消費税率は10%、インボイス制度により多くの事業者が消費税の課税事業者となった今、消費税の経理処理方式は税抜経理こそがスタンダードであるといえるでしょう。税抜経理においては取引に際して生じる消費税を区分して経理処理をし、消費税を損益(利益計算)に影響させません。このことは各取引段階において当然のようにその買い手が消費税を負担するという消費税のシステム(間接税という性質)に適うからです。
◆税込で意思決定しているケースは多い
昨今、価格表示においては消費税を明記する(消費税込であることを明記する)ことが当然のようになってきましたが、価格決定においては消費税を価格に含めて考えるケースは多いです。特に一般消費者はこの傾向にあることから、一般消費者を顧客としている飲食業や小売業などにおいては経営状況そのものも消費税込のほうが把握しやすいです。
税込で決定された価格(収益)から税込のコスト(費用)を差し引くという税込経理の利益計算が実情にマッチするという業種もあるということです。
◆消費税は「付加価値税」である(税務署に納める消費税はコスト)
税込経理においては税務署に納める消費税は費用(勘定科目は租税公課)として処理されます。この金額は主に収益に含まれる受け取った消費税、主に費用に含まれる支払った消費税の差額です。
消費税の価格転嫁がいまだ完全には行われていない実情からすれば、この経理処理のほうが理解しやすいといえます。販売時に消費税の価格転嫁を十分に行い、支払時の価格転嫁を抑える企業ほど税務署に納める消費税は多くなります。最近はあまりいわれなくなりましたが、消費税は「付加価値税」であるという考えです。企業は付加価値に応じて消費税というコスト(費用)を税務署に支払うのです。
◆簡易課税の場合
税抜経理の場合、受け取った消費税は仮受消費税、支払った消費税は仮払消費税に集計します。そして、決算時には仮受消費税と仮払消費税の差額を未払消費税とします。翌期、税務署に消費税を納めればこの未払消費税はゼロになります。
しかし、簡易課税を選択している場合は仮受消費税と仮払消費税はこのような動きにはなりません。簡易課税においては支払った消費税を「みなし計算」をしますので、実際に支払った消費税である仮払消費税と一致しないからです。
簡易課税におけるみなし計算による支払った消費税が仮払消費税より少ない場合、税務署に納める消費税は「仮受消費税-仮払消費税」よりも多くなります。仮払消費税よりも多い場合は少なくなります。前者の差額は費用、後者の差額は収益として処理します。せっかく集計した仮払消費税が、決算時に誤差として修正されるのはなんとも不合理なことです。
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税抜経理では無理矢理に取引価格を本体と消費税に区分しているともいえます。税込経理のほうが経営状況を把握しやすいと思える場合は今後も税込税理を続けてください。
【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。
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税込で決定された価格(収益)から税込のコスト(費用)を差し引くという税込経理の利益計算が実情にマッチするという業種もあるということです。
◆消費税は「付加価値税」である(税務署に納める消費税はコスト)
税込経理においては税務署に納める消費税は費用(勘定科目は租税公課)として処理されます。この金額は主に収益に含まれる受け取った消費税、主に費用に含まれる支払った消費税の差額です。
消費税の価格転嫁がいまだ完全には行われていない実情からすれば、この経理処理のほうが理解しやすいといえます。販売時に消費税の価格転嫁を十分に行い、支払時の価格転嫁を抑える企業ほど税務署に納める消費税は多くなります。最近はあまりいわれなくなりましたが、消費税は「付加価値税」であるという考えです。企業は付加価値に応じて消費税というコスト(費用)を税務署に支払うのです。
◆簡易課税の場合
税抜経理の場合、受け取った消費税は仮受消費税、支払った消費税は仮払消費税に集計します。そして、決算時には仮受消費税と仮払消費税の差額を未払消費税とします。翌期、税務署に消費税を納めればこの未払消費税はゼロになります。
しかし、簡易課税を選択している場合は仮受消費税と仮払消費税はこのような動きにはなりません。簡易課税においては支払った消費税を「みなし計算」をしますので、実際に支払った消費税である仮払消費税と一致しないからです。
簡易課税におけるみなし計算による支払った消費税が仮払消費税より少ない場合、税務署に納める消費税は「仮受消費税-仮払消費税」よりも多くなります。仮払消費税よりも多い場合は少なくなります。前者の差額は費用、後者の差額は収益として処理します。せっかく集計した仮払消費税が、決算時に誤差として修正されるのはなんとも不合理なことです。
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