微風/びふう

日々のあれこれ♪

羽衣・・・短い物語

2019-12-19 00:37:35 | 羽衣/ブログ物語

 

短い物語

物語 「 羽衣 」 5-5 完

笑える秘密ーーー

秘密の秘密ーーー

雄太はあの時から自分の方がなんでもよく知っていると思っていたし、ちょっと自慢だった。

ある意味、綾子の羽衣を自分がこっそり持っている事を気にしながらも、

雄太がちょっと優越感に浸っていた秘密だったが、、、

綾子にとっては、飛んでいった羽衣などもうどうでもいい事だった。

母が気が付かなければそれでよかったのだ。

母が大事にしていたショールをこっそりと持ち出して「天の羽衣」ごっこをしていたけれど、飛んでいったショールに綾子はもう未練はなかった。

早くもタンスの中の別のショールを思い浮かべていた。

 

それに、、、

ある時から、綾子はあの羽衣を雄太がこっそりと持っている事にも気が付いていた。

そして知っている事を黙っている、、、

「綾子ちゃんの事なら何でも知っているよ」と小さいころから口癖だったそんな雄太の秘密をちょっと冷ややかに楽しんでいる綾子である。

でも、いつかはちゃんと「知っているよ」と笑ってあげようと思っている綾子だった。

 

雄太も、そろそろ教えてやろうと思い始めている。

あの時何も出来なくて一部始終を見ていた事がばれてしまう、、、

またばれるのがちょっともったいないような気がする、、、

けれど、そろそろ「告白」しようと考えている。

 

しかし、いつ、、、

どのタイミングで?

なかなか言い出せないまま半年が過ぎてしまった。

 

  

、、、人の感情や心の変化は男女や人によってもそれぞれ?

ーーーーーあっけなく、物語はここで終わる 

  


雄太の人生に人工知能の助けが必要になった時を考えてみたが、かなり長くなりそうなので今回の物語はここまで。

 産まれてからこの先死ぬまでの雄太の心の変化や感情など、同じ心を持ったAIが完成したら、、、?

人とAIが対等に気持ちを通い合わせる時代がくる、、、のは怖い。

人間の感情を100%データ化する技術は生まれない。

人間にとっての豊かさって?

自然環境や生物にとっていい事なのか、世の中にとってどこまで必要な事なのか、様々な状況を考えるのは面白いけれど、恐ろしくもなる。

 

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羽衣・・・短い物語

2019-12-15 22:21:09 | 羽衣/ブログ物語

短いブログ物語

物語 「羽衣」 5-4

ーーー物語は現在の結婚後の雄太と綾子に戻るーーー

 

子供のころから綾子ちゃんと結婚すると決めていた、、、

雄太が描いていた綾子との日々は何の不満もなく充実している。

 雄太は綾子にも、ここに満足出来る生活がある事を感じてほしいと願いいながら

雄太なりの思いやりを大切にしていた。

 

時の流れは速いものである。

 ふと思い出すのはあの日のあの時間。

 昔の事のようにも、ほんの数日前っだ事のようにも思えるあの日の出来事、、、

 結婚して、

自分の娘が小学一年になった姿を見ながらふと懐かしい情景が思い浮かぶ。

 

それは雄太が何となく女の子を意識した瞬間のほろ苦い思い出。

 妻は知らないあの日の雄太の行動と心情、、、

それは今でも秘密のまま。

 

幼いあの日、天の羽衣になって楽しんでいた綾子に起きた悲しい出来事に寄り添えなかった自分がよみがえる。

 あの時、何故か見てはいけないものを見てしまったと感じる雄太がいた。

 そして一部始終を見ていた自分にも戸惑いを感じていた。

 

綾子がしょんぼりと帰って行った直後、松の枝に引っ掛かっていた羽衣をやっとの思いで取り外したのに、、、

 そして綾子の家まで届けに行ったのに、、、

 タイミングが悪くて渡せなかった。

翌日もう一度出直そうと思ったが、

何故かこっそりとその羽衣を自分の宝物にしてしまった。

 

幼かった自分の行動が、ちょっと切なくほろ苦く時折り振り子のように音を立てる。

あの時綾子に渡さなかったあの羽衣が、雄太の机の引き出しの奥に秘密のにおいを残しながらひっそりと大切に隠されている。

 

ーーー続く

 

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羽衣・・・短い物語

2019-12-03 21:49:29 | 羽衣/ブログ物語

ブログ物語

物語 「 羽衣 」 5-3...2  

                                                           

 

 

「あ、羽衣? 天女様? 羽衣だ」

あっけにとられて見つめる雄太。

松の陰に羽衣をまとった天女様の姿を見た小学一年生の雄太の目がくぎづけになる。

 

松林を抜ける風に美しい羽衣が揺れている

わあ、なんてきれいなんだ、、、

 

その美しい姿に、

そうだ、あれはきっとあの絵本の天女様に違いない、

と思いながらくいいるように見ていたが、ちょっと不思議に思った。

 

あれ?天女様ってあんなに小さいのかな?

なんかすごくちっちゃいな?

そうかやっぱりあの絵本の中の天女様じゃないんだ、、、

だって天女様がこんなところにいるわけないし、ここはいつも僕が来る砂浜だしね!

 

え~誰なんだろう?

雄太がのぞき込むように見つめていたその時、

 

あ、、、、

羽衣が風に飛ばされて舞い上がった!

そして、

小さな女の子が松の陰から飛び出して羽衣を追いかけていく。

それを見た雄太がビックリ!

 

あれ、あ、あれ? 綾子ちゃん?

え、天女様は?

あれは綾子ちゃんだ!

 

じつは、、、

綾子が母親のきれいなショールを持ち出して、絵本の中の「天の羽衣」の気分を楽しんでいたのだった。

 

ところが、舞い上がった羽衣が松の枝に引っ掛かってしまった。

手が届きそうにもない高い枝先で風に揺れている羽衣を綾子がしょんぼりと見上げている。

 

雄太はというと、

あまりにも驚いてしまいその様子をただ呆然と見ている。

急いで綾子ちゃんのもとに駆け付ける事も、

飛んでいく羽衣を追いかける事も忘れて、、、

 

口をポカンと開けたままの雄太だった。

 

 

続くーーー

 

 

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羽衣・・・物語

2019-11-28 20:04:41 | 羽衣/ブログ物語

短いブログ物語

 

物語 「 羽衣 」 5-3

海が好きな雄太と絵本が大好きな綾子ーーー

子供ならではの、

現実と物語の世界を行ったり来たりしながら成長していく二人の日々に時を刻む音など聞こえない。

 

図書室で絵本に見入る綾子の横で雄太がちょっかいを出したり独り言をつぶやいたりしている。

小学一年の雄太は読書のふりをするのも得意だった。

 

「いつも同じ本ばかりだね」

「そう、この本が一番好きなの、私の宝物」

綾子のお気に入りは「天の羽衣」の絵本だった。

その絵をのぞき込んだ雄太が言った。

 

「ねえ、その女の人綾子ちゃんみたいだね、ちょっと似ているよ」

「ほんと?ほんとに似てる?」とうれしそうに笑う綾子。

何度も何度も読み返し、

私もいつかこの素敵な羽衣をまとった天女になりたいと、

綾子は夢見ていた。

 

二人の家からすぐ近くに松林があり、

その先の砂浜から海へと続く景色はとても美しい。

まるで「天の羽衣」の絵本の中のそのものだった。

 

小さな綾子の想いがどんどん膨らんでいく。

天女様はきっとこの松林で美しい羽衣の舞いを舞っていたに違いないと思った。

 

松林、天女、羽衣、綾子、

そして松林を抜ける風。

いつしか、

天女になった綾子は「天の羽衣」の絵本の中をさまよいながら物語の中の風になる。

 

ある日、

いつものように海を眺めていた雄太がふと振り返った松林、、、

続くーーー

 

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羽衣・・・短い物語

2019-11-16 23:27:26 | 羽衣/ブログ物語

ブログ物語

物語 「羽衣」  5-2

 

 

あれから数日後も、、、雄太は砂浜にいた。

浜辺にはあの日と全く同じ風が吹いている、、、

 

「雄太君もうお昼だよ」

砂の上に足を投げ出して、あたりに転がっている軽石を手元に引き寄せながら海を眺めている雄太の横に綾子が腰をおろした。

 

「あのさ、雄太君は私の事どのくらい知ってる?」

ちょっと唐突かなと思いながら声をかけた。

「知ってる知ってる、何でも知ってる、綾子ちゃんの事なら何でもわかってるさ」

それならばと、雄太もすかさず聞き返した。

 

「で、綾子ちゃんは俺の事どのくらい知ってる?」

「私だって雄太のこと何でも知ってるつもりだけど、でも、時々何考えてるのかよく分からないなあ、、、」

あぁ、この話はここまで、、、と、

ちょっと気まずく感じた綾子が話を止めた。

そして、

「あ、ハイ、これ上げる」と

雄太が先ほど集めておいた軽石を一つ渡した。

「あ、これいいな、、、軽石に開いているこの小さな穴を見てごらんよ、何かすごいパワーが閉じ込められているような気がする。まだ解明されてない物質やパワーを知りたいなあ、俺、科学者になろうかな」

「あ、なれるなれる、なれるかも! 雄太君科学者になれるよきっと」と、綾子が笑った。

「ありがとう、この軽石僕のコレクションにしょう」

「コレクションじゃなくて、宝物ね」

「あ、そうそう宝物だね、ありがとう」

大事にしてよ、と言いながら立ち去る綾子の後姿を見ながら雄太がつぶやいた。

何だよ、これ俺がさっき集めた石じゃないか、、、

 

いつもの海、砂浜、松林、雄太と綾子、振り子のようによぎる、、、幼いあの時。

 

雄太が松林に目をやる。

今でも鮮やかに舞う羽衣、、、

高校生の雄太の現在と過去を行ったり来たり。

 

綾子にもらった宝物の軽石を大事にしながら、雄太の夢は科学者に向かって少しづつ現実味を帯びて行った。

 

高校も大学も別々の二人だったが、近所の幼馴染だったという事もあり気心の知れた二人はやがて結婚する。

生まれた時から死ぬまで一緒と決まっていたかのような二人。

その後も雄太は科学の道へ、

絵本が好きだった綾子は出版関係の仕事を続けながら二人の子供を育てた。

 

それは雄太が小さいころ夢に描いていたような幸せな結婚生活、、、

 

続く。。。 

 

(3話では、小学一年生の雄太と綾子を振り返る)

 

 

ーーーーー物語 夢 振り子 現在 過去 未来 科学 記憶 人工知能

 

 

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