会社の代表者(社長、代表取締役)は会社のお金をいくらまで引き出せるのかという質問を受けることがあります。
株主(出資者、委託者)と代表者(経営者、受託者)が同一人物である「小さな会社」の場合には「横領」という概念がありませんので、代表者は会社の資金を自由に引き出すことができます。ただし、会社の資金繰りがひっ迫するようなことをしてはいけないのは当然です。そして、なによりも注意しなければならないのは資金を引き出す「理由」と「方法」によって「課税の扱い」が大きく異なるということです。会社の資金を自由に使った代償としての課税額が予期せぬ金額になることがあるのです。
◆役員報酬
この役員報酬(役員給与)というのが、代表者が会社から資金を引き出す基本的パターンです。「理想はこれのみ」であるということです。
役員報酬というのは毎月定額で支給されるものです。役員報酬の変更は事業年度開始から3か月以内にしか行えず、事業年度中は変更することができません。これを要件に法人税の計算における損金(所得の減額要素)として認められています。
毎月定額の役員報酬以外に臨時で役員に支給する賞与(ボーナス)は損金不算入となります。ただし、税務署に事前に届けた金額については損金算入できます。
◆賃料
代表者個人が所有する不動産や車両を会社に賃貸している場合には、代表者はその賃料を会社から受け取ることができます。この賃料については代表者個人の所得になりますので、代表者自ら所得税の確定申告をしなければなりません(賃料の額によっては確定申告が不要な場合もあります)。
◆役員(社長)貸付金
会社の資金は代表者に貸し付けることもできます。この場合、代表者は所定の利息を支払う必要があります。また、元金はいずれは返済をしなければなりません。
◆役員(社長)借入金の利息と元金返済
代表者が会社に資金を貸している場合には(会社にすれば借りている)、代表者はその利息を会社から受け取ることができます。この利息については代表者個人の所得になりますので、代表者自ら所得税の確定申告をしなければなりません。
代表者は会社から元金の返済を受けることもできます。元金の返済ですので代表者個人には所得は生じません(所得になるのは果実としての利息です)。
◆会社所有資産の無償での使用(認識していないことが多い)
会社が所有する資産(不動産や車両など)を代表者が私的に使用している場合には、実質的にはその資産の購入代金相当額を会社から引き出したということになります。この額については代表者の所得とされます。
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★損金不算入(利益も資金も減るが所得は減らない)
損金不算入とは、決算書における費用には含まれるけれども(利益の減額要素になる)、法人税の所得計算においては利益に加算されることをいいます(所得は決算書の利益に一定の調整をして計算する)。
会社から代表者が引き出したものの中には、この損金不算入となるものがあります。また、決算書の段階において費用ではなく、資産に計上されるあるいは負債が減額されることによって利益には影響をしないものもあります。
★代表者に対する所得税の課税(代表者が会社から得る利得)
会社から代表者が引き出したものの中には、代表者個人に所得税が課税されるものがあります。課税方法としては、支払いの際に会社が所得税を源泉徴収するもの(徴収した所得税は会社が納付する)と、代表者が自身で所得税の確定申告をしなければならないものとがあります。
★決算書にも注意(特に金融機関から融資を受けている場合)
税金の扱いだけでなく決算書にも注意しておかなければなりません。特に金融機関から融資を受けている場合には、資金の引き出し状況によっては金融機関の評価が下がることがあります。
その典型は、金融機関から借りた資金を社長個人に貸し付けている場合です。これは金融機関に対する裏切り(契約違反)です。金融機関は会社経営のために資金を貸しているのですから当然のことです。
【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。
株主(出資者、委託者)と代表者(経営者、受託者)が同一人物である「小さな会社」の場合には「横領」という概念がありませんので、代表者は会社の資金を自由に引き出すことができます。ただし、会社の資金繰りがひっ迫するようなことをしてはいけないのは当然です。そして、なによりも注意しなければならないのは資金を引き出す「理由」と「方法」によって「課税の扱い」が大きく異なるということです。会社の資金を自由に使った代償としての課税額が予期せぬ金額になることがあるのです。
◆役員報酬
この役員報酬(役員給与)というのが、代表者が会社から資金を引き出す基本的パターンです。「理想はこれのみ」であるということです。
役員報酬というのは毎月定額で支給されるものです。役員報酬の変更は事業年度開始から3か月以内にしか行えず、事業年度中は変更することができません。これを要件に法人税の計算における損金(所得の減額要素)として認められています。
毎月定額の役員報酬以外に臨時で役員に支給する賞与(ボーナス)は損金不算入となります。ただし、税務署に事前に届けた金額については損金算入できます。
◆賃料
代表者個人が所有する不動産や車両を会社に賃貸している場合には、代表者はその賃料を会社から受け取ることができます。この賃料については代表者個人の所得になりますので、代表者自ら所得税の確定申告をしなければなりません(賃料の額によっては確定申告が不要な場合もあります)。
◆役員(社長)貸付金
会社の資金は代表者に貸し付けることもできます。この場合、代表者は所定の利息を支払う必要があります。また、元金はいずれは返済をしなければなりません。
◆役員(社長)借入金の利息と元金返済
代表者が会社に資金を貸している場合には(会社にすれば借りている)、代表者はその利息を会社から受け取ることができます。この利息については代表者個人の所得になりますので、代表者自ら所得税の確定申告をしなければなりません。
代表者は会社から元金の返済を受けることもできます。元金の返済ですので代表者個人には所得は生じません(所得になるのは果実としての利息です)。
◆会社所有資産の無償での使用(認識していないことが多い)
会社が所有する資産(不動産や車両など)を代表者が私的に使用している場合には、実質的にはその資産の購入代金相当額を会社から引き出したということになります。この額については代表者の所得とされます。
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★損金不算入(利益も資金も減るが所得は減らない)
損金不算入とは、決算書における費用には含まれるけれども(利益の減額要素になる)、法人税の所得計算においては利益に加算されることをいいます(所得は決算書の利益に一定の調整をして計算する)。
会社から代表者が引き出したものの中には、この損金不算入となるものがあります。また、決算書の段階において費用ではなく、資産に計上されるあるいは負債が減額されることによって利益には影響をしないものもあります。
★代表者に対する所得税の課税(代表者が会社から得る利得)
会社から代表者が引き出したものの中には、代表者個人に所得税が課税されるものがあります。課税方法としては、支払いの際に会社が所得税を源泉徴収するもの(徴収した所得税は会社が納付する)と、代表者が自身で所得税の確定申告をしなければならないものとがあります。
★決算書にも注意(特に金融機関から融資を受けている場合)
税金の扱いだけでなく決算書にも注意しておかなければなりません。特に金融機関から融資を受けている場合には、資金の引き出し状況によっては金融機関の評価が下がることがあります。
その典型は、金融機関から借りた資金を社長個人に貸し付けている場合です。これは金融機関に対する裏切り(契約違反)です。金融機関は会社経営のために資金を貸しているのですから当然のことです。
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