❝ 小さな物語 ❞
ザブ~ン、
ザブ~ン、、、
旅人の足元を洗う波
海からの風が遠い昔を連れてくる
どのくらい昔なのか、、、
もう忘れてしまった
波の向こうを見つめる旅人の瞳の奥に、
故郷はいつもすぐそば、、、
しかし、
長い年月は
深くなる思いの隣で
懐かしい故郷を引き離そうとする
緑の木々!
心地よい風!
眩しい太陽!
風のざわめき
!
光る海
!
ザブ~ン、
ザブ~ン、、、
毎日、毎日、
きょうも打ち寄せる波の音!
白い砂浜
ー
漂流、、、
漂着、、、
ー
小さな旅人は、
きょうも遠い故郷を思う
乾いた胸の中を
その思いだけが通り抜けていく
僕はいつからここにいたんだろう?
僕はいつまでここにいるんだろう?
尋ねたら教えてくれるだろうか、、、
朝の光が目の前をかけていく
夜の風が、
旅人の心を震わせながら通り過ぎていく
、、、
、、、
旅人の瞳の奥深く打ち寄せる波
今日も旅人の心に風が吹く
∞
∞
∞
もう何年の時が流れたのか、
ザブ~ン
ザブ~ン・・・
朝の光の中で、
寄せては返す波の音
寄せては返す、、、旅人の思い
思い出せないくらいの寂しさを
もう抱えきれなくなった懐かしさを
ほんの少しだけ、
朝の波のきらめきが和らげてくれる
そして、
また、
望郷の念に胸が痛む
∞
立ち尽くす旅人
寄り添う影
太陽が高くなり、
寄り添う影が消える時、
旅人の小さな胸がほんの少し暖かくなる、、、
ザブ~ン
ザブ~ン
穏やかな波の音
午後の浜辺で遠くを見つめる旅人が独り
そして、
明日も、
夜の海を渡る・・・旅人の思いが一つ
’
’
’
波の音を子守歌に、砂に埋もれる漂着物
いつの日か、風化して 消えてしまう海の旅人たち
∞
∞
∞
数年前、浜辺の砂に埋もれていた旅人は小さな竹の根っこの漂着物でした。
そして、旅人はもう物語の途中でした。
ーーー ( 最近少し編集しました )
イメージの泉 漂着物 造形 物語の途中 自然はいろいろな情景を見せてくれる