ずっと興味があった陶胎漆器。
陶胎漆器というのは陶器に漆を塗ったもののこと。
とても古くからある技法で平安時代ごろまで用いられていたとか。
釉薬技術の発展によりメジャーではなくなってしまったこの技法だけど、縄文時代の土器にも漆は使われていて、そう思うと漆器の元祖のようにも思える。
ただ調べてもなかなか方法が載っておらず、素焼きのものに漆を塗って焼き付けるとしか情報がなかったのでこれまで手をつけてこなかったのだけど、先日オーブン陶土というものがあることを知ってついに手を出してしまった。
オーブン陶土というのは、家のオーブンで焼ける粘土のことで、誰でも手軽に陶芸を楽しむことができるように開発されたものらしい。
私が買ったのは愛知県瀬戸市で採れた自然の土から作られたという粘土。
やはり瀬戸焼で有名な土地のものと聞くと安心感がある。
色は4種類あり、結構しっかりとした硬めの粘土で扱いやすい。
こんな時である。
ちょうどワークショップではどんなことができるのかというお問い合わせをいただいた。
これまでやってきたのは沈金のしおりづくり体験やチャーム・ピンバッジ・花瓶の絵付け体験。
ただなんとなくそろそろ新しいことができたらなと思っていたタイミングだった。
そこで思いついたのが陶胎漆器の絵付け体験である。
とはいえ実際にちゃんと体験として成り立つのかは実験してみないことにはわからない。
さっそく粘土を形づくるところから始めた。
最初はこんな色をした粘土も1週間ほど乾かすと水分が抜けて白くなる。
急いてこの時間を省いてしまうと割れの原因になってしまうのだとか。
しっかり乾かした後、漆を塗って焼くパターンと焼いてから漆をもう一度焼き付けるパターンとで実験をしてみる。
もしかしたら漆が塗ってあることで割れてしまうかもとも思ったが、問題なく焼き上がった。
さらには触感や見た目もどちらも大差ないように感じた。
次に上から漆を焼き付けるパターンと、漆風呂で乾かすパターンとで実験をしてみる。
こちらは光沢や色味に変化が感じられた。
そして現在、簡単な絵付けをしてみて、果たして体験として成り立つのかを検討してみているところなのだけれど、パーツの形や表面の仕上がり、絵付け方法にはまだまだ改善の余地がありそう。
それでも今までとは違った風合いのものができて、自分的には発見もあったのでとても満足。
これから実際に使ってみて、ある程度の強度が確認できたら、もう少し精度を上げて実際のワークショップに取り入れていこうと思う。
常に好奇心を持って新しいことにチャレンジしていきたいな。