会議室でトシ達がワヤワヤやっている頃、食堂では昼食の準備に入っていた。
下ごしらえをしながらの会話でトシの事が話題になっていた。
「あの新入り、手早だな」
「そうそう、いつもの倍以上にはかどるよな」
「このまま、いてくれれば助かるんだけど・・・・」
みんなトシの腕前をほめていた。が・・・・
「でも、なぁ・・・・、あれは」
「そうだな・・・あれだけは」
下ごしらえしながら、顔を見合わせる男たち。
「だから、奥のほうをメインで手伝ってもらえば・・・・」
「だよな・・・・・」
トシが手伝ったおかげで、支度は格段にスピードアップができた。のだが、
汁物をよそればこぼし、皿にもればはみ出し、これでよく飲食店に勤められたな・・・と思われるほど、盛り付けが超ド下手・・・・、いや、おおざっぱなのだ。
実際、ミーシャでも厨房では下ごしらえとウェイターの仕事がほとんどだった。
それでも、人手が足りないのは事実なので、トシの存在は本当に助かる存在なのだ。
まさか、本人は、うらでこんな話で話題になっているとは思ってもみないだろう・・・・。