使われた車は、2台。1台目にコウジ、マドカとミイコ。2台目には、アトフの隊員が3人。
向かう先は、勿論、L90地区。ミイコたちの住んでいたアパートだ。
「それにしても、滅多にないですよ。同じような地区にモルドの成体が2体も出現するなんてことは。幼体が群れていることは、時折ありますが・・・」
運転しながらコウジが二人に話しかける。
「それって、珍しいんですか?」
「そうですね・・・。幼体や蛹体が複数で一体の成体を護衛することもありますが・・・・」
え? それって、逆じゃないの? 子供に守られる大人って・・・・。
普通、大人が子供を守るもんだろ。
「あ、成体と言ってもただの大人と言うわけではありません。そうですね、完全体とでも言えばよいでしょうか。モルドの中で遺伝子を残すことが出来る個体の事です」
運転席から ちらり、と振り返ったセイジが二人の表情を見て説明を続けた。
「モルドの成体の全てが遺伝子を残せる訳ではなく、そうですね・・・・、10体の幼体のうち完全体になれるのは、1体か2体。その完全体を守る事で子孫を残そうとするのだと思います。たぶん、理屈よりも彼らの本能でしょう」
「まるで、蟻か蜂のような生き物なんですね」
そういうミイコに、コウジがちょっと考える仕草をする。
「ん・・・。全てがそうとは限らないんですが、そのような種族もいますね。特に卵を守る思いは、格別ですよ。本当に命かけますからね」
普段、同じ地区に出現しない成体が2体。命を懸けて卵を守る。
「まさか・・・・」
とっても、いや~な、気がする。
「もしかして、・・・・」
「あの~、もしかして、私達が行こうとしてるところって・・・・」
同時に言葉を発するマドカとミイコに対し
「だから、危険だと言ったじゃないですか」
と、あっさり一言。
ついて行くって言ったのは、自分だしな~。
はぁ、とため息をつくミイコ。それでも、引き返すつもりはない。
向かう先は、勿論、L90地区。ミイコたちの住んでいたアパートだ。
「それにしても、滅多にないですよ。同じような地区にモルドの成体が2体も出現するなんてことは。幼体が群れていることは、時折ありますが・・・」
運転しながらコウジが二人に話しかける。
「それって、珍しいんですか?」
「そうですね・・・。幼体や蛹体が複数で一体の成体を護衛することもありますが・・・・」
え? それって、逆じゃないの? 子供に守られる大人って・・・・。
普通、大人が子供を守るもんだろ。
「あ、成体と言ってもただの大人と言うわけではありません。そうですね、完全体とでも言えばよいでしょうか。モルドの中で遺伝子を残すことが出来る個体の事です」
運転席から ちらり、と振り返ったセイジが二人の表情を見て説明を続けた。
「モルドの成体の全てが遺伝子を残せる訳ではなく、そうですね・・・・、10体の幼体のうち完全体になれるのは、1体か2体。その完全体を守る事で子孫を残そうとするのだと思います。たぶん、理屈よりも彼らの本能でしょう」
「まるで、蟻か蜂のような生き物なんですね」
そういうミイコに、コウジがちょっと考える仕草をする。
「ん・・・。全てがそうとは限らないんですが、そのような種族もいますね。特に卵を守る思いは、格別ですよ。本当に命かけますからね」
普段、同じ地区に出現しない成体が2体。命を懸けて卵を守る。
「まさか・・・・」
とっても、いや~な、気がする。
「もしかして、・・・・」
「あの~、もしかして、私達が行こうとしてるところって・・・・」
同時に言葉を発するマドカとミイコに対し
「だから、危険だと言ったじゃないですか」
と、あっさり一言。
ついて行くって言ったのは、自分だしな~。
はぁ、とため息をつくミイコ。それでも、引き返すつもりはない。
「こちら、本部。どうした?」
コウジが通信機に向かいながら、目の前のモニターを操作する。
「別働隊が・・・・、分かった。すぐ行く」「こちら本部、NO.20。L90地区へ行ってくれ、こちらもすぐに向かう」「・・・」
コウジは数箇所に次々に指示を出していく。
ミイコは、そのモニターの一つを凝視した。
「すみません。出かけなくてはならなくなりました。危険ですのでお二方は、ここにいてください」
言いながら、部屋を出ようとするコウジにミイコが椅子から立ち上がった。
「あたしも、行きます。あのアパートのところですよね、連れて行ってください」
「おい。ちょっと待てよ」
と、慌ててとめるマドカにミイコが振り向いて叫ぶ。
「あそこに、トシ君がいるの」
「・・・え?」
突然の台詞に動きを止めるマドカに対し、ミイコがゆっくりと繰り返す。
「あそこに トシ君が いるの」
「トシ って、確か君達が探してるって言う・・・?」
ドアノブに手をかけたままのコウジが、振り返った。
「そうです。だから、連れて行ってください。出来ないと言うのなら、勝手に行きます」
ミイコの言葉にコウジがしばらく考え込んでいたが、その勢いに押されたのか
「分かりました。ついて来て下さい。車を出します」
言って、ドアを開けた。
「俺も、行きます」
マドカの台詞に一瞬動きを止めたコウジだが、諦めたのか勝手な行動を取られると困ると思ったのかコウジが軽く頷く。そして
「あまり、無茶な行動は、しないでくださいね」
と、一言付け加えることは、忘れなかった。
コウジが通信機に向かいながら、目の前のモニターを操作する。
「別働隊が・・・・、分かった。すぐ行く」「こちら本部、NO.20。L90地区へ行ってくれ、こちらもすぐに向かう」「・・・」
コウジは数箇所に次々に指示を出していく。
ミイコは、そのモニターの一つを凝視した。
「すみません。出かけなくてはならなくなりました。危険ですのでお二方は、ここにいてください」
言いながら、部屋を出ようとするコウジにミイコが椅子から立ち上がった。
「あたしも、行きます。あのアパートのところですよね、連れて行ってください」
「おい。ちょっと待てよ」
と、慌ててとめるマドカにミイコが振り向いて叫ぶ。
「あそこに、トシ君がいるの」
「・・・え?」
突然の台詞に動きを止めるマドカに対し、ミイコがゆっくりと繰り返す。
「あそこに トシ君が いるの」
「トシ って、確か君達が探してるって言う・・・?」
ドアノブに手をかけたままのコウジが、振り返った。
「そうです。だから、連れて行ってください。出来ないと言うのなら、勝手に行きます」
ミイコの言葉にコウジがしばらく考え込んでいたが、その勢いに押されたのか
「分かりました。ついて来て下さい。車を出します」
言って、ドアを開けた。
「俺も、行きます」
マドカの台詞に一瞬動きを止めたコウジだが、諦めたのか勝手な行動を取られると困ると思ったのかコウジが軽く頷く。そして
「あまり、無茶な行動は、しないでくださいね」
と、一言付け加えることは、忘れなかった。