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高校野球備忘録 1979年センバツ

2010-08-04 01:51:23 | 高校野球備忘録
第51回選抜高等学校野球大会

優勝候補筆頭は2度の選抜優勝経験を持つ尾藤監督率いる箕島、前年春夏の甲子園経験者石井(西武)-嶋田(阪神)のバッテリー、北野、上野山などのメンバーが健在だ。
他には、牛島(中日等)-ドカベン香川(南海)らの浪商、前年夏の準優勝投手・森(阪急)を中心とした高知商、好投手橋川を擁する池田、小早川(広島等)らのいる前年夏優勝校PL学園も注目された。

予想通り有力校は順当に勝ち進み、2回戦で有力校高知商に辛勝した浪商もベスト8に進出した。
準々決勝は雨中の戦いになり特に第4試合は水が浮いているほどのコンディションだったが大会は強行、ベスト4は箕島・PL学園・浪商・東洋大姫路の全て近畿勢となった。

準決勝の第一試合、この頃近畿大会を含め何度も対戦している箕島-PL学園の試合は、PLリードで進むものの9回土壇場で箕島が追いつき、延長10回の末サヨナラで箕島が決勝進出、PLのお株を奪う逆転劇だった。
第二試合は浪商が勝ち、決勝は箕島-浪商の対決となった。

箕島は当時甲子園常連校、一方浪商は正捕手の香川選手の風貌が水島新司の漫画「ドカベン」を彷彿することから人気があり、また実力校同士の戦いという事でも注目が集まった。

試合は早くも初回から動く。
1回表浪商は先頭椎名が右前打で出塁、一死後四球で1・2塁としたあと四番のドカベン香川が中前適時打で1点を先制。
箕島はその裏二死から主将上野山・四番北野の連続安打で1・3塁とした後、5番上野の左前適時打ですかさず同点とする。
3回箕島は、宮本の四球と上野山のプッシュバントが内野安打となった1、2塁から、4番北野が中越えに三塁打を放ち2点追加。
さらに箕島は4回嶋田の適時打で1点追加して序盤は4-1と箕島リードで試合が進む。

一方、浪商は6回二者を置いて6番川端が初球を左中間に二塁打して2者生還。
さらに犠飛で4-4の同点に追いついた。
追いつかれた箕島はその裏、二死二塁から嶋田がこの日2本目の適時打で5-4と再びリードを奪う。
試合はさながらノーガードの打ち合いの様相を呈してきた。

7回表、一死二塁の好機に山本・香川の連続長打で6-5と試合をひっくり返した。
その裏、箕島は一死から北野が同点本塁打。さらに続く上野が三塁打の後、森川が追い込まれながらもプッシュバントのスリーバントスクイズ、これが内野安打となり7-6とリード。
この試合に限らず、今大会の箕島のバント攻撃は見事といかいいようがなかった。
続く8回裏、箕島は二死ながら二塁に宮本を置いて、バッターは1回に単打3回に三塁打7回に本塁打と、この試合3安打の四番北野。
北野は疲れの見える牛島の高めに入ったカーブをとらえ右中間を深々と破る長打、ニ走返って8-6となった。
北野は三塁を狙ったがこれは返球でタッチアウトとなるが、三塁でアウトになったことにより記録は二塁打。
選抜史上初のサイクルヒットが達成された。

しかし浪商もあきらめない。
9回表先頭の山本が四球で出塁、期待の香川はニゴロに倒れるが走者が二塁に進み、続く牛島が左翼線に二塁打して8-7と一点差。
試合は最後までわからなくなったかと思われた。
だが浪商の粘りもここまで、石井が続く井戸を補邪飛、川端をニゴロに打ちとってゲームセット。
追いつ追われつの決勝は箕島の3度目の優勝で幕を閉じた。

故ルーズベルト大統領が「野球で一番面白いスコアは8-7」と言ったそうだが、その通りのエキサイティングなゲームとなった。

箕島はこの大会で一ニ塁間を狙うプッシュバントを数多く決めたが、もともと守備練習でこのバント処理をしていたところ、ことごとく内野安打となる為、尾藤監督が攻撃に使ったらしいのだが、しっかりしたバント技術をもった箕島ならではの戦法であったと言えよう。


1979 箕島vs浪商 優勝の瞬間

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