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月影の門 15

2009-02-23 22:03:17 | 小説 月影の門
 当たり前のことだが、ここにいるもの達は、全員ヘルメットを脱いでいた(じゃなければ、食えないって)。
 食堂のカウンター近くに昨日受付をしてくれた男を見つけ近づくと、向こうもこちらに気づき手招きをしてくれた。
「お早うございます。お休みになれましたか?」
 穏やかそうな表情で、“どうぞ”と目の前の椅子を指差す。
「え、え、まあ・・・」
 あいまいな返事をするミイコに
「あと、十日もすれば住まいへ戻れると思いますので、それまで窮屈でしょうが我慢してください」
 言って自分の食事を中断し、二人分の食事を注文してくれた。
「あの、直で伺いますが、トシ・・・私達の連れは、見つかりそうでしょうか?」
 目の前に定食の乗ったお盆を置き、目の前に座る青年に問いかける。
「そうですね・・・。今のところ何とも言えません。昨夜も遅かったですし、捜索開始は今日からになるでしょう。ただ、お二人が見たと言うモルドの件もありますし。場合によっては、別働隊が保護している可能性もあります」
「別働隊・・・・て?」
「あぁ、我々の他にも部隊がいくつかありまして、元々はアトフという一つの組織だったのですが、以前モルドの大群に襲われて、本部が壊滅。かろうじて支部の生き残りがこうして細々と活動していると言う有様なんですよ。せめて、・・・・アーマーが残っていれば・・・」
 彼はため息をつき、次の瞬間また穏やかな顔になって
「あ、どうぞ、さめますよ。食べ終わったら、そこの返却口に戻してください。何かあったら報告します。では・・・」
 そう言って、二人に軽く会釈し席を立った。
「まあな、昨夜の今朝じゃ無理か・・・」
「そうね・・・」
 二人隣り合ったまま、無言でもそもそと朝食をとる。
 と、突如、ミイコの脳裏に昔見たトシの姿がフラッシュバックのようによみがえって来た。

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