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ウェネトさまの館

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小村雪岱スタイル(三井記念美術館)

2021年02月14日 20時30分00秒 | 展覧会・美術関連

数日前の話になりまするが、三井記念美術館「小村雪岱スタイル -江戸の粋から東京のモダンへ」を観たのでございます。
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
(2点のみ写真撮影可)


 

ここ展示前室に展示の2点は写真撮影可なので、後ほど載せまする。


 

小村雪岱は好きなのじゃ。
先月観た、日比谷図書文化館「複製芸術家 小村雪岱」(3月23日まで)は、装幀、挿絵の仕事に焦点を当てたものじゃった。
(ちなみにその時のブログはこちら↓)
https://blog.goo.ne.jp/unut/e/61f03333d528b9791b74c12428b34377

本展では、肉筆画や版画、装幀や挿絵、舞台装置画など、雪岱の作品を総合的に紹介。
鈴木春信の浮世絵や、江戸から現代までの工芸も展示され、「江戸の粋」から「東京モダン」へと至る系譜が観られるのでございます。

構成は以下の通り。前・後期で展示替えあり、今は前期じゃ。
お気に入りや気になった作品もリスト順に。

【小村雪岱 肉筆画・木版画】
肉筆画16点(うち前期は14点)を観られるのは、やはり嬉しゅうござります。
木版画は、雪岱没後に制作されたものがほとんどなのじゃ。

《盃を持つ女》絹本着色
赤い盃を持って画面左から半身を覗かせる女性の構図や、黒の背景に赤い着物と緑の帯など配色も素敵。

《こぼれ松葉 》絹本墨画
落ちてくる松葉を見上げる女性。たっぷり余白が効果的よのぅ。表装かわいい。

《おせん 雨》木版 昭和16年(1941)頃
『おせん』と聞いて真っ先に思い浮かぶ作品。

《A Beauty》木版多色刷 昭和10年(1935)
もみじ柄の着物で、手にもみじを乗せる女性。左側に縦に細く区切られた夜空に三日月の一部。

《雪兎》木版多色刷 昭和17年(1942)
展示室で最初にお出迎え。番傘をさし、雪兎を手にしゃがむ女性が可愛い。

《青柳》木版多色刷 昭和16年(1941)頃
繊細な線も、上から見下ろす構図も素敵。

《写生 ヤマユリ》紙本着色
工芸作家によるコラボ作品と共に、「如庵」再現展示室に展示。

【小村雪岱 装幀本】
雪岱の装幀本、特に美麗な鏡花本は大好きなのじゃ。

《泉 鏡花 『日本橋』装幀:小村雪岱》冊子 大正3年(1914)千章館
(写真撮影可)
表見返しは春と夏、裏見返しは秋と冬の日本橋。


 

《泉 鏡花『愛染集』装幀:小村雪岱》冊子 大正5年(1916)千章館
函と表見返しの雪の街並みの風景が素敵。

《泉 鏡花『新柳集』装幀:小村雪岱》冊子 大正11年(1922)春陽堂
函にも表紙にも鳥。

《泉 鏡花『龍蜂集』装幀:小村雪岱》冊子 大正12年(1923)春陽堂
グリーンの地に鳥と草花の表紙がたいそう可愛い。見返しには野を歩く女性。

《泉 鏡花『斧琴菊』装幀:小村雪岱》冊子 昭和9年(1934)昭和書房
爽やかグリーンのすっきり函、取り出すと鮮やか表紙という、ツンデレ装幀。

《邦枝完二『繪入草紙 おせん』装幀:小村雪岱》冊子 昭和9年(1934)新小説社
本のような衝立の向こうに、お着替え中のおせんの肩から上が、表表紙と裏表紙に。

【小村雪岱 挿絵原画】
雪岱の、連載小説の挿絵の仕事。

[矢田挿雲『忠臣蔵』挿絵:小村雪岱 昭和10年(1935)10月12日~昭和15年(1940)6月5日「報知新聞」連載]
《第73回 素行と赤穂(73)》昭和11年(1936)1月15日掲載 紙本墨画
黒い星空と白い壁の対比と余白。
《第679回 出府前後(29)》昭和13年(1938)2月27日掲載 紙本墨画
黒く塗りつぶされた背景に、足を踏ん張って吠えるワンコ。

【小村雪岱 舞台装置原画】
雪岱は、大正13年から舞台美術の仕事も始め、53歳で亡くなるまでに、200あまりもの芝居を手がけたそうな。
雪岱が描いた1/50ほどの「道具帳」と呼ばれる原画を元に、大道具、小道具担当が装置を作ったのじゃ。
いずれも緻密に描かれており、特に下記の3点が印象に残ったのじゃった。

《劇名、上映時期、上映場所不明 舞台装置原画:小村雪岱》紙本着色
《永井荷風 『すみだ川』舞台装置原画:小村雪岱》紙本着色 昭和3年(1928)上演 本郷座 
[中里介山 『大菩薩峠』 舞台装置原画:小村雪岱 昭和5年(1930)9月上演 歌舞伎座]
《坪内逍遥 『桐一葉』舞台装置原画:小村雪岱》昭和10年(1935)11月上演 歌舞伎座

[鏑木清方]
鏑木清方も3点ございます。
《泉 鏡花 『田毎かゞみ』装幀、口絵:鏑木清方》冊子 明治36年(1903)春陽堂
清方による装幀本。表紙に月の中のウサギ、口絵に眠る女性。

[鈴木春信]
雪岱は「昭和の春信」とも呼ばれておったが、その鈴木春信の錦絵じゃ。
1点を除き、前・後期で展示替えになりまする。

【工芸】
雪岱の美意識を培う土壌となった、江戸~明治期の工芸作品と、現代作家の作品の展示で、たいそうツボな章。
明治の超絶技巧な工芸など大好きじゃからのぅ。

柴田是真《蓮に鷺蒔絵残菜入》江戸~明治時代・19世紀
褐色の漆に、金・銀の蒔絵で白鷺、素彫で蓮の葉と実。

並河靖之《藤に蝶図花瓶》明治時代・19~20世紀
並河靖之は大好きなのじゃ。超緻密で美しい有線七宝。

濤川惣助《桜花図花瓶》明治時代・19~20世紀
こちらは無線七宝で、霞むような美しさ。

安藤緑山《苺牙彫帯留》大正~昭和時代・20世紀
本物のイチゴをくっつけたとしか思えませぬ。

上野玉水《群雀木彫置物》明治~昭和時代・20世紀
最初の展示室に展示されておるのじゃが、これを観ただけで満足したほどお気に入り。
生きておるとしか思えぬ9羽の雀が可愛く、特に団子状になって戯れる5羽の雀がツボ過ぎる。

《柳鷺図刺繍屏風 》明治~大正時代・20世紀
黒の絹地に白の刺繍で、雪の積もる柳の木と水辺に8羽の鷺がとても美しい。

銘「貞義」《蓮に蟹文煙管》江戸~明治時代・19世紀
煙管に蓮が巻き付き、極小な蟹もおる。

銘「寛民」《鬼灯文帯留》明治~昭和時代・20世紀
ホオズキが2つ並んだ帯留。袋に入ったホオズキすごい。

松本 涼《枯山百合》楠 2019年
雪岱《写生 ヤマユリ》とコラボした作品で、共に「如庵」再現展示室に展示。
百合の雄しべと雌しべ以外は、全て一本造。

彫刻:小黒アリサ/漆芸:彦十蒔絵《見立漆器 鋏」》檜、天然漆、和光銀、乾漆粉 2019年
こちらも《写生 ヤマユリ》のコラボ作品で、共に「如庵」再現展示室に展示。
どこから見ても、鉄製の鋏にしか見えぬ。

彦十蒔絵《見立漆器「苫舟日本橋蒔絵」》朴の木、天然漆、金、螺鈿 2019年
(写真撮影可)
先ほど写真を載せた雪岱の鏡花本 『日本橋』へのオマージュとして制作され、表紙絵に登場する荷船に蝶や波濤を散りばめた漆器。蓋を開けると立雛の蒔絵。


 

臼井良平 《目薬と手鏡》ガラス 2019年
雪岱《青柳》の見立て作品。小さな畳の上に、ガラスとは思えぬ目薬と手鏡。

充実した内容で、たいそう観応えござりました。
会期は4月18日まで(前期3月14日まで。後期3月16日から)。日時指定予約制。
ご興味ある方はぜひ。
3月23日までの日比谷図書文化館とハシゴもお勧めでございます。

★お迎え話:其の壱
榮真菜(榮睦人)の、余寒お見舞いの素敵なドローイングを頂いたのじゃ♪
ありがとうござりまする~!


 

★お迎え話:其の壱
メルカリで購入した萩原亜美の木炭画が届き、以前のお迎えブログに追記いたしました。
楽譜に描かれたカッコいいカラスなのじゃ♪↓
https://blog.goo.ne.jp/unut/e/9a6a9cd56f94cc858811bda6d24074cc

★おまけ画像:其の壱
クルミッ子10個入り缶購入♪ まるっとした四隅と大きなリスのマークの缶が可愛い!
クルミッ子、わたくしには甘さが足りぬが大好きで、一気にお腹の中じゃ。おほほ。


 

★おまけ画像:其の弐
お供のEの母上が、ロッテガムの結弦くんミニクリアファイル4種を集めておいてくれたぞよ。感謝!