影――民間信仰と心霊研究のあいだ
第4章 マイヤーズ問題――近代スピリチュアリズムと心霊研究のあいだ
■第Ⅱ部 宗教と社会
第5章 公共宗教の観点から見た死者祭祀――靖国問題と葬祭問題に焦点を絞って
第6章 宗教教育の二方向――水平的多元主義と垂直的多元主義のあいだ
第7章 政教関係の一到着地点としての宗教弾圧――大本事件に焦点を絞って
第8章 現代日本から見る終末論――人的シナリオと神的シナリオのあいだ
終章 社会的宗教と他界的宗教をつなぐ――1つの糸口としての死後生
注/あとがき/初出一覧/英文目次
【帯文】
宗教学は死後について語りうるか? ― 「公共宗教」と「近代スピリチュアリズム」をキーワードに、〈宗教と社会〉―〈宗教と他界〉という二つの主題群を一つの全体図の中に組み込む試み。
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まだ読了していませんので、コメントなどは改めて。
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『〈霊〉の探究』と同様、いかにも学者風の文体と表現が、なかなか大変ですが、とても面白そうですね。まずはケン・ウィルバーから入ってきましたか・・・。
ご無沙汰していますが、当ブログは欠かさず読んでいます。一時期、あまりの更新のすごさに全く追い付けませんでしたが、新聞もブログもスマートフォンで電車の中で読むというテクニックを身に着けてから(笑)、しっかり付いていっています。コメントまではできていませんが・・・。
いろんな論の今後のさらなる展開に期待しています。
ご愛読ありがとうございます。
このところちょっと暴走・千鳥足気味で恐縮です。(いつもかw)
スマホですか。老生はついて行けてなくてわからないのですけど、そういうものでもネットやブログは読めるのですねえ。
お暇な折はお気軽にコメントください。