大好きな人が目の前で
傷みつけられるのをみながら
育った過去があります
拭いきれない心の痛み
トラウマと言うのかもしれません
母は父と駆け落ち婚
江戸時代から続く庄屋の藁葺き屋根の家
母が嫁いだ時は兼業農家に屋根はトタン屋根に
街灯は峠に一つあとは山と田畑
小川が流れる田舎の地へ母は嫁ぎました
父の両親は中々子宝に恵まれず
父は高齢になった母から早産で産まれ
保育器がなかった時代の4月末
炬燵の上に籠を置いて布で巻かれ
6月くらいまで温めながら
未熟児ながらなんとか生き抜いた
そうです
父の父は酒呑みで朝からお酒を飲んでは
癇癪を起こしては暴力を振るい
どうしようもない親父だったと
長男として年老いた両親に農業を
継ぐため都会へ出て就職したかった夢を
諦め家に残ったことを学生時代に
話してくれました
父の父に対する憎悪感を
なんとなく感じつつ
それでも田畑に山やお墓の管理を
一生懸命する父の背中をみて
育ちました
父は反面教師となったのか
自宅でお酒を飲むことは
私が成人するまで一度もありません
でした
祖父は私が産まれる前にすでに病死で
他界し遺影写真でお顔を見るだけです
母は二十歳で姉を産み
子育てと農業の手伝い
姑(わたしの祖母)との壮絶な
やり取りの中で過ごしたことを
のちに知りました
二十歳で出産に農家の手伝い
姑との同居
わたしが過ごした二十歳とは
違う時だったとようやく
客観的に思えます
物心付く小学生のころから
母と祖母のやりとりは毎日のように
激しくなり
当時のわたしには理解が出来ない
母の行いが酷く
それを目の当たりにすることが辛く悲しく
そのことで私から母へたびたび
反発するようになり
一度母と真剣に話し合ったとき
母が涙を流しながら
さーちゃんには分からない
お母さんがおばあちゃんにされた
辛い時期があったの
と初めて母の口から本音が
出た時でした
それと同時に自分がされたことを
許せないからと毎日酷いことを
続けるのはおかしいと伝えましたが
その後も変わらない生活が
続きました
大好きな人が目の前で
傷めつけられるのを目の当たりにする
ことは苦痛で苦痛で
私の心に大きな傷となりました
暴力で虐待ではなく
陰湿な行いに言葉による一方的な
イジメでした
わたしは祖母が大好きでした
温かくいつも微笑んで
わたしが母のことで何か言うと
決まって
いいのよ
おばあちゃんは何も出来ないのに
お父さんとお母さんに助けられて
ご飯も食べれるからね
ありがたいのよ
さーちゃんはいつもおばあちゃんを
気にかけてくれてありがとうねえ
と優しい声で話してくれました
おばあちゃんの最期は
末期の癌でした
90歳を迎えるまで元気に過ごし
誰にも迷惑をかけたくないと
痛みも我慢をしながら
両親からホスピスに入るよう促され
最後は皮膚がただれ出血し始め
モルヒネで眠る日が続きました
祖母の灯火が消えかける前
真夜中に病院から祖母が母へ病院に来て
欲しいと言っていると
連絡がありました
2人が何を話たのかは
母が打ち明ける事も
わたしから聞く事もなかったですが
想像は出来ました
祖母が亡くなって自宅へ戻った夜
わたしは祖母と一緒に眠りました
涙が止まらない夜でした
まだ呼吸をしているかのような
穏やかな顔
硬直していない身体
背中に手を入れると温かい感触が
忘れられません
祖母が亡くなり
母は自分の行いを悔いるように
お仏壇へお参りをしない日はありません
母は愛情表現がうまく出来ない
不器用な人
心で思っていても
口から出る言葉に行動はいつも真逆
おばあちゃんが生きているとき
よくスーパーで
おばあちゃんは此れが好きなのよね
とおばあちゃんの好きな食べ物を
買い物カゴへ入れていたことを
思い出します
わたしが体験した過去は
テレビドラマのような嫁姑バトルを
超えていましたが
今わたしが感じることは
母は母で大変だった
誰にも言えない母の生い立ちがある
母の性格 ヒステリー HSP
強迫観念症など
どうしようもない時が
あの当時に起こっていた
そうだったのかもしれないと
今ならようやく思えます
母は姉妹の長女として産まれ
父と駆け落ちをし
実家から勘当され
歴史ある長男の家に嫁いだけれど
産まれた子供は女の子3人という
負い目を感じながら過ごした
過去をわたしは知りません
おばあちゃんから何を言われ
されたのかもそれも知りません
反面教師になる沢山の出来事の中
わたしに必要な学習期間だったと
受け止め
許し愛し手放す気持ち
教えてもらった出来事でした
おばあちゃんが安らかに
天国から心配しないよう
生きたいと
炬燵で横になっていると
おばあちゃんのやわらかい温かい
笑顔に包みこまれているような
優しい心地よさ
遠い出来事を思い出した午後でした
微笑みある日々を送れますように…
最後まで読んでいただき
ありがとうございます
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