たずね犬です。Ⅱ

カンタが居なくなって二晩目に入ろうとしています。
朝、五時ごろから捜索を始めて、弟子屈町内から川湯町内、そして池の湯林道から屈斜路湖方面まで探し、出掛けるついでを多く作ってはあっちをウロウロ、こっちをウロウロ。
ポスターを作り数店に張り出していただき、またウロウロ。
そんな一日でした。
暇があれば、ポスターを印刷しまくり万代商店さんにお願いして明後日の新聞の折込に入れてもらうようにお願いしておきました。
彼が我々夫婦のもとに来てから十年がたちます。
貧相でボロボロの野良犬でしたが、我慢強く人にも犬にも優しい子です。
当時、キャラクターの濃い犬ばかりでしたので、案外目立たない存在ではありましたが、今ではハスキーのカイも少々くたびれてきているので事実上我が家のボス犬の座に居ます。
それが居なくなってしまうと、犬達の様子も少し変わってきていますね。
淋しそうというか、気が抜けてしまっているというか。
飼い主も、必死で探していますが、淋しいを通り越して、なんだか虚脱感にとらわれてきています。
脱走の主役はアイリッシュのユパですが、彼の行動範囲はせいぜい数キロの範囲内です。
でも、カンタは雷に対する恐怖心から走り始めますから、どこへ行ってしまったのやら想像すら出来ません。



普段はのんびり、でも我が家の一番頼りになる番犬でもあります。
どこに居るのやら、心配です。
もうすでに三食、食べていませんからお腹も空いているはずです。
カンタにべったりと寄り添っていた仲良しのジジも淋しそうですね。
何しろいつもカンタにいじめられていたユパもなんだか淋しそうです。
折込チラシやポスターが、誰かの目に留まりますように。
願うばかりです。