2015年から世界保健機関(WHO)は、特定の地域への差別を防止するため、新興感染症の病名に地名を使用することを禁止している。それ以前には感染症の病名やウイルスの名称に地名が使われたものも多く、最も最近のものは2012年に出現した「中東呼吸器症候群(MERS)」があり、これら既存のものは便宜上従来の病名が現在も使われている。
それをさらに踏み込んだ形といってもいいだろう。今年夏の初めごろ新型コロナウイルスの変異株にも国名を使用せずギリシャ文字のアルファベットを使用することを推奨した。ギリシャ文字は出現した順にWHOによって割り振られる。
去年も新型コロナウイルスは発生初期の武漢型からヨーロッパ型、日本では東京・埼玉型というのも登場し、世界で少なくとも20以上に変異していると言われていたけど、遺伝子などの微小な変異だったため、変異株とは言わなかった。
ちょうど変異株の呼称にギリシャ文字を使用することを決定したころインド由来の変異株が流行し始めたため、当初「インド株」と呼んでいたのがしだいに「デルタ株」と呼ぶようになり、「デルタ株」からギリシャ文字による呼び名が定着した。
アルファ株はイギリス由来だが、この「アルファ株」には誤解している人もいるみたいで、テレビでどうも変異株が出現する前の従来株がアルファ株だと思っているような感じの時がある。
変異株を国名ではなくギリシャ文字で呼ぶようになった理由は差別を助長するのを防ぐためだが、その他にもメリットがあると思う。
国名だとその国だけで流行しているような印象になって自分たちの国の問題という意識が薄れる懸念がある。ギリシャ文字で呼ぶことによって、国名に惑わされず自分ごととして捉えやすい。
ギリシャ文字の順番によって今変異株が何種類出現しているかということを実感できる。
同じ国に由来する変異株が複数出現した場合、区別するには国名だけでは間に合わないので、ギリシャ文字を使うと便利(例えばインド由来の変異株はデルタ株の他イータ株もある)。数字とアルファベットを組み合わせた名称もあるが、それは複雑でわかりづらいので、ギリシャ文字による通称はわかりやすい。
このように、変異株にギリシャ文字を使うのは本来差別を防ぐ目的だったが、それ以外にもいろいろメリットがあって、合理的だと思う。
"王制廃止" "国民投票" ギリシャ
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