今回は性に関する映画と本を読んだのでその感想を交えた覚書です。
なかなかこのジャンルは難しいところがあって、苦手な方も多いので、先に〝性について〟と表記することにしました。
〝性〟とひとことでいっても性別、性格、個性など様々あり、私がものづくりをしていく上でテーマとして考えていきたい部分でもあります。
今回はセクシュアリティとしての意味合いを持つ〝性〟をテーマにした2作品です。
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映画
【娼年】
原作は2001年の直木賞候補となった石田衣良の同名小説。 性の極限を描いた愛のドラマ。〈R-18〉
「主人公の森中領は東京の名門大学生。日々の生活や女性との関係に退屈し、バーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っている。ある日、美しい女性がバーに現れた。女性の名前は御堂静香。「女なんてつまんないよ」という領に静香は"情熱の試験"を受けさせる。それは、静香が手がける会員制ボーイズクラブ、「Le Club Passion」に入るための試験であった。 入店を決意した領は、翌日から娼夫・リョウとして仕事を始める。最初こそ戸惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく」(映画『娼年』公式サイトより引用)
監督三浦大輔さんの作品は〝愛の渦〟以来2本目でした。あくまで個人的な感想になりますが、すごく面白いテーマなのに浅く感じられて残念でした。性描写も役者さんの頑張りはとても感じられるものの、思わずツッコんでしまいたくなるようなやり取りや表現で冷静にさせられます。もう少し女性の複雑な想いの部分が見えるような形で映像化されていたら共感も持てたかなと感じました。これではただ単に女性も色んな性癖の人がいるんだよの紹介で終わってしまうような…嘘でリアルな世界を描こうとする分違和感があるのかもしれません。下手をすると割り切ったアダルト動画の方が嘘の中のリアルな世界という意味では面白いかも?とか思ったり。
監督・脚本:三浦大輔
原作:石田衣良
キャスト: 松坂桃李、真飛聖ほか
2018年上演
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小説
【聖なるズー】
京都大学大学院で文化人類学を研究する濱野ちひろのノンフィクション作品。
2019年 第17回 開高健ノンフィクション賞受賞作 。「2020年Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」「第19回 新潮ドキュメント賞」「第42回 講談社 本田靖春ノンフィクション賞」「第51回 大宅壮一ノンフィクション賞」各賞ノミネート。
「犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。 性暴力に苦しんだ経験を持つ著者は、彼らと寝食をともにしながら、 人間にとって愛とは何か、暴力とは何か、考察を重ねる。 そして、戸惑いつつ、希望のかけらを見出していく──。 」(Amazon詳細説明より)
興味半分で読み始めましたが、セクシュアリティについて考えるきっかけにいい本です。動物にもパーソナリティがあって、意思疎通ができるのだとズーはいいます。いろいろな意見はありますが、誰よりも動物を大切に扱っているのはズーだというのも納得いく内容でした。人間同士でも意思疎通ができているかなんて怪しいものです。何のためにセックスをするのか。意味を考えてするものでもないのかもしれませんが、考えることで深まりを強めることは悪いことではないような気もします。
エクスプロア・ベルリン(3日間に及んでセックスやセクシュアリティにまつわるさまざまなことを経験するフェスティバル)の内容にも驚かされました。想像しただけで価値観が変わりそうです。エロティックではなく純粋に性について学び感じ解放する。日本では絶対にありえないフェスティバルですが、恥ずかしいこととして隠すのではなくきちんと当たり前のこととして理解するということも犯罪などを減らすにはもしかしたら必要なことかもしれないと感じました。とはいえ動物性愛に関しては賛否あると思います。受け入れられない人の方が多いでしょう。ただ〝聖なるズー〟をきっかけに一度セクシュアリティに関して真剣に考えてみるのもいいのではないでしょうか?
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