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「老後2,000万円問題」がコロナ禍を経て変化したって本当?

2024年09月30日 | マネー

2019年に金融庁が公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書から、老後2,000万円問題が取り上げられるようになりました。

当時は大きな話題を呼んでいましたが、その後新型コロナの感染拡大によって人々の収入・支出に様々な変化をもたらした結果、老後2,000万円問題にも影響がみられたと考えられています。

今回は、そんな老後2,000万円問題とコロナ禍を経てどのような変化が見られたのか、結局老後にはいくら必要になるのかなどを解説します。

 

■老後2,000万円問題の概要

 

そもそも老後2,000万円問題がどのような問題なのかを理解しておく必要があります。

老後2,000万円問題とは、2019年に金融庁が公表した報告書において、夫65歳以上・妻60歳以上の高齢夫婦かつ無職世帯をモデルとした際に、毎月約5.5万円の赤字が発生するという試算が行われた結果、30年間で約2,000万円の生活費が不足するというものです。

2,000万円が不足するというインパクトの大きさから、当時は各メディアで大きく報道されていました。

 

試算されたモデルケースは、老後20~30年における生活費をシミュレーションしています。

収入と支出の内訳は以下のとおりです。

 

【収入】

公的年金:191,880円

勤め先の収入:4,232円

事業収入:4,045円

その他収入:9,041円

合計:209,198円

 

【支出】

食費:64,444円

家賃:13,656円

水道光熱費:19,267円

家具・家事用品費:9,405円

被服費:6,497円

保険医療費:15,512円

交通・通信費:27,576円

教育費:15円

教養娯楽費:25,077円

社会保険など:28,240円

合計:263,718円

 

毎月の収入と比べて約5.5万円が不足するとなると、貯金から切り崩して赤字を補填していかなければなりません。

その結果、2,000万円を貯金しておかないと老後の生活が破綻する恐れがあると試算したのです。

ただし、上記はあくまでもモデルケースを試算したものであり、実際はその世帯ごとに異なります。

例えば子どもからの仕送りによって収入が5万円多かったり、食費は高齢夫婦2人でそれほど量を食べないことから3万円まで抑えられたりもするでしょう。

このように、世帯ごとで必要となる老後資金は異なることを理解しておく必要があります。

 

■老後2,000万円問題がコロナ禍を経て変わった?

 

2019年に話題を集めた老後2,000万円問題ですが、その後新型コロナウイルスが世界中に感染拡大し、経済活動がストップするなど様々な影響を及ぼしてしまいました。

この影響は生活だけでなく、老後2,000万円問題にも大きな影響を与えています。

 

これまでは毎年旅行に出かけていた家庭も、コロナ禍になると遠出をするのが難しくなり、お金を使う機会も減ったため貯金が増えたところもあるでしょう。

貯金が増えればその分老後資金としても活用できるため、老後2,000万円問題をクリアした人もいるかもしれません。

また、新型コロナ禍によって本業の仕事がほとんどなくなってしまったため、副業を始めた人の中には現在本業よりも稼げるようになり、貯金が増えたという人もいるでしょう。

このように、新型コロナ禍の影響で家計収支が大きく変化した結果、老後資金を一気に増やせた人も多いです。

 

■結局老後はいくら必要になる?

 

新型コロナウイルスの影響を受け、2,000万円まで貯めなくても良くなったというケースもあるでしょう。

しかし、あくまで2,000万円まで貯める必要がなくなったとしても、老後に向けてある程度の資金を確保しておくことも重要です。

では、結局老後はどれくらいの資金が必要となってくるのでしょうか?

ここでは2024年時点における老後資金のシミュレーションを行ってみましょう。

総務省から発表された令和5年家計調査年報(家計収支編)では、2人以上の世帯(世帯主の平均年齢60.2歳)における家計消費は、1世帯あたり1ヶ月平均293,997円という結果でした。

2022年からコロナ禍以前の水準に戻っていますが、それ以上に生活費が増えている状況です。

これは物価が高騰していることが影響していると考えられます。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、収入は244,580円で、可処分所得は213,042円となります。

消費支出は250,959円となり、可処分所得から差し引くと以下の金額になります。

 

213,042円-250,959円=-37,917円

 

約3.8万円が毎月不足する計算となるため、これが30年間続いた場合、1,368万円分が赤字となるため貯蓄から切り崩す必要が出てきます。

こちらもあくまでも目安となりますが、老後2,000万円問題から新型コロナ禍を経て約700万円分の余裕が生まれていることになります。

 

■老後資金のために今から始められること

現状におけるシミュレーションでは、2,000万円まで貯めなくても良いことが分かりました。

しかし、結局約1,300万円は赤字となるため、老後で収入がなくなる前に資産を増やしておく必要があります。

また、世帯によっては1,300万円も必要ないケースもありますが、将来どのような事態が起きるか予測できないため、安心のために資産を増やしておくことも大切です。

そこで、ここからは老後資金のために今から始められることをご紹介します。

 

・家計を見直してムダな支出を抑える

老後資金のためにすぐにでも始められることは、家計の見直しです。

収入や貯蓄が支出を上回っていれば、生活レベルを落とさずに生活することも可能です。

65歳以上でも働くことは可能ですが、現役時代と比べて働く時間やできることも減ってしまうため、収入が下がってしまうことも少なくありません。

このような場合、しっかりと給料をもらっていた頃の生活レベルからいきなり変更するのは非常に難しいです。

今のうちから家計を見直しておき、ムダな支出を抑えるように心掛けておけば、老後も生活レベルを落とさなくても十分に暮らしていけるでしょう。

また、ムダな支出を抑えればその分貯金も増やすことができ、老後資金の増加につながります。

 

・NISAやiDeCoを始める

NISAは金融庁が推奨する投資信託です。

本来株式などで利益を得ると、その金額の20%分を税金として納める必要が出てきます。

しかし、NISAを利用すれば毎年一定金額の範囲内なら非課税になるため、節税にもつながります。

なお、NISAは18歳以上から利用することができ、非課税期間も無期限になります。

そのため、始めるのが早ければ早いほど資産形成もしやすくなりますが、逆に40代・50代からでも始めることは可能です。

例えば50代からNISAで積立をスタートさせたとしても、20年間毎月3万円を積み立て、想定利回り3%で運用した場合、元本と運用収益を合計して985万円になります。

70歳までに運用で約1,000万円も貯められれば、年金と合わせて十分に生活もしていけるでしょう。

また、これは想定利回りを3%に設定したシミュレーション結果となりますが、4%で運用すれば約1,100万円になりますし、積立金額を毎月5万円にして3%で運用した場合は約1,642万円になります。

あくまでもシミュレーションであり、投資信託になるため元本が減ってしまうリスクもありますが、将来のための資産を貯めるならNISAがおすすめです。

 

他にもiDeCoを始めるのもおすすめです。

iDeCo(確定拠出年金)は、自分で公的年金・国民年金に上乗せできる年金を作るための制度です。

自分で金融商品を選んで運用し、積み立てた資産を60歳以降に一括または分割で受け取れるようになります。

原則60歳まで積み立ててきた資産の引き出しはできないものの、掛金全額が所得控除されるため節税対策ができたり、運用中に得た利益もすべて非課税になったりするなど、税制優遇も受けられます。

普通に貯金をしておくよりも、iDeCoで貯めた方がお得になる可能性が高いです。

 

 

今回は老後2,000万円問題がコロナ禍を経たことでどのように変化したのか、現在どれくらいの老後資金が必要と言われているのかをご紹介してきました。

老後2,000万円問題はあくまでもモデルケースを使った試算であり、それぞれの世帯によって必要となる老後資金は変わってきます。

実際に自身の老後に必要な資金を計算してみて、どれくらいの資金を貯めた方が良いのかチェックしておくと良いでしょう。

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年代によって適切な貯金額は異なる!ライフイベントごとに必要な資金を参考に貯金額を決めよう

2024年08月13日 | マネー

貯金したいけど、どれくらい貯金に回すのが正解なのか分からないという方は多いのではないでしょうか。
今回は、貯金額の決め方や上手に貯金するためのポイントをご紹介します。
貯金を考えている方やライフイベントごとに必要な資金はどれくらいなのか知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。


■【年代別】貯金額を確認しよう

まずは、年代別に貯金額の中央値を見てみましょう。

世帯主の年代

中央値

全国

600万円

20代

120万円

30代

315万円

40代

500万円

50代

700万円

60代

1,200万円

70代

1,100万円

 

貯金の中央値とは、貯金額を少ない順に並べたとき、丁度中央にある値のことを言います。
ご覧のとおり、歳を取るほど貯金額の中央値が上がっています。
そのため、貯金額を決めるときは、全国の中央値ではなく、年代の中央値を参考にする方が、無理のない貯金ができるでしょう。
まずは、自分の年代がどのくらい貯金しているのかを把握してみてください。


■毎月いくら貯金するのがいい?

年代別に貯金額が異なるのと同様、毎月貯金に回す額もそれぞれ異なります。
その理由は、理想の貯金額は「収入の10%~30%」と言われているからです。
つまり、収入の10%を貯金に回すとすれば、年収が350万円の場合、毎月29,000円程貯金する必要があります。
しかし、この計算方法は目安であり、後に訪れるライフイベントに向けて十分に備えておきたいという方もいるでしょう。
ここからは、結婚資金、住宅資金、教育資金、老後資金がどれくらいあればよいのかをご紹介します。


・結婚資金

「ゼクシィ結婚トレンド調査 2023首都圏」によれば、結婚式にかかる費用総額の平均は、456.9万円となっています。
しかし、ご祝儀や両家の親からの援助を考えると、この金額を丸ごと用意しなければならないというケースは少ないでしょう。
ちなみに、ご祝儀の平均額は199.7万円、両家の親からの援助の平均額は200万円です。
結婚式にかかる費用総額からご祝儀と援助金額を差し引くと、57.2万円となります。


・住宅資金

「国土交通省 令和4年度住宅市場動向調査」によれば、令和4年度の全国の注文住宅平均建築費用は、新築の場合で3,866万円、建て替えの場合で4,487万円となっています。
新築では土地の取得も不可欠です。
土地取得にかかる平均費用は1,819万円なので、費用総額は5,685万円となります。
もちろん、一括払いは難しいため、住宅ローンを利用するケースがほとんどでしょう。
住宅ローンによる負担を軽減するためには、諸経費と頭金を貯金から捻出するのがおすすめです。
諸経費は、建築費の約10%が相場と言われています。
新築の場合の注文住宅平均建築費用は3,866万円なので、約386万円が必要になります。
頭金は、住宅購入費用の7%~17%が相場です。
新築購入費用総額は5,685万円なので、約397万円~約966万円が必要になります。
とはいえ住宅購入費用に関しては、戸建てかマンション、立地、新築か中古などで差が出てくるため、理想の住まいに合った貯金を用意することが重要です。


・教育資金

文部科学省によると、子どもにかかる教育資金は約819万円~約2,237万円です。
児童手当は、1人あたり約200万円支給されるため、差し引くと619万円~2,037万円となります。
児童手当については、今後制度が拡充される可能性が高いため、負担が減るかもしれません。
しかし、子どもを手厚くサポートしたい、選択肢を多く与えたいという場合は、余裕をもって資金を用意しておく必要があるでしょう。


・老後資金

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、65歳以降の月額生活費は夫婦2人で約26.8万円、独身で約15.5万円となっています。
85歳までの生活費を考える場合、夫婦2人で約6,432万円、独身で約3,720万円が必要です。
65歳以降は年金が支給されるため、上記から年金額を差し引きます。
厚労省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給月額が約5万6千円、厚生年金の平均受給月額が約14万4,000円となっています。
夫婦2人が国民年金保険だった場合、月の支給額は11万2千円、85歳まで受給した場合、2,688万円円です。
夫婦2人が85歳まで生活するのに必要な費用が約6,432万円であるため、老後資金として用意しておきたい額は3,744万円となります。


■【年代別】おすすめの貯金額の決め方

今後訪れるライフイベントに必要な資金をご紹介しましたが、貯金を続けていくためには、自分に見合った金額を貯金することが大切です。
ここからは、年代別に貯金額の決め方をご紹介します。


・20代の場合

収入は、年齢に比例して上がっていく傾向にあります。
そのため、比較的収入が少ない20代は、多額を貯金するのではなく、目安である収入の10%をコツコツと貯金していくのがおすすめです。
一見少ない額に見えても、年数を積み重ねていくことで、将来の貯金額に大きな影響を与えるはずです。


・30代~40代場合

30代は、結婚をする人や子どもを持つ人が増える傾向にあります。
そのため、結婚資金、住宅資金、教育資金が必要になってきます。
ライフイベントに合わせた貯金が不可欠になるため、事前にライフプランを立てておくのがおすすめです。
ライフプランを立てれば、必要な費用が分かりやすくなるため、貯金額の決定もしやすいでしょう。


・50代

50代からは、老後資金のための貯金に力を入れましょう。
特に50代半ばともなれば、住宅ローンの返済が終わり、子どもも独立する世帯が多くなります。
そのため、老後資金の準備にぴったりのタイミングなのです。
今ある貯金を確認した上で、老後にどのような生活をしていきたいのかを考え、それに見合った貯金をするようにしましょう。


■上手に貯金するためのポイント

上手に貯金するためのポイントを解説していきます。


・貯金の目的を明確にする

何のためにお金を貯めるのかを明確にすることが大切です。
目的を明確にすることで、貯金に対するモチベーションを維持しやすくなり、無駄遣いなどが減るといった効果も期待できます。
「貯金を始めた方がよい年齢だから」というような理由よりも、「3年後の結婚式に備える」「住宅の頭金を払うため」など、具体的であるほど効果的です。
目的が明確になったら、期間と目標の貯金額を決めるのがおすすめです。
期間や貯金額が曖昧だと、月にいくら貯金するべきなのかが分かりづらくなるため、継続しにくくなります。


・生活コストを見直す

家計簿をつけ、支出内容を把握することも大切です。
支出内容が把握できれば、生活コストの見直しが容易になるからです。
特に固定費の見直しは節約効果が高いため、貯金額にも大きな影響を与える他、モチベーション維持にもつながります。
固定費として挙げられるのは、通信費、保険料、家賃、水道光熱費などです。
加えて、予定外の買い物を控える、食費を減らすために自炊を意識するなども節約につながります。


・財形貯蓄制度を利用する

貯金を上手に行うために、先取り貯金を取り入れるのもおすすめです。
先取り貯金とは、毎月自動で貯金ができる仕組みを使った方法で、財形貯蓄制度をはじめとして、様々な方法があります。
財形貯蓄制度は、毎月の会社の給料から一定額が天引きされ、自動的に貯金してくれる制度です。
財形貯蓄制度は住宅や年金など、用途に合わせて貯金できるのも魅力となっています。
ただし、財形貯蓄制度は勤務先が取り入れていない場合、利用できません。
そのような場合は、自動積立定期預金や積立保険、新NISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)なども検討しましょう。

 


今回は、年代別の貯金額や貯金額の決め方、ライフイベントごとに必要な資金などについてご紹介しました。
収入が少ないうちは特に、コツコツ続けていくことが大切です。
無理のない範囲で、長く続けることに重きを置くことで、貯金のコツが分かってくるでしょう。
貯金が苦手な方は、先取り貯金なども活用しながら、自分に合った方法、金額を見極めていきましょう。

 

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