先週観たきり書きそびれておる展覧会でございます。
三菱一号館美術館「ルドン―秘密の花園」
http://mimt.jp/redon/
ルドンは大好きなのじゃ。
「ルドンの黒」もよいのじゃが、油彩やパステル画が好きなのでございます。
「秘密の花園」のお題通り、植物に焦点を当てたルドン作品約90点。
構成は以下の8章。お気に入りや気になった作品もリスト順に。
(作者名を書いてないのはルドン作品)
【1 コローの教え、ブレスダンの指導】
ルドンはコローに助言を受けたり、ブレスダンにエッチングの指導を受けたりしましたのじゃ。
★《ペイルルバードの小道》
初期の作品(制作年不詳)ですが、空の綺麗な青がルドンよのぅ。
★ロドルフ・ブレスダン《善きサマリア人》
師匠ブレスダンのリトグラフで、溢れかえる植物や雲のみっしり緻密さ加減がツボ。
【2 人間と樹木】
ルドンの夢想世界に欠かせない樹木。
ルドンは、自らの版画作品を「わたしの黒」と呼んでいたのでございます。
『夢のなかで』は、ファンタン=ラトゥールに転写法リトグラフの技法を教わって完成させた最初の版画集。
★《『夜』Ⅴ.巫女たちは待っていた》
リトグラフ集『夜』の中の1点。根っこが生えた柱と巫女3人。
【3 植物学者 アルマン・クラヴォー】
ルドンは、10代の頃に出会った植物学者クラヴォーに影響を受け、異文化や異形への関心を抱くようになったそうな。
★《『夢想(わが友アルマン・クラヴォー の思い出に)』VI.日の光》
『夢想(わが友アルマン・クラヴォー の思い出に)』は、自殺したクラヴォーへ捧げられたリトグラフ集。
《VI.日の光》は、暗い室内の窓から、明るい外の生き生きした木が見えておりまする。
★《若き日の仏陀》
幻想的な青空に、オレンジ色の服を纏って目を閉じた穏やかな横顔のブッダの油彩。
1921~23年にパリに滞在した土田麦僊が、ルドンの遺族から1万フランで購入し日本に持ち帰ったのだとか。
【4 ドムシー男爵の食堂装飾】
★《ドムシー男爵夫人の肖像》
水色の空に淡い虹色がかった白い雲が柔らかな背景と、紫がかった黒のジャケットと赤いブラウスを纏った理知的な(冷たそうにも見える)婦人の対比もツボ。
★《神秘的な対話》
柱の下に立つ洗礼者ヨハネの母エリサベツと聖母マリア。
空には薔薇色の雲、足元に咲き乱れる花々。
そして本展の目玉、ドムシー男爵の城館の食堂装飾画でございます。
ドムシー男爵から食堂装飾画を依頼されたルドンは、36㎡にも及ぶ壁面を18分割したと手紙に記しておりますが、現在確認されておるのは16点。
その16点、オルセー美術館所蔵からやって来た15点と、三菱一号館美術館所蔵で何度も観ておる《グラン・ブーケ》が、今回一堂に会しましたのじゃ。やれ嬉しや。
が、何という事でありましょう。
せっかく全部揃った作品、食堂をそっくりそのまま再現した展示を期待しておったのに、3階と2階に分けて展示してあるではありませぬか。
10点は3階に、5点は2階に、そして《グラン・ブーケ》はいつも展示されておる場所に。
この奥の小部屋はフォトスポットで、
床に食堂装飾画の配置図があり、
壁に作品の縮小写真を配置図通りに並べて再現。
これじゃ!これを実際の作品でやって欲しかったのじゃ~!(涙)
オルセー美術館からやって来た15点は、カンヴァスに木炭、油彩、デトランプで描かれており、どれも暖色系の穏やかな色彩で、ルドン独特の青は殆ど使われておりませぬ。
お気に入りは、
★《人物(黄色い花)》
243.5×58.0cmのひょろ長いサイズは、対になる《人物》とほぼ同じで、暖炉の両脇のスペースに飾る為。
空に太陽の如き黄色い花、佇む赤い人物と竪琴。
フォトスポットの写真で色がはっきりしませぬが、こんな感じ。
★《グラン・ブーケ(大きな花束)》
食堂装飾画の中でこの作品のみパステルで描かれており、鮮やかなブルーの花瓶も華やかな花々も、他の15点とは異なっておるぞよ。
お供のEは、2012年に最初に観た時に衝撃を受け、その後何度も観ておりまする。
16点の中でもやはりこれが一番お気に入りで、わたくしがドムシー男爵なら「全部《グラン・ブーケ》のような感じで描いてたもれ~」と依頼するやも知れぬ。
こちらもフォトスポットのはっきりしないお写真。
展覧会とは関係ありませぬが、この部屋の屋根裏の構造と煉瓦壁は、旧三菱一号館(明治27年)を忠実に復元しておるのじゃ。
【5 「黒」に棲まう動植物】
リトグラフ集『夢のなかで』や『起源』など、ルドンの黒が並んでおりまする。
【6 蝶の夢、草花の無意識、水の眠り】
★《蝶と花》
同じ題の2点の水彩画のうち大きいほうの作品。
花のような4頭の蝶と、蝶のような1輪の白い花。
★《オルフェウスの死》
夢のような色彩の幻想的な油彩。
この章には鉛筆による植物のスケッチもあり、興味深うございました。
【7 再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな】
花瓶に生けられた花の作品8点が1つの空間に展示され、うっとり浸ったのでございます。
★《日本風の花瓶》
ピンク色の背景に、華やかな花々と蝶が美しい。
鬼が描かれた花瓶は、能の「紅葉狩り」の一場面との説もあるそうな。
【8 装飾プロジェクト】
ルドンのタピスリー用下絵(油彩)と、それをもとにしたゴブラン織りの椅子や衝立などございますが、ゴブラン織りになってしまうと、ルドンの魅力はあまり感じられませぬのぅ(失礼)
★《オリヴィエ・サンセールの屏風》
ルドンがテンペラや油彩等で描いた屏風。
会期は5月20日まで。
わたくしは平日の朝イチでまいりましたが、たいそう空いておったぞよ。
お勧めゆえ、ご興味ある方は混み出さぬうちお早目にの。
この後は3月8日の日記にも書いた通り、銀座でギャラリー巡りをしておるうち右耳が取れてしもうたのじゃ。
てな訳で、久々に神宮字光邸に里帰りして手術を受けてまいります。
さらばじゃ~!
元気な姿で戻って来るまで、皆様も達者での。