お好み夜話-Ver2

苦渋の選択

1997年5月にモグランポがオープンした時には、メニューの中にはいっさい焼酎が無かった。

それは意識的にそうしたのだが、最初はそれで良かった。

下町のおじさん方はメニューも見ずに、「チューハイ」「ウーロンハイ」とさもあるのが当然のようにオーダーしたものだが、ビールとカクテルとワインとウイスキーしか無いことを伝えると「フン」と小馬鹿にしたように渋々ビールをたのんだものだ。

そして、二度と再び来店することは無かった・・・。

お客さんには申し訳ないのだが、いつでもどこでも「チューハイ」「ウーロンハイ」の方は、飲みの話しはたいてい面白味にかけ盛り上がらない。

それにタチの悪い酔いかたをして、始末に悪い。

そういう親父が2、30年前はウヨウヨ千住辺りには生息していた。

これはオヤジの経験上のことで、いつでもどこでも「チューハイ」「ウーロンハイ」飲みがこうだとはいわないが・・・。
(とりあえず自分のことは棚に上げる・・・・)


当時はカクテルとワインが、それこそ飛ぶように売れた。

とてもありがたいことではあったのだが、ドリンクのオーダーが集中すると焼き物をつくることが出来ず、お待たせすることになってしまった。

基本的に、酒を飲まない者には酒をつくらせない主義なので、かあちゃんやバイトには一切手を出させなかった。

当時は明石焼もやっていたから、注文が集中するともうてんてこ舞いで息つく暇も無いくらい。

カンパリオレンジとかカルーアミルク、ジンライムなどの簡単なカクテルしかつくりはしなかったが、細身のグラスで口当たりがいいものだから、すぐにカッと飲んでしまってお代わりおかわりの連続。

まったく鉄板の作業に取りかかれなくて、必然的にドリンクメニューの見直しを迫られたのだった。


カクテルの数を減らし、まあ要望の多い「チューハイ」「ウーロンハイ」と麦焼酎「神の河」を加え、「モグサワー」を作った。

そうこうしているうちにワインブームはあっさりと消え、カクテルのオーダーも減った。

そしてその後にきたのが戦後2度目の焼酎ブーム

根が好きなものだから趣味と実益をかねて、揃えた集めた本格焼酎&泡盛は数知れず。

ところが、ふざけんなっ !! というぐらいバカ高いプレミアム焼酎がもてはやされ、にわか焼酎飲みは訳知り顔で高いプレミアム焼酎を飲んで蘊蓄を語り、普段飲みのレギュラー焼酎を蔑視した。

しかし悪いけれど、その辺の飲み屋より焼酎の数は多いし消費量も多かったから、調子にのってオリジナルラベルの芋焼酎も作っちゃった。

カウンターには吞ん兵衛が陣取り、一升瓶が並び、「東京蟒蛇倶楽部」などと調子こいたものだ。


嗚呼、あれから幾星霜・・・・・・・・・・・・。

「ハイボールの水割りください」「日本酒と焼酎ってなにがちがうの ? 」「ビールは苦いから飲まない」「えっ ?!ハイボールってウイスキーはいってるの ? 」「酒飲むと酔うからいやなんだよなぁ。とりあえずバナナジュースで」e.t.c・・・

教える先輩も大人もいないんだろう、教わりたいとも思わないんだろうなぁ、そもそも酒なんて飲まなくてもいいんだろうなぁ。

苦渋の選択をしなければならない。

本格焼酎&泡盛の数を大幅に減らす。

ほぼ出来ていたドリンクメニューを、さらに見直す。

常連さんですらもはやかつてのようには飲めないし、飲むものはほぼ決まっているのだから。

残念だが世間の流れには逆らえない、飲み屋ですら品数が少ないのだから。

だが減らしはするが、おすすめメニューとしてオヤジセレクトの焼酎は定期的に変えて置くことにするので、めざとく見つけてほしい。

酒飲みにはつらい世相だなぁ。

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コメント一覧

mogmas
東八郎さん、いやさ8マン、わたしは日焼け止めなどという腐女子の使うようなものは塗りたくらないのだ。
しかも先日、チェリッシュの「白いギター」を聴いた知ったかぶりが、ピンクレディーだとほざいてので殴りたくなったぜ。
丸くなるのは難しいと感じる今日この頃・・・。
東八郎
実に面白い! でも君は 顔に日焼け止めクリームを塗るかレインコートでUFOのポーズを決めて欲しい 婦女子にモテるぞ
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