プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< おらが春 小林一茶 >

2025年03月18日 | ドラマ。
先日亡くなった西田敏行追悼のためのドラマの再放送。
2002年だからもう20年以上前。西田敏行が一番脂がのっていた頃かな。
まあ西田敏行は相当に長く脂がのり続けた人だから……ピークが長い。

まあさすがに20年以上たったドラマは多少現代とは感じが違いますわね。
このドラマはあまり濃くない内容をサクサクと進めていたイメージ。
それはそれで潔くて良かった気がする。それが最上だとは思わないけど。

小林一茶のことはよく知らない。
このドラマは田辺聖子の「ひねくれ一茶」をベースにしているらしい。
わたしも田辺聖子の古典エッセイで読んだ範囲での一茶しか知らないかもしれないなー。

一茶は憎さげな人だったんだろうと思いますね。実生活では付き合いにくいタイプ。
今回のドラマでは西田敏行の雰囲気がちょうど中和して、狷介さと若干の可愛げが
上手に同居していたけど、実際は気が合う人としか付き合えなかった人じゃないかと。

それなのに句は可愛いですよね。
わたしは有名な句しか知らないが、この小さきものたちへの温かい視線は
やはり他人にはない、独自の個性だと思う。
あれですよね。鳥獣戯画に通ずるような感性を感じる。

今回のドラマでは、知ってる句以外のものも豊富に出て来て良かった。
そして句を書いたフォントというか、文字も温かみがあって稚気があって良かった。

イメージより生活には苦労してなかったのかな。
家と土地を継母と異母弟と争ったエピソードはあったが、そんなに大きな家と土地である
ようには思ってなかった。暮らすのにかつかつくらいの自作農かと。
俳句の宗匠が本業だとしても、当時の信濃で人を雇って耕させるくらいなら
けっこう余裕がありますよね?

家族と喧嘩して、晩婚で、子供と最初の奥さんをみんな亡くして、
その後も若い後妻をもらい……というアウトラインだけを見ると、
わりと殺伐とした人生を想像するのだが。
でもドラマでは最初の奥さんとも二番目の奥さんとも仲睦まじく……
こういう風に描いてくれると平和でありがたい。

が、「何人おらの子供を殺せば気がすむんだ!」……は、これを言ったらもう終わりだと思う。


20数年前のドラマ。
石田ゆり子も寺島しのぶも若くて可愛かったねー。洞口依子も地味だがいい役だったね。
継母は三林京子という人。正直見覚えはないのだが、上手でしたね。
かたせ梨乃もあっさり退場しちゃったけど、こういう役でよく出てましたね。
杉浦直樹なる人は、名前は憶えてなかったけどいろんな作品で見ていた気がするよ。

あとは自然描写が美しくて良かった。
信濃の山。菜の花畑。空の青。蛙の緑。
折にふれてたっぷり自然描写を入れてくれて目に優しい。
願わくはこれが実際の信濃の山々であらんことを。

旅の途中で立ち寄った滝は、北斎の絵にある阿弥陀が滝だったりしますかね?
あの丸い滝口がそれっぽいと思ったのだが。
信濃と江戸の往還には通らない位置関係であるようだけれども。



近頃、昔のドラマ見てしみじみとするなあ。
以前にはなかった感覚な気がする。歳ですねえ……。


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◇ ドナルド・キーン「渡辺崋山」

2025年03月15日 | ◇読んだ本の感想。
渡辺崋山についてほとんど知らないので関連図書を何冊か読んでいるのだが、
外国人が書いたものだと思うと、少々腰が引けますね。
自分の知識がないから内容の正誤の判断が出来ないんだもの。
恐る恐る読んだ。

まず最初に、気になったことを。

読み直しをして正確な言い回しを探すことは面倒なのでしないけれども、
(だから精度的にはあやしいけれども)
「歌舞伎はキリスト教の寸劇から来ている」と書いてあるのは正直引いた。
誰だったかの(外国人の)論文でそういうのがあったらしい。

いや、そんなことを言われても。
歌舞伎といえば出雲のお肉……もとい、阿国というのは受験知識的に条件反射だし、
(ところで、この漢字でなぜ「おくに」と読むかね?)
どう考えても猿楽及び能の下地があった上での歌舞伎だろう。

こういう不用意なことはあまり言わない方がいいと思った。
自分の影響力を認識して欲しい。
まあわたしも該当の論文などを全く読まないで否定しているのは不誠実だが、
日本人としては頭から否定したくなる条項である。

わたしは以前より、踊りから演劇になる流れには若干疑問を感じていて。
それはたしかに現在でも歌舞伎の演目として踊りは主要な一つだが、
劇としての流れは能からの影響の方が強い気がしている。
「俊寛」とか、共通する演目もいくつかあるわけだし。
意外に能との関りはあまり言及されないよね。


もう一つ、日本人は中国の歴史は絵画にするが、日本の歴史は全く描く価値がないと
思っていた、とあったこと。
これはまあ言い回しというか、とらえ方の若干の齟齬の範囲だと思うが、
わたしとしては描く価値がないのではなく、絵画は風流なもの、美しいものを
描くものであって、日本の歴史は風流の範囲にはなかったと思われていたのだと思う。

それに対して中国の故事は故事成語など、より文学的なイメージと結びついて
風流の範囲だったのではないかと。
まあ歴史画としては応天門の変を描いた伴大納言絵詞とか、平治物語絵巻とか、
後三年合戦絵詞なんかもあるわけだしね。

なんかもう一つ小さめのものがひっかかった気はするが忘れてしまった。
以上、二点が気になったところ。
ちなみに読み直して確認はしていないので、わたしが間違って読んでいる可能性はある。



それ以外のところはおおむね納得しながら読んでいた。
この本は約300ページのまあまあみっちりした内容で、渡辺崋山の評伝としては
かなり主要なものの一つだと思う。
ドナルド・キーンは、晩年には崋山の地元である田原市博物館の名誉館長に就任している。

特筆すべきは、彼の政治的な人生とともに、芸術家の部分にも多くを割いているところですね。
歴史学者は主に政治的な面を見る。美術研究家は画家としての渡辺崋山を書く。
ドナルド・キーンはどちらも詳しく書いている。それはアドバンテージだと思いますね。
まあわたしは渡辺崋山の絵がすごく好きというわけではないが。
きれいな絵が好きだから。

あと、前藩主の異母弟で、経済的な(理不尽な)事情から藩主になれずに隠居させられた
三宅友信との関係もこの本で知れて良かった。
この人はこの人で失意の人だが、崋山が励まし、蘭学という愉しみへと導き、
その後息子が藩主の地位についたことによって、まあ不遇の一端は報われた形になっている。
これがあっただけでも、崋山は主を救ったと言えるのではないか。
のちに友信は崋山の略伝を書く。それを読んで後世の我々が崋山を知る。
細く細く続いていくもの。

全て貧乏が悪い。……というのは簡単だが、まずはそれしか言えないよねえ。
田原藩は貧乏だった。何しろ土地も狭ければ交通の要衝というわけでもなく、
海には恵まれた土地柄だっただろうけど、加工技術や冷蔵技術がない時代は、
せっかくの海の幸も運べないし、保存が出来ないから恒常的な資源にはならなかっただろう。


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89ers、3月12日の試合。

2025年03月12日 | 仙台89ers。
また負けた。――以上。


勝てなくはないと見えるのだが。前半は相手もけっこうミスしてくれてたし。
だが最後の5分でボロボロボロと崩れましたね。一体なんなんでしょうか。
何かの呪いでしょうか!

今日は正直、審判にも納得できませんでしたよ。
相手も不満はあっただろうけど、こっちは4Qの残り5分前後に3連続くらいで変なジャッジがありました。
このタイミングで3つも続いたら……それは大きいでしょう。

とはいえ、それが主原因ではないですからね。
負け癖がついてしまった。もう最後まで集中力が持たない。……見てるわたしが。

ああ、もう一度くらい勝ったところを見たいよ!!!!
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< べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 6話くらいまで >

2025年03月09日 | ドラマ。
ま、話が地味。大河っぽくない。
――とはいえ、今まで知らなかったことを知れるのは面白い。
大河と思いすぎなければ、こういうやり方はありだなあ。
何度もこすられまくった戦国時代よりもずっと興味深く見ている。

6話くらいまで見たかな。この時点でそんなに話が動いていない。
通常、大河の最初の数話では子供が大人になったりして大きく動きますからね。
今回の主役、蔦重は最初から大人。というか、若者。演じ手は横浜流星。
比較的狂言回し的な役割の主役なので、話自体も地味めだし、主役としても地味。

だが当時の出版業界についてって初めてくらいに見るドラマだし、吉原は映画やドラマに
それなりに取り上げられているけど、裏側を描いたものは比較的少ないし、
なるほどなるほど、と思いながら見ている。

ただ吉原の顔役たちが頻繁に集まっているわりには
何にもしてないのがちょっとつまらない。蔦重だけが孤軍奮闘している。
大人たちは大人たちで何かはしているように見せた方が面白かっただろう。

納得できない部分は、高橋克実が、もっと花も実もあるおとっつぁんが出来るはずなのに、
なんでこんなにきつく当たる?ってキャラになっていることだなあ。
血は繋がっていないとはいえ、実は蔦重に期待している……らしいのだが、
あの高橋克実の演技では、憎しみにしか感じない。厳しいけれども、実は温かみのある父、
なんて大得意の役だろうに。

あとこれはわたしの好みの部分だが、数ある花魁役の中で、一番中心になる花ノ井が
小芝風花では物足りない……。
わたしは「美食探偵」で彼女を見て。これはそもそも台本がつまらないドラマだった。
なので彼女だけの責任ではないのだが、正直今三つくらいの満足度。
今回の役柄も、太夫を張るような花魁の迫力には欠ける。

可愛い役柄なら良かったと思うのよ。たとえば同じように蔦屋に拾われた、
茶屋の女中の一人などという役柄ならば。
花魁のあでやかさはないもんねえ……。この人だけはずっと納得できずに見ている。

あ、納得できないといえば、もう一人いた。
田沼意次を渡辺謙にしなくても良かったんじゃないかと。
近年、田沼の見直しが進んでいて、彼を善役に描くのは大いにありだが、
そこはもうちょっと洒脱な味を出しても良かったんじゃないか。
現行の渡辺謙では重厚な切れ者でしかない。田沼は切れ者一方で出世したわけじゃなく、
人間関係を上手く泳いで、というイメージがあるんだよなあ。

渡辺謙もそういう演技指導が入れば、軽さを入れることは可能だったと思うが、
演出は重厚一方の田沼で良かったのかね?


横浜流星は「あなたの番です」だな。当時は単にイケメン枠な感じ。
先日NHKのトーク番組を録画してたものを見たが、
6年経ってずいぶんスカした感じになりましたね。まあそんなに悪い意味ではなくて。
今の方が素に近いという可能性は大いにある。

狂言回し的な主役は難しいもんだと思う。そんなにメリハリないから。
でも出すぎず、ひっこみすぎず、嫌味なくやってるなーって感じ。
中盤、終盤ともっと蔦重の話になっていくんだろうし、けっこう良さそうな気がします。
中年くらいの蔦重の話が一番密度高いだろうから。期待している。

特に脚本の失速などがない限り、最後まで見続ける予定ですー。
でももうちょっと派手なところも欲しいかな?蔦重の周知のエピソードは、
多分放映でいえば9月10月というあたりだろうから、そこまでどう繋ぐのかですよね。
まあけっこう先は長い。



――その後7話を見て、「おっさんたちの蔦重虐めっていつまで続くの?」とちょっとげんなり。
ここらへん話動いてませんよねえ。本屋仲間はわかるが、
吉原の大人たちはもうとっくに蔦重の味方になっていてもいいころだが。
この構図にはそろそろ飽きたよ。
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◇ 駒田利治「伊勢神宮に仕える皇女 斎宮跡」(シリーズ遺跡を学ぶ)

2025年03月06日 | ◇読んだ本の感想。
これよ、これ。こういう本を求めていたの。
ほとんど知識がない「斎宮」についての基礎的なことを教えてくれる本が。
この本はまさにわたしのニーズにぴったり。

「とんぼの本」的なサイズ感、構成の本。この類はたくさんありますよね。
とんぼの本はかなり趣味寄りの構成で、見て楽しいものが基本コンセプトだけど、
このシリーズは「遺跡を学ぶ」だから、とんぼの本よりは若干絵面が地味。
でも写真だけじゃなく、表でわかりやすく見せてくれる部分も優れてるから、楽しく読んだ。

わたしが一番知りたかったことは、「どういう立場の皇族が斎宮に立ったのか」
だったのよね。
それを非常にわかりやすく一覧表にしてくれていたのでテンションが上がった。

673年の大伯皇女任命から1333年任命の祥子皇女まで、
実在が確認できない3人を含めて67人。
天皇との続柄は、不明の6人以外、娘20人・異母姉妹20人・同母姉妹2人・
おば4人・いとこ3人・姪3人・遠縁8人。数えミスあるかもしれないが。

こうしてみると同母姉妹の少なさが目立つな。
基本的に天皇の代替わりで任命されるから、若い天皇の場合、同母妹は幼すぎる傾向は
あっただろうし、単純に同母姉妹と異母姉妹の人数は異母>同母であるのはあるだろう。
それにしても10:1はわりと意外……
娘が20人で異母姉妹と同数なのにねえ。
同母姉妹は賀茂斎院に任命されがちとか、そういうこともあったのだろうか。

もう一つ知りたかったのは、斎宮が送る日常の生活の部分だが、
これは「遺跡」から知り得る部分は限られるだろうね。
発掘品として硯や土器はそれなりの数が出て来ているようだけれど、
そこから再現できることは少ない。
これは文書の方からだろうけど、斎宮関係の公的史料はあっただろうが、
何ということもない斎宮の日常を書き残した史料の存在は期待出来ないだろう。

斎宮寮の頭は従五位相当らしいね。地方官と同じレベルですか。
もう少し上の者が務めるイメージだった。
時期によって増減はあるけれど、斎宮寮に勤める人数は500人前後。
命婦から女儒まで50人前後。思ったよりも多い。
これも得られて良い情報。

遺跡発掘の建物詳細などはうっすら退屈だったけれども、復元模型なんかも
写真で見られたのでありがたい。まあこの本の本筋はこれですよね。


この本がとても良かったので、シリーズ「遺跡を学ぶ」を1からずっとツブしていこうかと
ちょっと思ったが、続巻中(であろう)なのにすでに60冊あるんですよね……
薄いとはいえ60冊増えるのはどうかと。
まあ、課題図書リストは優に1000冊は超えてるんだから、60冊増えたところで
どうでも良いというか、1000冊あるんだから60冊も増えたら大変だというか、
どっちの考え方を採用するか。悩み中。

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< 十角館の殺人 >

2025年03月03日 | ドラマ。
絵柄の古さから昔撮ったドラマの再放送かと思ったが、そうではなく
単に1986年が舞台というだけだった。
執筆時の時代設定にした方が納得感は増すのかね?
まあ現代を舞台にすると、スマホは絶対に登場させる必要はあって、
ストーリーにだいぶ影響するだろうが。

――しかし冒頭のシーンはかなりツラかった。
演技力がなあ……。役柄が大学生だから若い役者が出て来るのは仕方ないけど、
ああいうところから物語がスタートしてしまうのはかなりマイナス。

演技ってさ。距離が遠ければ遠くなるだけ力んで無理が見えてくるのよね。
1メートルの距離での会話はそれらしく演技出来てもそれが3メートルになると、
途端にハードルが上がる。
室内と屋外でも違う。屋外での演技って白々しくなりがち。
人工物に囲まれてないからでしょう。

それを、冒頭ボートに乗って波の音に声をかき消されながら演技しろというのは……
演出も脚本も考えなかったのだろうか。上手い役者だって厳しい状況だと思いますよ。
しかもそもそもの話からして、あだ名が「オルツィ」だの「エラリー」だの、
けれんみたっぷりの設定なんですから。
慣れてなさ過ぎて。絶対こんな呼び方しとらんやろ。
「自然な演技」を学んでいる最中な若者たちには難しい。



ネタバレあります。













これ、4話の最後で犯人が判明するが、全5話のドラマにおいてそのタイミングで良かったか。
と、疑問に思ったが――まあ仕方ないのか。

これは原作の責任でもあるしなー。原作の瑕疵は原作の瑕疵としてドラマを責めるのは
止めよう。あ、ちなみにわたしが原作を読んだのは数十年前で、内容については
欠片も覚えておりません。

最後の5話は犯人のナレーションで終始する。これもどうかと思ったんだが、
無理めの動機を心情描写で何とか乗り越えなければならないんだから、
この形式しか無理だったかもね。

この作品は綾辻行人のデビュー作だそうだ。
そうするとねー。この人はねー。新本格のかなり初期の人だから、
リアリティよりも推理のパズル性を重視するのよね。
わたしはそれは好きなんだけど、ドラマにするのはねー。難しいよねー。

ドラマだとね。小説だと使えた目くらましがあまり効果的に使えないという弱みがある。
早い話、ストーリー上でいうと十角館にみんなを招いたのはあの人なんだし、
極力目立たせないようにしていることもあるし、
メタ的に言えば、一人だけ役者の力量がありそうなキャスティングだったこと、
機動力をさりげなく映すこと、――で、犯人はあの人かあの人しかあり得なくなるのよね。

説明された殺人の事実も――いろいろ無理があると言わざるを得ない。



青木崇高と角田晃広がいるシーンは快適。とはいえ、青木の方は
そんなに美味しい役柄じゃなかったわね。
探偵役じゃないよねえ?そして、若い方の子も主人公じゃないよねえ?
二人のうち一人で良かったのに。
でも若者にすると演技的に心もとないし、青木にするともう一人との連絡が出来なくなる。
うーむ。

最終盤、あんなに古めかしい画面作りにしたのは吉と出てるのか凶なのか。
ちょっとこだわりすぎだと感じた。映すものは事件当時のものでいい気がするけど、
それに合わせて構図まで昔に戻すことはなかった気がする。
まあこだわりがあったんだろうね。

腹は立たないし、今後ミステリの名作のドラマ化もどんどんやって欲しいが……
やっぱり難しいんだろうねえ、と言わざるをえない。
今度は島田荘司の「占星術殺人事件」をやってみて欲しい。にやり。



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◇ 木々康子「林忠正 浮世絵を越えて日本美術のすべてを」

2025年02月28日 | ◇読んだ本の感想。
この著者の作品は2冊目。1冊目もなかなか面白かった。
今回のこれはさらにちゃんとした評伝。

実はこの人は、旦那さんのお祖父さんが林忠正らしいのね。
なので、家族内で言い伝えられた話もあるし、残した絵画も(わずかながら)あるらしい。
とはいえ、「我が家の話」ではなくしっかり調べられている。
大学に属する学者だった経歴はないようだが、冷静な書きぶりで最初は学者か?と思っていた。

この本は林忠正の出自(加賀藩支藩の高岡……いや、支藩じゃないのか?
まあ加賀藩に追従する高岡という地域で、蘭方外科医の息子として生まれた)から詳述する。
そこから書いているので、林忠正が自分の利益も大事にしたけれども、
広い視野を持って行動した人物であることが納得できるようになっている。
1冊目を読んだ時は、もう少し身内びいきが入ってもいいくらいだなあと思ったが、
2冊目は多少身内感が増していた。

この人が林忠正の身内として一番いいたいことは、多分以下のこと。
「浮世絵を山のように売りさばいて貴重な美術品を流出させた売国奴」という声に対して、
彼は浮世絵にはそこまでの価値を感じていなかったこと、
浮世絵が怒涛のように海外流出した際には、まだあまり浮世絵には手を染めてなかったこと、
願っていたのは(商売と並行してではあっても)
日本美術の最良の部分を世界に紹介したいということ。

商売だけを考えて節操なく売りさばいただけではないし、
良い工芸品も多く扱ったが、良い物は人を見て売っていたそうだ。
そして日本美術の最上のものは手元に残し、日本へ持って帰って来たもの、
あるいはヨーロッパで非常に深く付き合った人に譲ったものが多いと。

こう書くと身内びいきと感じるかもしれないが、実際に読むと抑えた筆致で書いてあるので
その部分は気にならなかったです。
……だが、この冷静な書きぶりを全面的に信頼したくなるので、その辺は自重せねばと思う。

ここのところ、本を読んでも「この本に書いてあることは妥当なのか?」と
考えすぎてしまって……
昔からそう思いながら読書をしてきたつもりだけれど、特に近年、
悪意をもって嘘を書く人もいるから、ついつい疑心暗鬼になってしまう。
こういう読書は疲れますよ。もっと気軽に読めてた時代に戻りたい。


それはともかく、林忠正について3、4冊読んだらいいだろうと思っていたが、
興味深い人なので、図書館にある本はツブしてみる。といっても6、7冊だけど。
木々康子以外の書き手がどう書いているのかも見たいしね。

林忠正の同時代の日本美術愛好家についても広く書いているので面白い。
ゴンクール兄弟とか、ピングとか、そこら辺の人の話も読んでみたくなる。
……しかし「ゴンクール」を図書館のサイトで検索すると、
「コンクール」も拾われてしまって、検索結果が何百冊にもなってしまうんですが、
これはどうしたらいいですか。



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< ゴジラ >

2025年02月25日 | テレビで見た映画。
わたしは「ゴジラ」を誤解していた。

「ゴジラ ー1.0」を録画したので、その次の週にやった「ゴジラ」も録画したのよ。
しかしわたしはこれも派生作品だと思っていた。いっぱいあるでしょう。
そしたら、昭和29年製作のファーストゴジラでしたー!見始めて気づいた。

昭和29年の日本映画は見なくていいよね?と見ずに消そうとしていた。
しかしまあ、見るだけ見てもいいじゃないかと思い直し。
つまらなければその時点で止めればいいんだし。

そして最初に戻る。――わたしは「ゴジラ」を誤解していた。


「ゴジラ」って、子供向けの特撮映画だと思っていたんですよ。ウルトラマンのような。
そしたら全然違いました。大人向けの映画でした。
そして特撮映画ではなかった。いや、特撮ではあるんだけど、SF映画でした。

まー金も時間も手間もかけて撮っていらっしゃる!驚愕した。
これが昭和29年に作れたのってすごくないですか?
こてんこてんにやられた敗戦後、まだ9年ですよ?
食うや食わずの時期が、少なくても数年は続いた後でしょう。
この頃に映画にこんなに力をつぎ込む……。映画界は情熱があった。

話はごくゆっくり。なかなか進まないのでテンポが悪いと思う人もいるかもしれないが。
でもこんなに丁寧に撮ってくれてるとね。
テンポが悪いではなくて、じっくり描いていると感じる。

大量のエキストラ。細かい場面割。現代だったらたとえば3シーンで表現するだろうところ、
体感では倍以上かけてセットもたっぷり作って撮っている。すごく贅沢に感じる。

序盤の荒廃した島のセットとかも作ったんでしょう?
CGでごまかせたりしない時代。CGはCGでお金かかるんだろうけど、
リアルで壊れた家や石だらけの荒廃した島の風景を作る労力たるや。
ずーっと「うわ、これも作るんだ」「ここまで撮るんだ」と感心していた。

子供だましだろうと決めつけていたゴジラも、想像よりずっときれいだった。
闇夜に浮かぶ姿に照明を当てて、チープさが出ないようにしていた。
終盤、どう見ても人型だなー、人間が入ってるなーという場面はあったけど。
あの海にかかった大きな橋を破壊するところなんかはね。
でもそもそもの予想が「ウルトラマン」あたりの特撮感だったから、だいぶ凝ってました。
すばらしい。

昭和29年の風俗も楽しめましたしね。
「お父さま」が普通に使われていた時代。女性はたおやか。
女性議員と男性議員の口喧嘩も面白く、ゴジラに襲われて死んでしまうアナウンサーの
表現も時代が感じられて面白かった。当時のアナウンサーは誇りを持っていたんだなあと。

ゴジラが東京を火の海にした場面も、あれミニチュアを燃やしたんでしょう?
けっこうな量でしたよ。想像の3倍くらいの量。美術班、本当にお手柄。
まあちゃちっぽさが出ているシーンもなきしもあらずだが、それは昭和29年だもん、
仕方ない。車や電車のクラッシュはミニカーでやるしかないでしょう。

役者の区別はあんまりつかなかったが、それは許してもらおう。
ヒーローとヒロインとその父とその許嫁がわかっていればいいでしょう。
宝田明はかなりおじいさんになってからしか見たことがないので、若い頃を見ても
全然わからなかった。


いや、いいもん見せてもらいました。頭が下がる。
この初号機があって、後世の数々のゴジラに繋がっているんだなあ。
それを知っていて見るのと知らずに見るのとでは見方がだいぶ変わりそうだ。

だからといってつまらない映画が面白くなったりはしないが(「シン・ゴジラ」とかね)
でもあれだって子供向けと思っていたからこそ、作りが疑問だったが、
初号機からの流れを汲めば、肩書をやたらと並べる大人向けである必然性はあるし。

まあとにかく驚いた。当時の映画人の情熱と志を感じた作品でした。

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◇ テオフィル・ゴーチエ「魔眼」

2025年02月22日 | ◇読んだ本の感想。
ゴーティエというかゴーチエというかが悩みどころ。

折にふれて目にする名前ながら、全然作品を読んだことがなかったので
今回重い腰をあげて読んでみた。
どんなに小難しい話を読まされるんだろうと戦々恐々としていたが、
喜んでください!とても平易なお話でした。

いや、こんなに平易な語り口でいいの?と思ったくらい。
文庫本1冊に「魔眼」が多分中編で半分くらい、「金の鎖またはもやいの恋人」と
「クレオパトラの一夜」が短編。

「魔眼」はとても素直な小説。舞台設定は19世紀くらいですか。
本を返してしまったので、記憶はとてもあやふや。

スペインに来ているフランス人の男とイギリス人の父と娘。
男と娘は婚約中。
が、迷信深い土地柄で、男がなぜか「魔眼」認定されてしまう。
魔眼とは、本人の意思に関係なく、見られた人を不幸にしてしまう能力。

男は自分でもそうと信じ、病弱な恋人を死に追いやってしまうのではないかと恐れ、
最終的に恋敵のスペイン貴族を決闘で殺した上に、自分で自分の目を抉り出し、
しかし恋人は死んでしまうという救いのない物語。

もっと漢語の多い、きらびやかな、読むのに時間がかかる文章だろうと思っていたが、
語りの系譜と感じたくらい平仮名が多めの文体。
これは本人の文章からしてそうなのかね?翻訳のテガラなのかね?
とはいえ、凝った文章を平易に訳すのは違うだろうしなあ……。不実な美人になってしまう。

話としても正直、安易とも感じたほどおとぎ話的だった。
小説として、なぜ魔眼認定されたのかとか、男がなんで自分を魔眼だと信じ込んだのか、
納得できないところも少々あった。
まあ小難しい話を読むよりは楽だったのでいいんですけども。

2番目の「金の鎖~」は古代ギリシアの遊女の話。これは元ネタがあるんだろうね。
高級遊女がいろいろあって恋人をもう一人の遊女と共有し、
最終的には仲良く3人で暮らすという、これもまことにファンタジー。

3番目はクレオパトラが気まぐれに美少年を愛する話。……だったか?
うん。まあ何しろ短編だから印象に残らない。記憶力の問題だが。

結論として、読みやすかったのはいいんだけど、正直言って毒にも薬にもならぬというか。
これは本人が意識してお伽話として書いたのかなあ。
そうであればまた見方が変わるが、こういうのばっかり書いているのだったら、
なんか今までのゴーチエの高名が……。別に悪い作品ではないけれども、
良くも悪くも普通なのよ。

評論系で小難しいことを書いている(のではないかとわたしは決めつけている)のであれば、
もう少し高踏的な作品でもいいんだけどね。
もう2、3冊読んでみる。

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< 結婚するって、本当ですか >

2025年02月19日 | ドラマ。

4話か5話まで全然ひっかかることなく面白く見ていたのに、
それ以降、あれ?と思う話が続いて。
うーん。ふわふわして、いいところはいいんだけど、
納得できないところは納得できないというアニメ。

王女の話も、あれ?ではあったけれど、まあこういう話ではありがちだよね。
でも愛妻家の同僚の話はなあ。すっごい適当じゃなかったですか?

まず一人が休んだからってそんなに電話が鳴りっぱなしになるわけないじゃないか。
突然の病欠なんかはどうしているのだ。
そして朝っぱらから年少さんが職場に押しかけて来て「パパは!?」とか
おかしいっしょ。こっちが聞きたい。お母さんに連絡しろ。

職場放棄で総出で探すのもおかしい。
夜になるまで子供を引っ張りまわしてるのもおかしい。
そしてチンパンジー(ゴリラだっけ?)に変わった愛妻家には納得出来なかった。
出社せずに居場所をくらまし、昼間っからバーで飲んでいて10時間くらいそこにいたの?
それも奥さんの方の事情はまったく語られないから、それ以上話が深まることはなく。
ナニコレ?って話でした。

権田くんの話は(ありがちとはいえ)まあいい話。
でもあの二人は結局離れてしまうのか。もう少し話が続けばくっつく未来もあったか?
心の準備もさせずに突然保育園に連れて行って子供に会わせるなんて、
女性の方は鬼畜ですな。

幼馴染の女の子も、単に出て来ただけ……。そりゃ彼女のおかげで状況が進んだのは
事実だが、その前がいろいろ無理なのでムリなのよ。
まず東京で心細かったら、幼馴染である大原君に訊け!
偶然隣に引っ越しました、は創作的にあり得るが、それで突然「リカさんの部屋で
飲みましょう!」は図々しすぎる。

図々しいといえば、こういうぐるぐる考え込むタイプの女性主人公が悩みに悩んだ結果、
どう考えても失礼な行動に走ってしまうのは創作物あるあるですよね。
でもリアルでこんなに失礼なことをしますかね?
玉川上水のシーンとかさー。
呼び出しておきながら「わたしはわたしで勝手にします。あなたも勝手にどうぞ」って
わけがわからないよ。

「リアリティがない!」とはわたしが何度も文句をいう点だが、
創作物にどれだけのリアリティを求めるかは人それぞれだろう。
わたしはそういうの気になるのよ!気になってしまうのよ!


人間が適当に描かれている部分が気になったのに対して、風景や行動は良かったですね。
ガラス職人の仕事にここまで尺を使う必要があるのかという疑問はあるが、
そういう部分は好きなので見てて楽しい。
阿蘇の自然や佇まいも好き。玉川上水も丁寧に描いていて好き。

早見沙織は人間として好きなので、主役の作品が見られて良かった。
落合福嗣の声を作品で初めて聞いたかもー。ファイルーズあいも初めてかもー。
後者ふたりは見ている間は知らなくて、全部見終わってから知った。
見ながら味わいたかったのもあるけど、それはそれで気が散る気がするから、
あとで知って正解なのかも。
小清水亜美もこないだトーク動画に出てて、ふわっとした人で印象が良かった。


まあでも。最後は甘々で超特急の締めながら、全体的には楽しく見たので良しとする。
出来ればネコをもう少し活躍させて欲しかったけどねー。
ネコが縁結びの役割をする……などはそれこそ擦られ倒したネタだろうが、
そういう話運びでも良かったな。





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◇ 高橋秀実「趣味は何ですか?」

2025年02月16日 | ◇読んだ本の感想。
いつもの高橋秀実節。
「趣味は何ですか?」と訊かれた時に答えに詰まったことから始まって、
高橋秀実は趣味を探求する旅に出る。(←嘘)
この人は対象に肉薄して取材していくスタイルだから、数々の趣味に自ら挑戦する。
そんなに変なものはなかった。ぱっと見には。

蕎麦打ち。ヨガ。登山。ガーデニング。切手。消印。
……本を返してしまったので忘れたが、20種類くらいあったかな。

高橋秀実は内省的で、基本的には同化しないタイプ。
蕎麦打ちなら蕎麦打ちをやってみるんだけど、同化はせず、結局距離を取る。
まあこういったら本人は不満だろうけど、どちらかというと揶揄の視線で見てるよね。

高橋秀実は、むしろその趣味をやらない理由を見つけてしまう。
気弱にツッコむ。まあこういう結論になったらその趣味をやる気にはなりませんな。
これはこの人のいつもの芸風なので、この部分を楽しんでいただきたい。
現役でその趣味を楽しんでいる人は若干バカにされたように感じるかもしれないが。

ある程度面白いので、何か趣味でも持たないと……と思っている人は
ぜひ読んでみてください。……とは大嘘。
この本を読んでも多分趣味は見つかりませんから。




※※※※※※※※※



――が、とりあえずこの本を読んで衝撃だった内容は他にある。

「武士道」は山鹿素行が無役の武士の暇をつぶすために作った。

漫然と読んでいたので、えーっ!と驚いた。
……が、前に戻って読みなおすことはしなかったので、事実かどうかは不明。
前述の通り、本をすでに返してしまったので内容を改めて確認は出来ない。

まあ噂程度に考えていていい話なので、あまり信じてしまうのもね。
妥当な言い方だと、山鹿素行が武士道についての見解をまた一つ付け加えた、
くらいに考えておいた方がいいでしょう。

武士道はね。かっこ良くて嫌いじゃないんだけどね。
近年あまりにも理想化されすぎてる気がするのよね。
あんまり理想化されてしまうと、結局は現実との乖離が始まって、
それはフィクションになってしまう。
が、武士は実際にいた存在だから、それがフィクションと意識されることなく
人々に根を下ろしてしまう。

坂本龍馬なんかも同じでしょう。
現行のイメージは実際よりだいぶ快男児寄りになっていると思う。
だからといって実害があるわけではないかもしれないが、
実害がないからといって、全てについて奔放なイメージを語り始めると
果てしなく実体と離れていくから。
……歴史には出来るだけスタンダードを求めていきたい。

とはいえ、「聖徳太子はいなかった」とか言われると。
わたしは聖徳太子が厩戸皇子でもかまわないし、大いに理想化されているだろうとは思うが、
「いなかった」とまで言われるとちょっと困っちゃうなあ。

まあ武士道や聖徳太子の異説について、それほど関連図書を読みたい気はしない。
理由は、……面倒だから。どれが史実か、とかそういう細かいところだけを
気にするようになると、歴史の面白みは薄れますよね。
なのでわたしは王道の学者が書いてくれた「最低限これだけはいえるといって良いだろう」
という大変慎重な部分の本を主に読んでいきたいと思います。

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< 嘘解きレトリック >

2025年02月13日 | ドラマ。
このセットは大好物。金も手間もかけて、素晴らしいセットを作り上げた。素敵。
出演俳優もなかなかいい。多少小粒感はあるが、面白い役者を集めた。
衣装もなかなか。大正ロマンというか、ベルエポックというか、超丁寧。
話の骨子もまあまあ。少し甘々すぎるきらいはあるけど、ぎりぎり許容範囲。
ミステリとしてはレベルには達してないと思うが、人形屋敷とかはまあまあでしたよね。
総じて好きなドラマだった。楽しく見た。

……が、だからこそ、もう少し肉の部分を詰めて欲しかったよ~~~~!

逆にいえば、ここまで外堀を埋めても肉付けまでしっかりしてないと80点以上の
ドラマにはならないんだなー、と思った。やっぱり制作は大変ですね。

具体的には台詞回しなどの細部が気になった。
もうちょっと台詞にセンスがあったら面白いドラマ!100点!と言えたのになー。
全体的に台詞や流れがストレートすぎるよね。
じゃあどうやって変化球にするのか、というのは具体的には思いつかないわけだが。
ちょっとシンプルすぎて味わいがない。ここはなあ。
やっぱりいわく言い難い微妙なセンスの部分なんだろうなー。

まあ変にひねりすぎるよりはシンプルな方が無難なのかもしれないけど。
やー、ここは練って欲しかったねえ。

松本穂香という人は、こないだの「ミワさんなりすます」で大変面白く見た役者。
二度目のこれもほぼ同じ造型だからもっと別の役でも見てみたいが、
とにかくこれ系の役は鉄板ですね。
あとは「大河ドラマが生まれた日」にも出ているんですね。
ヒロインならばあの人だな、ということは記憶しているが、本人が演じていた記憶はない。
大丈夫、主演が生田斗真であることも全くおぼえてなかったから。
そもそも生田斗真の認識が出来てない。

鈴鹿央士……って、おうじって読むのか。初めて知った。
時々字面は見るけど、作品は見てないかもしれない。
だいぶカワイイ系男子ですね。ひと昔前ならワンチャン千葉雄大あたりがやった役かもね。
なかなか曲者の役柄を上手に演じていた気がする。
この曲者の部分を演出なり、脚本なりにもう少しいじって欲しかった。

瑞崎君は、なりはぴったりなんだけど、もうちょっと面白みが足せる気がして歯がゆい。
ここらへんの人を活かせればそれは面白いドラマなんだが……
その「面白み」があるのかないのか。そこが脚本力なんだよなー。
惜しい。

とはいえ、大倉孝二演じる和食屋の大将とその女将さんの磯山さやかは良かった。
特に磯山さやかはとても良かった。
1話では気づかず、「この女将さんの優しい物言い好きだなー」と思い、
確認したら磯山さやかだったので驚いた。もともと好きなタレントだが、
演技しているところを見たことがなかったので。

お嬢様の千代も、初登場の時はいま一つと感じたが、見ていくうちに見慣れて好きになった。
じーさんとばーさんは二役ですか!気づかなかった!それは面白い。

全体的にゲストはわたしが知らない人ばかりだった。
全員が演技が上手いわけではなく、さらに作品の旨味を減じているとも感じたが、
だからといって全員有名な人を揃えても違うと思うしなあ。



でも結局、最後のみんなでの記念撮影でとても幸せな気分になれたので後味がいい。
ここは大変脚本・演出を評価したい部分。
甘々すぎたけど、可愛すぎたけど、旨味はもう少し欲しかったけど、
好きになれるドラマだったよ。楽しかった。

これだけのセットを作ってまさか1クールのドラマで終わらせはしないだろう、
映画に続ける気満々だろう、と予想をしていたが、映画の告知はありませんでしたねー。
せっかくあれだけ凝ったセットを作ったんだから活用すればよかったのに。
映画があったら、わたしは見に行く方に傾いていましたよ。
まあ視聴率はいまいちだったようだが。
でも今の時代、もう高視聴率なんて期待出来ないんだから、そこは諦めた方がいい。

シーズン2を期待します。
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89ers、2月9日の試合。

2025年02月10日 | 仙台89ers。
負けましたよ~、例のごとく。もう驚きもしない。
まあ正直な話、アルバルクには勝ったことないですからねー。0勝18敗だそうですよ。
実力差があることは大前提だけど、プレイスタイルも相性が悪い。
どう間違っても勝てる気がしない。

8日の試合は幸か不幸か中継を見ずに済みました。
最後の1分だけ見て、ガチガチの仙台びいきの井口さんがここまで言ってるんだったら
相当ひどい試合だったんだろうなと推察した。

そして9日は現地観戦。前日と違って1Qから大差がついたわけではないので、
少なくとも前半は、奇跡が3回くらい起これば初勝利あるかも!と思いながら
応援出来たのでまあましだった。

後半はさくっと差をつけられるわけですが。
前半は手を抜いてたんだろうなあ……と邪推せざるを得ないカンジですよ。
常に全力がアスリートのあるべき姿だとは思うけど、それが悪いかと言われると
実際のところは有難くはあるんですよね。

8日の試合のように、早々に実力差を見せつけられちゃうと、応援するテンションが続かない。
まあ東京も後日に備えて体力も温存しておきたいところだろうし、見てる方は
一応接戦(とまではいえない)の気分を味わえるし。
手加減してくれてありがとう。というべきか。

しかしもちろん89ersの選手はそんなこと思っちゃいけませんよ!
勝つつもりで臨まないと。日程や相手を含めた戦略も大事だが、そこはHCは腹の内で
計算していればいいこと。弱いチームが見せられるのは常に全力であることです。



せっかく新しい人がいっぱい入ったことだし、試合に出して経験を積ませるのも手ですよ。

だが新加入者がいっぱいといってもみんな若手で、軸になる選手が入ったわけではないから、
強くはならんのだな。ほんの数ヶ月で上手くなるわけでもなく。
もうシーズン終わりが見えているのに。

わたしが今季、あと一勝を見られるのだろうか。残り23試合。……けっこうあるな。
そのうちホームが9試合。あれ、けっこう少ない。
勝率から考えると、期待できるのは良くて2勝。
あと4試合は多分見に行くだろうが、5試合になるかは微妙だし、
ほんと見られるかどうかだなあ。
14、5試合で3試合しか勝ちが見られないとか。……泣く。

もう来年に期待するしかない気がする。

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◇ 川端康成「新文章読本」

2025年02月07日 | ◇読んだ本の感想。
ひっじょーに面白かった。
良い文章とは、を書いた本に対して「ひっじょーに」とか言ってたら、
川端康成は草葉の陰で鼻を鳴らすだろう。

伊藤整の解説も含めて文庫112ページの本。非常に薄い。
しかもその中で最小限読むべきところは第3章までです。
いや、もちろん112ページしかないから全部読んでいいんだけど、
とりわけ感銘を受けるのは第3章まで。

第4章以降は同時代作家の実際の作品(文章)を比較・検討・分析している。
それはそれで面白いけれども、わたし程度は例に挙げられた有名作家
(泉鏡花や佐藤春夫、菊池寛や里見弴など多数)を各1冊くらいしか読んでないし、
引用部分も相当多いから、それをじっくり読むのは骨が折れる。
そもそも川端康成自身も2、3冊しか読んでない。
この部分は5割くらいの集中力で読みました。

しかし1章から3章までは本当にいいですよ!



まず「おお!」と思ったのは、川端康成が芸術活動を「芸術創作」と「芸術受用」とし、
作者と読者の双方の心理活動としている点。
創作活動は創作側だけが偉くて、読んでいる方は単に読んでるだけだと思っていたよ。
ノーベル賞作家にして読者が目に入っているとは。(偏見だが)目から鱗。

そして双方を結ぶ一本の橋は表現であるという。
どんな(善き)意図があっても、新しい手法を試みたとしても、「表現」の選択を
吟味しない限り、その内容は伝わらない。……と勝手に言葉を変えて言ってるけど、
だいたいこんなことを言ってるはずです。間違っていたらお詫びの上訂正する。

表現とは文章である。そして文章は小説の命であり枷である。
それぞれの国にその国の文章があり、時代ごとにも各々の文章がある。
坪内逍遥、二葉亭四迷の例が出て来る。たしかにこの頃は日本口語文の黎明期で
彼ら二人は相当に苦労していたはずだ。わたしが読んだ時もそう感じた。
ヨチヨチ歩き出したばかりの現代口語、という感じだったもの。


……こんな感じで続けていくと永遠に終わらないので、
感銘を受けた部分を書き抜く。
切り取りは悪意がなくても恣意的になりがちなので、文責はわたしにあります。


   〇文章の第一条件は、この簡潔、平明ということであり、如何なる美文も、
   若し人の理解を妨げたならば、卑俗な拙文にも劣るかもしれない。

   〇「平家物語」や「太平記」はその当時にあっては確かに名文だったであろうが、
   文章もまた星霜と共に変る。

   〇単語の選択は、よき文章の第一歩で、ここに文章の生命もこもる。

   〇音楽的効果についてもそうで、「耳できいて解る文章」とは、私の年来の祈りである。

   〇世界各国共通語の文芸の夢もみる。

他に抜き書きが出来ないところで、芥川龍之介が「しゃべるように書く」よりむしろ
「書くようにしゃべりたい」と言っていた部分の引用とか、
漢文調が命脈を長く保ったのに、和文調の文章が早く廃れたといわれるのは本当かとか、
面白いところが数々ある。わたしが面白いと思ったものの他にも人によってはあるだろう。


そして何よりこれが、名文で書かれているというのが。
看板に偽りなしですねー。
「雪国」を読んだ時に思ったけれど、この人は本当に描写がきれい。
今回は描写ではなくて随筆ですが、明晰でちょっと湿度もあっていいですね。
文章家といえば川端康成というべきにやあらむ。中島敦もいいと思ったが。

文章の書き方について、川端康成は自分自身の問題として長年考え続けていたのだろう。
その結論を読者が一足飛びに教えてもらえるのは大変お得な気がする。

実はこれから大家の文章読本を続けて読もうと思っていて、まずは川端康成。
次が谷崎潤一郎。吉行淳之介。中村真一郎。三島由紀夫。井上ひさし。
丸谷才一は数年前に読んだ。「ちよつと気取って書け。」が印象的だった。

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< 劇場版 夏目友人帳 うつせみに結ぶ >

2025年01月29日 | テレビで見た映画。

ようやく「夏目友人帳」見られました。
有名だし、良さそうだから何度かチャレンジしてみたんだけど、どうも合わなくて
過去二回かな?シーズンのいくつかの1話を見ようとして挫折している。
今回は何とか最後まで行けた。

多分劇場版だったということが大きいだろうね。
1時間半で完結するということでわりあい話はまとまるし、若干許容範囲は広がるし、
途中脱落の危機は何度かあったが乗り越えた。

これは環境映像として見て吉かも。
あんまり派手なことは起こらないから、そして何よりわたしは最低限の設定しか知らないから、
話を味わえないんだよね。
友人帳そのものに関してはもう3回目だし、「それ知ってる」だけど、
主人公ともののけたちの関係性は、深いところはそんなに知らないし。
名取?シキ?(これは多分「式神」の式ですよね)とか途端にわからなくなる。

まあ今回はちっちゃいにゃんこ先生を堪能しました。カワイイ。
にゃんこ先生の声とイケボの斑の声、どちらも井上和彦なんでしょう?
さすがにやるわねー。


私事ですが、つい最近、近所の猫に撫でさせてもらえるようになり、
その子が8キロあってでかいんだけれども、にゃんこ先生(完全体)とシルエットがそっくり。
とするとにゃんこ先生もそのくらいだろうなあ。

しかし8キロの物体にいきなり飛び乗られたりなんだりしているわりには、
夏目の体がその影響を受けてない。
花もきれいに描いているけれども、背景をここまできれいに描くなら、
もっと現実の花をしっかり描いた方がいいんじゃないかとか、
きれいに描いた弊害というか、粗が若干気になってしまいました。

風景はきれいだよね。水も草も空も。うん。次は環境映像のつもりで見よう。
ちゃんと第1シーズンから見たら感情移入も出来て、この薄目な話でも
情緒が味わえるのかもしれないが、現段階ではそこまで行けない。


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