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【雑報】ソ連・ロシアの超常現象研究

2012-06-22 18:11:44 | 高森光季>その他

 おなじみ「In Deep」さんにロシア(ソ連)のいささかオカルト傾向のある宇宙研究についての記事が載っていました。

  太陽と宇宙線と人類の関係の中で浮かび上がる 1900年代ロシア宇宙主義の科学(1):In Deep

 「宇宙主義」「トランスヒューマニズム」というものがあったのですね。そちらから引用。

 ロシア宇宙主義
   20世紀初頭のロシアで発生した宇宙を中心とした哲学的・文化的運動である。
   ロシア宇宙論とも呼ばれるが、いわゆる宇宙論とは直接の関係はない。
   ロシア宇宙主義は自然哲学を基盤として宗教と倫理学の要素を組み入れたもので、
   宇宙と人間の起源・進化・未来の歴史と哲学を扱う。西洋と東洋の哲学的伝統の
   要素を組み合わせ、さらにそこにロシア正教の要素も組み入れている。
   ロシア宇宙主義の多くの考え方は後にトランスヒューマニズムへと発展した。

 トランスヒューマニズム
   超人間主義などと訳される。新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を
   進化させ、人間の状況を前例の無い形で向上させようという思想である。
   また、トランスヒューマニズムは人間の機能拡張やその他将来の科学技術の開発・
   使用により、将来起こりうることを研究する学問でもある。

 トランスヒューマニズムは、「人間の能力の拡張」という点では、近代オカルティズムやニューエイジと共通するものがありそうですね。

 霊魂の実在証明を含む「超常現象研究」は、19世紀の欧米で「サイキカル・リサーチ(邦訳:心霊研究)」となり、さらに20世紀に入って「超心理学(パラサイコロジー)」となった(この時点で「霊魂の実在=死後存続」研究は影が薄くなった)わけですが、研究者たちの尽力にもかかわらず、正規の知の体系からは排除されてきました。
 ところが、こうした研究は、別のところでひそかに、国家の支援のもとに、進められてきました。

 冷戦状況下でのアメリカ・ソ連での「軍事目的の色彩を帯びた研究」です。
 特にソ連ではかなり本気になって「ESP(超感覚的知覚。遠隔透視、予知などを含む)」の研究と、能力者の開発を行なったようです。その全貌は軍事機密のために明らかにされませんでしたが、いくつかの情報が残っています。
 リン・ピクネット『超常現象の事典』(関口篤訳、青土社、1994年)「ソヴィエトの霊能力の歴史」「今日のソヴィエトの霊能力」から一部引用してみます。

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 一九一七年のロシア革命後は、〔超常現象研究〕事業は心理学者で知られるヴラディーミル・ベーフテレフ(一八五七~一九二七)により継承された。同大学(レニングラード大学と改名)で国立脳髄研究所を設立、初代所長に就任した指導的学者である。一九二二年、ベーフテレフはさらに暗示研究所を発足させ、ソヴィエ卜を国家支援の霊能力研究計画を自慢できる世界最初の国とした。

 ベーフテレフと弟子たちは、予知、サイコキネシス、催眠、さらには一般から報告される自然発生現象にまで研究の領域を拡大した。一九二七年にベーフテレフが没してもソヴィエトの超常現象研究は順調に進展する。弟子のレオニード・ヴァシリーエフ(一八九一~一九六六)が、人間対象の暗示を中心とする想像力に富んだ実験の数々で頭角を現わしてきた。……その後、長期にわたる一巡の実験に着手し、次のような事実を立証した。「意識するしないに関係なく、人間の行動を無言の暗示で操ることができる。これは、至近距離からでも数千キロの遠隔場所からでも可能である」。
 一九三二年にスターリソが権力を掌握すると、後のヴァシリーエフの回顧によれば、国立脳髄研究所は「テレパシーの実践的研究を開始せよ」との命令を受け取った。ただしこの命令が誰から発したか、ヴァシリーエフは明らかにしていない。研究は一九三八年まで続けられ、主題はテレパシーの物理的説明にもっぱら絞られた。しかし、はかばかしい成果は得られなかったらしい。……
 ヴァシリーエフは、師ベーフテレフと同様に、科学者の粛清をなんとか免れた。生涯にわたって研究を続け、スターリン死後の「雪解け」を満喫する幸運に恵まれた。啓蒙的名著とされる『人間の霊の不思議な現象』(一九五九年刊)は、ソヴィエトのメディアではテレパシーに関する二十年の沈黙を破るものだった。さらに専門的色彩の濃い『暗示の実験』も一九六二年に日の目を見た(英語版は一九七六年に出版)。いずれもこの分野の新世代の学徒の古典的著作として今に伝えられている。

 ……同時代の研究家の多くの例にもれず、彼も理論家としてよりは実践研究家として遥かに高い成功をおさめた。霊能力の実践面の重視により、軍事や情報分野の応用で彼に多くの期待がかけられたことも想像に難くない。同国からの一部移住者の口の端々からもそのことがうかがえる。

 この種の能力を備え、もっとも広く調査の対象になったソヴィエトの市民にニーナ・クラギナがいる。この女性は、一丸六〇年代の初めにヴァシリーエフに発見され、神経生理学者ゲナディ・セルゲーエフにより徹底的な調査の対象にされた。彼女は外国の学者からも注目され、米国のJ・ゲイサー・プラットやチェコのズデネック・レジャックなどが彼女を調査の対象にした。クラギナは、手を触れずに小さな物体を動かすことを得意としたが、時にはカエルの心臓の鼓動を止めたり、相手の人間の皮膚に強い灼熱感を起こすなどの荒技を演じ研究者をおどろかせた。セルゲーエフは、彼女の「物体との相互作用の強力な超伝導チャンネル」と自ら名づけた照射にうっかり身をさらし、眼の手術を受けたほどだった。

 さて、興味深い成り行きだが、例の特殊研究施設が一九七三年にモスクワで現実のものとなる。ほぼ全面的に霊能力関連の研究を目的とする組織で、A・S・ポポフにより「科学技術協会バイオ情報研究所」と名づけられた。通称「ポポフ・グループ」で知られたこの研究所を統括したのは、ソヴィエトの超常現象研究分野の指導的理論家の一人イポリト・コーガン。一方、研究所は実践的調査も行なった。なかでも知られたのが「バイオ・エネルギー転移」、すなわちヒーリング(治癒)の分野だった。

 このポポフ研究所は一九七五年に閉鎖された。理由は今にいたるもよく分かっていない。一九七八年に同じような名称の組織が厳戒体制の下で設立された。

 新しいポポフ・グループの調べによると、霊能力関連分野の研究は十ヵ所ほどの国の施設で進んでいた。ヴィレンスカヤは施設の数をこの倍と推測している。

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 軍事目的だと国がお金を出してまで研究するわけですね。

 冷戦終了後の状況はよくわかりません。まだ両国ともやっていそうですけど。


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