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「オリンピッグ」が女性差別と言うなら

パリオリンピックの開会式は7月26日(日本時間では27日)。
一部の競技は今日24日から開始している。

さて、前回の東京オリンピックでは、開会式の演出をめぐって、クリエイティブディレクターだった佐々木宏さんがタレントの渡辺直美さんに「オリンピッグ」という豚の格好をした演出をさせようと提案するというできごとがあった。容姿を侮辱するものだと批判を受け、佐々木さんは引責辞任することになった。
「オリンピッグ」に関して女性差別だという指摘もあったが、女性差別にあたるかどうかについては、渡辺さんがたまたま女性だからそう言っている(そうやって女性問題に仕立て上げて女性差別に反対する動きをあおっている)だけじゃないかなどと疑問視する声もあった。しかし、女性は容姿をいじられやすいなど、ルッキズム(容姿差別、または必要以上に容姿を評価基準として重視する考え方)に陥りやすいという点では女性差別にあたるとも言えなくもない。

それから、現在もある男性差別についても取り上げたい。
徴兵制を採用している国の多くは男性のみを徴兵の対象としている。有事となれば戦場に送られて命を落とす可能性すらある兵役に就く義務を課すものであり、その義務を男性のみに課しているのである。
ドイツは徴兵制復活を検討しており、その際女性も対象とする方向で検討しているが、別の案では男性のみに就役意志の有無を登録する義務を課す制度の導入も検討している。ミャンマーは男女ともに徴兵の対象としている一方で、男性のみに就労目的の国外渡航を一時的に禁止した(徴兵を視野に入れたものと見られる)。このように、女性も徴兵の対象としている国でも男性が優先される傾向がある。
戦争中のウクライナでは18歳から60歳までの男性の出国禁止が2年以上続いている。動員に備えたものだが、その他の問題として、ウクライナ国内にいればいつどこにミサイルなどが飛んでくるかわからず、自分が巻き込まれる危険性はぬぐえない。攻撃に巻き込まれると負傷や死亡のリスクがあり、体の一部を失ったり後遺症に苦しみ続けるリスクもある。集合住宅にミサイルが着弾し外壁が破壊され室内がむき出しになった光景をニュースで見たこともあり、そんな中で男性だから出国禁止というのは理不尽だと思う。
また、人質解放も女性が優先され男性は後回しにされる事例も少なくない(在ペルー日本大使公邸占拠事件や、最近ではパレスチナのハマスに監禁された人質がその例だ)。警察や政府などの当局もその女性の優先的な解放を提案する形で交渉を進める(そうした方が交渉しやすいからか?)ケースが少なくない。
それに対して、オリンピックの開会式で豚の格好をした演出をさせられることによって苦痛や恐怖が起こることはないでしょう。つまり、上に挙げた男性差別は「オリンピッグ」を演じさせられることの何十倍も差別的で、何十倍も理不尽だと言いたい。

女性差別と比較して男性差別は事例や種類が少ない一方で、命に関わる場面での差別があり、程度の大きい差別が起こりやすいと言える。そういった社会の状況に私は怒りすら感じる。

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コメント一覧

たしかに不適当な差別はあると思うが
今の社会に不適当な差別が存在していることは事実です。差別と区別を履き違えている話もよく聞きますが、徴兵の問題については「区別」だと思います。統計データや生物学的に見てみても男性の方が体格が圧倒的に大きい場合が多いです。
渡辺直美さんの例は非常に難しいです。個人的にはルッキズムの観点から言えば、女性タレントがマダムの格好を強要されようがブタの衣装を強要しようが「タレントの職責に起因」させることが出来ます。むしろファッションの多様性を推しといてそれを人にやらせるのは違う?今回の件では批判している人の「偏見」が見え隠れします。
まあなにはともあれ興味深いお話でした。これからの社会で正解が見つけていけるといいですね。
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